渋谷の再開発というと駅前ばかりに注目が集まるが、東京五輪開催年の2020年に向け、公園通りでも大規模な再開発が進んでいる。中でも注目は「渋谷パルコ」だ。80年代に隆盛を誇った「公園通りカルチャー」をけん引してきた、渋谷パルコ(パート1、パート3)が現在、「宇田川町15地区開発計画」に基づき、店舗営業を一時休業して建替え工事が行われている。
そもそも渋谷パルコの歴史を紐解けば、パート1は1973年、パート2は1975年、パート3は1981年にそれぞれオープン。以来、40年以上にわたって新進気鋭のファッションやアバンギャルドなアート、映画、演劇など、若者文化をリードする情報発信地として、大きな役割を担ってきたことは言うまでもない。ご存知の人も多いだろうが、「公園通り」というネーミングはパルコオープンに伴い、それまでの「区役所通り」という名称から一新されたものだ。いわば、今日の公園通りの表通り、「スペイン坂」などの裏通りの活況は、渋谷パルコがもたらしたものといえるだろう。
パート2は2007年に閉館し、昨年夏まではパート1、パート3の2館体制で営業を行ってきたが、建替え工事に伴って現在は一時休業。工期は東京五輪開催を控えた2019年9月まで。パート1、パート3を含む約5,380 平方メートルの同エリアには「新生パルコ」として高さ約110メートル、地上20階建ての複合商業施設の開業が予定。物販や飲食のほかファッションや演劇文化の育成、情報発信などを担うクリエーター育成施設や劇場などが設けられ、「公園通りカルチャー」の復活のトリガーとして期待されている。そのほか、まちのにぎわい・回遊性を高める歩行者ネットワークの形成や、地域共同荷さばき場、帰宅困難者支援機能の整備などが開発計画に盛り込まれている。
渋谷パルコ・パート1の向かい、2007年まで「渋谷パルコ・パート2」があった場所も新しい開発が始まっている。パート2閉館以降の跡地には、キリンビールが期間限定のビアガーデンを設置していたが、ようやく本格的な建設工事が始まっている。
渋谷パルコ・パート2の跡地、740.93平方メートルの敷地に2017年度中に開業を予定するのは、ヒューリックが新設する商業施設「渋谷公園通り計画(仮称)」だ。地上9階地下1階建ての同施設の1〜3階には、アパレルブランド「earth music & ecology(アースミュージック&エコロジー)」などを手掛けるストライプインターナショナルが、ホテルや飲食スペース、イベントスペースを併設するグローバル旗艦店「KOE(コエ)」をオープンすることが決まっている。3フロア構成、約450坪を誇る大規模店舗の1階は、飲食業態のほか、公園通りに面した立地を活かし、文化や情報を発信するイベントスペースを展開。2階はレディース、メンズ、キッズのアパレルを中心に雑貨などを販売し、3階にはブランドの世界観を体現するホテルをオープンする。将来的には同ブランドの欧米進出も計画しており、旗艦店である同店舗をその足がかりにしていくそうだ。