東横線・渋谷駅地上駅舎に続き、昨年3月末に「東急百貨店東横店東館」が78年の歴史に終止符を打った。渋谷駅と直結する東急百貨店東横店は、ヒカリエ側にある「東館」、ハチ公広場側に面した「西館」、JR山手線・東京メトロ銀座線の頭上を結ぶ「中央館(昭和29年築)」、東急プラザ側の「南館」の4館体制で構成。一般的にはあまり知られていないのだが、東館は「東1号館(昭和9年築)」「東2号館(昭和12年築・昭和26年増築)」「東3号館(昭和31年築)」、と建増しの順番に応じて、細かく建物や名称が区分けされている。4館の中でも「中央館」の解体は、東京の幹線である山手線、埼京線、銀座線の3路線の交通機関を一切止めず、前代未聞の工法と複雑なプロセスを踏みながら解体工事が進められるという。ある意味、心臓の鼓動を止めずに大掛かりな心臓移植手術が行われるようなものなのだ。
5ステップでよく分かる東館・中央館解体工事
前代未聞の東館・中央館の解体工事の工程(2014年4月〜未定)を、5つのステップで解説しよう。
施工ステップ 0
2013年3月
解体工事以前の東横線・旧渋谷駅および東急百貨店東横店東館
施工ステップ 1
2013年4月〜9月
解体工事に向け、仮囲い設置および外部足場架設
内装材の解体
施工ステップ 2
2013年10月〜2014年5月頃
東1号館、3号館の7階から徐々に解体
旧渋谷駅のかまぼこ屋根およびプラットホームの解体(動画は解体瓦礫の運び出し)
東1号館1階床の解体・運び出し
「化粧品売り場」であった東1号館の1階の下には、渋谷川が流れている。同動画は、1階の床であり、かつ渋谷川のフタとしても機能していた「分厚いコンクリート」の切断・撤去作業の様子を記録したものである。
<切断・撤去方法>
幅員約10mのコンクリートの床を、流れ方向約1mづつに分割する。
分割したコンクリートに約5cmの穴を開ける。
ワイヤーソーという糸鋸のような機械の刃を、その穴に通してワイヤーを高速で回転して切断する。
約1m×約10mの短冊状に分割したコンクリート片をクレーンで吊り上げて撤去する(暗渠となっていた渋谷川が姿を現す)。
3分割に切断し、トラックに積み込み現場の外に搬出する。
施工ステップ 3
2014年6月〜2014年冬頃
東3号館の跡地にタワークレーンを設置
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中央館の7階から徐々に解体
東2号館および西館から斜めに引っ張りながら中央館を解体
施工ステップ 4
2015年以降〜
中央館解体工事が完了
東2号館の解体工事の開始
施工ステップ 5
地上部解体工事が完了
「ダンジョン(迷宮)」と呼ばれた旧渋谷駅&東館の地上部と中央館の解体が完了した後には、地上230mの超高層ビルの新築工事、東口の区画整理工事、さらには西口の工事へと続いていく。巨大な有機体とも言える渋谷駅の新陳代謝が、ますます加速していくことになりそうだ。
「中央館」解体工事を見て楽しもう!
編集部では駅周辺を巡りながら、「中央館」解体工事の様子を見て楽しめる「お薦めウォッチスポット」をグーグルマップにまとめてみました。マップを参考にしながら、自分なりの観察スポットを探してみてはいかがでしょうか。
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