ドキュメンタリー「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」@渋谷シアター・イメージフォーラム
現代アートコレクター、ヴォーゲル夫妻を追ったドキュメンタリー映画「ハーブ&ドロシー」が11月13日より、渋谷・イメージフォーラムで公開される。現代アートのコレクションが趣味である郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシーの老夫婦。マンハッタンの小さなアパートで暮らす2人は1960年代から、ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートなど、当時はまだ無名であったアーティストたちの作品を慎ましい生活を送りながらも約30年に亘って収集。毎日、夫婦でいくつかの展覧会に出かけては、アーティストとの交流を大事にしながら新しい作家を発掘し、ハーブの給料のすべてを作品購入に費やす。二人が作品を選ぶ基準は「自分たちの給料で買えること」「1LDKのアパートに収まるサイズであること」の2点。コツコツと集めた作品は1LDKのアパートに一寸の隙間がないほど、最終的には4000点ものコレクションにまで膨れ上がる。
1992年、ハーブ&ドロシーの2人がアート界を震撼させた。20世紀を代表する名作の数々は、売れば大金を手にすることもできるが、2人はコレクションのすべてをアメリカ国立美術館ナショナルギャラリーへ寄付することを決意。約1000点は同美術館の永久保存、残りの作品はアート寄贈プロジェクト「ハーバート&ドロシー・ヴォーゲル・コレクション 50 × 50」として全米50州の美術館に50点ずつ、計2500点が寄贈された。その純粋にアート、アーティストを愛するコレクターとしての資質と真摯な生き方はメディアでも話題化され、多くの人びとに感動を与えた。
同作の初監督&プロデューサーを務めたのは、日本人の佐々木芽生さん。1990年初めにベルリンの壁が崩壊したのをきっかけに東欧へ渡り、現地の様子を写真とエッセイを「Yomiuri America」で連載。その後、NHKニューヨーク総局で勤務し、NY金融や身近な話題を伝えるキャスター、ニュース・ディレクターを経て、1996年に独立し大型のテレビドキュメンタリーの取材を手掛けるなど映像制作の経験を積む。こうした取材の中で、佐々木さんは縁あってハーブ&ドロシーに出会う。そして2人の生き方に衝撃を受け、彼らを世に伝えることで「豊かな人生を考える映画になる」と確信し、撮影をスタート。ニューヨークでは公開から徐々に口コミで広がり17週のロングランを記録し、全米各地の映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞、観客賞を受賞。また現在、続編の「Herb & Dorothy 50☓50」製作なども進んでいるという。
「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」
◯上映:2010年11月13日〜
◯会場:渋谷シアター・イメージフォーラム
◯監督&プロデューサー:佐々木芽生
◯出演:ハーバート・ヴォーゲル、ドロシー・ヴォーゲル
クリスト&ジャンヌ=クロード、リチャード・タトル、チャック・クロース、ロバート・マンゴールドほか多数
◯配給:ファイン・ライン・メディア・ジャパン /TSUMUGU
(2010/10/21)