カルチャーニュース 編集室が最新記事をpickup!

奇才、荒川修作の集大成「三鷹天命反転住宅」の住人を記録したドキュメンタリー@渋谷イメージフォーラム

現代美術の奇才、荒川修作の代表作である死なないための住宅「三鷹天命反転住宅」に住む人びとの身体変容や、荒川さんの全活動を振り返るドキュメンタリー映画「死なない子供、荒川修作」が現在、渋谷・イメージフォーラムで公開されている。

昨年5月19日、ニューヨーク市内の病院で荒川さんは73歳で急逝。1960年、読売アンデパンダン展で出会った赤瀬川原平さん、篠原有司男さんらと前衛芸術集団「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」を結成するなど、反芸術的なパフォーマンスやアナーキーな作品で注目を浴びる。以後、活動拠点をニューヨークに移し、公私パートナーである詩人のマドリン・ギンズさんと様々な共同制作を発表。70年ヴェネツィア・ビエンナーレでは、意味がどのようなシステムやプロセスで出現するのかを読み解いた「意味のメカニズム」を発表し、美術界のみならず哲学や科学分野にも大きな衝撃を与え国際的な名声を得た。

80年代以降、表象的な図形・記号・言語を用いた表現を突き詰めるため、理想から実践へ向かうべく、次第に活躍の場を現代美術から建築へシフト。1994年に建築家・磯崎新さんとのコラボレーションで岡山県・奈義町現代美術館に「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」、1995年には岐阜県養老町にテーマパーク「養老天命反転地」(岐阜)を設置するなど、新たな感覚・知覚の形成を体現できる場を手がける。さらに「ここに住むと身体の潜在能力が引き出され、人間は死ななくなる」という考えのもと、2005年には荒川さん自らが東京・三鷹市に土地を購入し、地上3階建て全9戸(2LDK/3LDK)の共同住宅「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Kelle」を竣工。14色で構成されるカラフルな外観、傾く床、球形、円筒形の部屋など、人間の本来持っていた感覚を呼び起こすユニークなデザインが特徴。「In Memory of Helen Keller 〜ヘレン・ケラーのために〜」 というネーミングは、荒川さんの創作活動が常にヘレン・ケラーをモデルとし、この住宅も同様に「視覚、聴覚を失った彼女ならどう住むのだろう」をテーマとしているため。

今回のドキュメンタリーは、人間の「死」という不可避なものへの挑戦し続けてきた荒川作品の集大成とも言える「三鷹天命反転住宅」を軸に、ここで生活する住人の姿のほか、宇宙物理学者・佐治晴夫さんらのインタビューを交えながら、荒川さんの活動を再検証する作品となっている。同作を手がけたのは、長編映画「PICKLED PUNK」を演出などで知られる山岡信貴さん。監督自身も同住宅の住人で、荒川さん本人から日々の暮らしをレポートして欲しいという要望で撮影を開始したのが始まり。ここで生まれ育った山岡さんの子供、遊眞くんと想乃ちゃんの2人の姿を通して同住宅の持つ魅力と可能性を見いだす。また音楽は先鋭的な電子音響作品で高い評価を受ける渋谷慶一郎さん、ナレーションは日本映画界を代表する浅野忠信が担当した。

同作品の公開を記念し、都築響一(編集者)、ヴィヴィアン佐藤(美術家)らのトークイベントの開催も予定する。

ドキュメンタリー『死なない子供、荒川修作』
2010年/日本/ビスタサイズ/HD/カラー/80分
製作:ABRF/制作:リタピクチャル/配給:アルゴ・ピクチャーズ/宣伝:EGGHEADS/(C)rtapikcar Inc.

○日時:2010年12月25日〜終了日未定/21:00〜
○劇場:渋谷イメージフォーラム
○料金:一般1,800円/学生1,300円/シニア1,000円
○出演:荒川修作(コーデノロジスト)/佐治晴夫(宇宙物理学者)/天命反転住宅の住人
○ナレーション:浅野忠信 
○音楽:渋谷慶一郎 
○監督:山岡信貴
○URL:http://www.shinanai-kodomo.com/

<トークイベント>
1月6日(木):都築響一(編集者)
1月14日(金):ヴィヴィアン佐藤(美術家)
1月20日(木):塚原史(早稲田大学教授)
1月27日(木):佐々木敦(批評家)
※全て上映終了後

(2011/01/03)

一覧へ