SHIBUYA BUNKA SPECIAL

渋谷区立松濤美術館

GWの期間中、レイトショーなどを含めると、渋谷では全40スクリーンにて多様な作品が上映される。ジャンルも多岐にわたるから、シアターを“ハシゴ”して、シネマの世界に浸かる休日を過ごすのも悪くない。25年来、渋谷に店を構える映画専門店「シネマショップ」のスタッフのお話などから、より気軽に、よりディープに渋谷の映画を楽しむ方法を探った。

1.GWは映画三昧でキマリ!「映画でお散歩、渋谷シネマガイド2008」

2.「4.28渋谷で映画」キャンペーン概要

3.”渋谷シネマ”の鑑賞術

4.2008GW、渋谷で公開される作品&映画館一挙紹介

映画パンフを入手して作品を深く理解――

パンフレットを積み込んで、日本各地を巡業

数多の映画館が密集する渋谷は、見方によっては、街自体が巨大な一つのシネマコンプレックスといえる。話題のハリウッド大作から通好みでマニアックなものまであらゆるジャンルが揃うから、その日の気分にぴったりの作品が、きっと見つかるに違いない。さらに作品を観終えた後にも、映画の世界にとっぷり浸っていられるのは、渋谷ならではの魅力。タワーレコードやHMV、TSUTAYAをはじめ、各種アイテムを扱うショップが充実しているから、気になったサントラはすぐに入手できるし、関連のDVD作品も容易にチェックできる。映画館に併設されたカフェで作品の余韻を楽しむのもまた、至福のひとときだ。

昔を懐かしむ坂本萬里さん

映画のパンフレットやポスターを専門に扱う「シネマショップ」も、映画館巡りの合間に立ち寄りたいショップの一つ。今から30年前、払い下げの都バスを改装して全国津々浦々を営業して回るスタイルで開業した異色の経歴を持つこのショップは、1983 年から渋谷に店を構え、以来、映画好きに親しまれてきた。「当時から“映画といえば渋谷”というイメージがありましたから、ほかに場所は考えられませんでしたね」と、創業メンバーの一人で、現在は顧問を務める坂本萬里さん。映画パンフを買い求める客といえば映画マニアやコレクターばかりが思い浮かぶが、意外にもそうではないらしい。店長の佐藤葉子さんは、「『パイレーツ・オブ・カリビアン』のヒット時は、ジョニー・デップの女性ファンが大挙して来店しましたよ。あと、“韓流ブーム”の時も、やはり女性客が押し寄せてきました(笑)」と話す。

パンフレットの売れ筋は、そのように“ファン”の多い作品か、ストーリーが複雑で謎めいた作品だそうだ。「少し古いですけど、クローネンバーグの作品は難解だから、よく売れますね」と佐藤さん。気に入った映画のディープな部分まで知りたい時には、ストーリーやキャストはもちろん、製作時のエピソードや評論などの情報が詰まったパンフレットは何よりのガイドとなる。監督や俳優の関連作品もチェックでき、芋づる式に観たい映画が増えていくなど、興味の幅もグンと広がる。映画パンフは、まさに“映画通”への第一歩だ。その映画パンフ、近年は内容が少し変化しているそう。「以前は評論家の小難しい話ばかりが載っていましたが、最近は楽しませることに重点が置かれていますから、より多くの人に喜んでもらえるのではないでしょうか。作品に合わせて見た目や材質を工夫するなど、配給会社のこだわりが光るパンフレットも増えています」(坂本さん)。だが、最近のパンフレットは、全体的に印刷部数が絞りこまれています。TVとのタイアップやハリウッド大作以外の単館上映などでは、公開直後に品切れも珍しくないのです。だからこそ、シネマショップのような店が重宝されるのである。「店に置いていないパンフレットでも、『これが欲しい』というご依頼があれば探しますよ。必ずとは約束できませんが、30年間で築いたネットワークで、高確率で探し出してみせます」と、坂本さんは意欲的に語る。

「シネマショップ」店内

受身の鑑賞だけでなく、アートを“体感”できるイベントが多彩

作業をしながら話をしてくれた佐藤店長

シネマショップのスタッフは、渋谷はもちろん、新宿や池袋など周辺都市の映画館も隈なく回り、上映される映画のほとんどを手分けして観ている。映画の内容や観客の反応から“売れそうな”パンフレットを探り、仕入れの参考にするためだ。各所を回っていると、おのずと違いも見えてくる。佐藤さんは、「『ホテルルワンダ』を上映したシアターN渋谷をはじめ、採算性などさまざまな考えから他がためらう作品を積極的に上映する、攻めのスタンスの映画館が少なくないですよね。それが渋谷の映画館の最も面白いところではないでしょうか」と話し、さらにこう続ける。「これは個人の好き嫌いによるでしょうが、私は大きな映画館よりも、少人数のミニシアターの方が落ち着くんですね。その点でも渋谷は趣味に合っていますね」

今年のGWのラインナップは、「大きな目玉はないけど、意外性のある作品が多くて、かなり楽しめるのでは」と坂本さん。最も気になっているのは、Bunkamuraル・シネマで上映される『ラフマニノフ ある愛の調べ』だそうだ。「これは観ることに決めています。チラシも2種類作られていましたし、配給会社もかなり力を入れているようですよ。あと、とくに楽しみなのは、『大いなる陰謀』(渋谷ピカデリー)でしょうかね」。一方、佐藤さんは、「店のスタッフが『面白そう!』と口を揃えているのが、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』。みんな、ブログを読んでいるみたいですね」とのこと。さらに、個人的にドラマにもはまっている『相棒-劇場版-』(渋谷TOEI)や、『紀元前1万年』(渋谷ピカデリー)もチェックしているそうだ。作品ではなく、“映画館”に的を絞ってみるのも面白いかもしれない。ミニシアター各館の上映作品には、それぞれの個性が色濃く反映されている。先鋭的で尖った作品の多いシネマライズ、大人向けの上品でアーティスティックな作風を好むBunkamuraル・シネマ、過去の名作に会えるシネマ・ヴェーラ ――各館の“おすすめ”を楽しむ感覚で巡れるのもまた、渋谷エリアの映画館の面白さだ。

シネマショップ
映画のパンフレットやチラシ、プレス、ポスター、映画半券、映画前売り券などを扱う映画専門ショップ。店内には7000点を超えるパンフレットなど、映画関連の商品がところ狭しと並ぶ。ホームページでも通信販売も実施しているほか、スタッフが映画の感想をつづる「映画日記」を更新中。2008年5月末まで「30周年記念セール」として全品10%割引を実施中(映画前売り券を除く)。

住所:渋谷区渋谷3-18-8 大野ビル2階 電話:03-5766-7103
営業時間:10:00〜19:00(無休)

1.GWは映画三昧でキマリ!「映画でお散歩、渋谷シネマガイド2008」

2.「4.28渋谷で映画」キャンペーン概要

3.渋谷で楽しむ映画鑑賞術

4.2008GW、渋谷で公開される作品&映画館一挙紹介


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