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3/7山峡ダムのドキュメンタリーが公開

ユーロスペースでは、3月7日、山峡ダムによって水没する長江岸辺の一家を7年間に渡って撮影したドキュメンタリー『長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語』が公開される。

2009年に完成予定の三峡ダム。2008年にはオリンピックの聖火ランナーが、2309メートルという、この世界最大のダムの上を走った。三峡ダムの副所長は「我々は100年かけてこの道のりを作ってきた」と言う。一方、300億ドルの工事費をかけた国家プロジェクト三峡ダムは、140万人もの住まいと田畑の水没が代償となった。
これまで、中国では、ジャ・ジャンクー監督「長江哀歌(ちょうこうエレジー)」(2006)、ベルリン国際映画祭の新人監督賞作リ・イーファン、イェン・ユィ監督「水没の前に」(2004)など、水没前の長江をフィルムに残した作品が続々と発表されてきた。
今回のドキュメンタリー『長江にいきる 〜』も、同じテーマに基づいて制作された作品の1つ。変化のめまぐるしい中国国家を客観的に記録していく作品が多い中で、本作では、ひとりの平凡な農民女性・秉愛の7年以上に渡る国策への抵抗の逆境との闘いがストレートに描かれている。秉愛は言う。「自分が死んだ後、こう言われたい。“あの人は骨身を惜しまず、よく夫や子どもの面倒を見たね”ーー最高の褒め言葉よ」その言葉の背後には、中国内部の貧しい農村で尊厳をもって生きることの困難が浪々と湛えられている。

本作の監督フォン・イェンは、天津の大学で日本文学を学んだ後、日本に留学。1988年から13年間日本に滞在し、京都大学大学で農業経済学を研究した。1993年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でドキュメンタリー映画作家小川紳介の語りを収録した『映画を穫るードキュメンタリーの至福を求めて』と出会い、中国語に翻訳し台湾で出版。1994年、映像ジャーナリストの集団アジアプレス・インターナショナルに入り、写真とビデオ制作を学び、ドキュメンタリー製作を開始。学校に行けない子どもたちや、三峡ダムで水没する長江沿岸部など中国農村部の人々の暮らしを撮り続けている。

今回の上映にあたっては、音響技師菊池信之が、ほとんどフォン・イェン氏がひとりで撮影・録音した『長江にいきる』の音響設計を改めて担当している。菊池氏は1970年代の小川プロダクションで映画人生をスタートし、現在まで青山真治、河瀬直美、諏訪敦彦など日本の作家たちの仕事を支えてきた音響技師の巨匠。フォン・イェン氏との出会いは、第10回の山形国際ドキュメンタリー映画祭がきっかけとなった。

今回の上映にあたって、公開初日の3月7日にはフォン・イェン監督が舞台挨拶に登壇。また、エッセイスト秦早穂子さんとのトークショーも予定されている。
3月8日には朝日新聞編集委員の加藤千洋さんとフォン・イェン監督、また3月13日には映画評論家の山根貞男さんと菊池信之さんがそれぞれ登壇予定だ。


長江にいきる 秉愛の物語
2008年/中国/117分/配給:ドキュメンタリー・ドリームセンター/©ドキュメンタリー・ドリームセンター
上映場所:ユーロスペース
上映期間:2009年3月7日〜2009年3月27日
上映時間:11:00/13:30/16:00/18:30



初日舞台挨拶、トークショー詳細

初日舞台挨拶
開催日時:3月7日(土)11:00の回上映後と13:30の回上映前
ゲスト:フォン・イェン監督

トークショー

3月7日(土)
開催時間:18:30の回上映後
ゲスト:秦早穂子さん(エッセイスト)、フォン・イェン監督

3月8日(日)
開催時間:18:30の回上映後
ゲスト:加藤千洋さん(朝日新聞 編集委員/テレビ朝日コメンテーター)、フォン・イェン監督

3月13日(金) 
開催時間:18:30の回上映後
ゲスト:山根貞男さん(映画評論家)、菊池信之さん(映画音響)

(2009/03/03)

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