想田和弘監督、観察ドキュメンタリー最新作「Peace」@シアター・イメージフォーラム
日本の選挙運動の様子を滑稽に捉えた映画「選挙」、精神病患者たちの姿をモザイクなしで赤裸々に紹介した「精神」など、「観察ドキュメンタリー」というジャンルに常に挑み続ける想田和弘さん。3人の人間と野良猫たちの何気ない日常にカメラを向けた想田さんの最新作「Peace」が7月16日より、渋谷・イメージフォーラムで公開される。「平和って何だろう?どうしたらみんなが共存できるの?」をテーマした本作。舞台は前作「精神」に続き、岡山県岡山市。養護学校を定年退職した後、障害者や高齢者を乗せる福祉車両を運転する柏木寿夫さん。その傍ら、寿夫さんは自宅の庭で野良猫たちにエサをやりつづけているが、最近、外部の「泥棒猫」がエサを目当てに庭へ侵入し、猫社会に緊張が高まってことに頭を悩ませる。寿夫の妻・柏木廣子は、高齢者や障害者の自宅にヘルパーを派遣するNPOを運営しているが、国の福祉予算の削減で苦しいやりくりを迫られている。廣子は週に一度、アパートで一人暮らしをする橋本至郎さん(91歳)の生活支援に出かける。そんな身寄りがなく、生活保護を受け、己の死を見つめる日々を過ごしている至郎さんの脳裏に突然蘇った、戦時中の記憶。赤紙が来て、兵隊として徴集された至郎さんの想いとは――。ナレーション、BGM、テロップ、台本を一切排除した中で、想田さんのカメラが戦争と平和、生と死、拒絶と和解、ユーモアと切なさが同居する「生の時間」を刻々と伝える。そして「寄り添い」「共に生きる」ことの意味を浮き彫りとする。
「選挙」「精神」で国際的な評価を得た想田和弘さんは、フレデリック・ワイズマン、ニコラ・フィリベールらドキュメンタリーの巨匠同様に「観察」ドキュメンタリー作家として確かな地位を築いてきた。本作は韓国で開催される「非武装地帯ドキュメンタリー映画祭」から短編ドキュメンタリー映画の依頼を受けて制作。2010年に同映画祭でオープニング上映後、世界中の映画祭からオファーが殺到。有楽町で開催された第11回東京フィルメックスで観客賞、香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭ではブイエン&シャゴール賞を受賞した。
また7月には本作のメイキングを通じた観察映画論「なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか(仮)」(講談社現代新書)を刊行する予定。
<b>ドキュメンタリー映画「Peace」
2010年/HD/日本・アメリカ・韓国/75分/ドキュメンタリー
○公開:2011年7月16日〜
○劇場:シアター・イメージフォーラム
○料金:一般1800円/ 大・専門学生1500円/ 高・中・小・シニア1000円
○監督・制作・撮影・編集:想田和弘
○配給:東風
○公式HP:http://www.peace-movie.com/
<画像クレジット>
©2010 Laboratory X, Inc.
(2011/07/11)