
映画、舞台、音楽、デザイン・・・、今年の秋も文化創造の街・渋谷は芸術で彩られます。そこで渋谷文化プロジェクトでは、この秋に渋谷で行われる4つのイベント「東京国際映画祭」「ダンストリエンナーレ」「デザインタイド」「渋谷音楽祭」の中から、「ダンストリエンナーレ」と「渋谷音楽祭」の見どころを2回にわたって特集します。第2回の今回は、街なかの二つの屋外ステージと渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)を使って行われる「渋谷音楽祭」(11/19)をご紹介します。

「第1回渋谷音楽祭」の準備に東奔西走する、主催元「NPO法人渋谷駅周辺地区まちづくり協議会」事務局の川上真由美さんに、渋谷で音楽祭を始める理由や見どころについてお話を伺いました。

--どうして、渋谷で音楽祭をはじめようと考えたのですか?

渋谷駅から半径500m(徒歩10分程)を見たときに気が付くのがホール、ライブハウス、レコード店など音楽資源が多数集積していることです。個々での音楽イベントは、すでに各ライブハウス、ホール、また商店街でも行われているものの、まだ「渋谷の顔」になっているものが存在していません。これだけ音楽資源が集まっているのであれば、それぞれに強みを持っている関係者が一堂に集まって、何か渋谷のシンボルになり得るものができるのではないか、と考えたわけです。「渋谷の街」の強みは、渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)などホールのほか、109前やハチ公口など街全体をステージにした音楽イベントができる可能性を秘めていること。さらに昔から地域の人たちと「尖った人」たちが街を築いてきた経緯もあって、ハード面の音楽資源の活用と、クリエイティブな人たちとそれを支える地域の人たちの協力によって、より創造力の高い音楽祭が実現できると期待しています。
--このイベントで伝えたいことは?
渋谷のライブエンタテイメントを支えているものに、ライブハウスがあります。とはいえ、実際に足を運ばない限り、その存在に気が付いている大人はきっと少ないのではないでしょうか。ライブハウスで輝いている才能豊かな若者たちを、もっと広く知ってもらう、そんなチャンスに渋谷音楽祭がなればと思っています。当初、この音楽祭の話を各ライブハウスへお願いするにあたり、ライブハウスの直接の利益にならないイベントであるため、受け入れられるかがとても心配でした。ただの賑やかしではなく、テーマである“3 little words”(ありがとう・こんにちは・ごめんなさい)でコミュニケーションを生み、渋谷の街にいる「人」、渋谷の街へ来る「人」の意識を高め、安全・安心の街「渋谷」を築いていきたい、と正面からぶつかってみたところ、思いがけずすんなりと協力が得られ、25箇所ものライブハウスの参加が決まりました。若いアーティストたちは、挨拶やマナーを大事にしており、彼らから音楽を通じ、モラル向上をメッセージとして伝えてもらうことは大変意味のあることだと感じています。

--見どころと楽しみ方について教えて下さい。

横浜のジャズプロムナードはジャズ、丸の内の音楽祭はクラシックといった特色のある中で渋谷は、あえてノンジャンルでいきたい。各ライブハウスから推薦された32組のバンドも、ロック、ヘビメタ、Jポップにシャンソンまで、そのジャンルは多岐に渡っています。その多様性こそが、渋谷ならではの特徴と言えます。音源審査の結果から、全アーティストを対象にリハーサルを実施しましたが、ライブの方がさらに素晴らしく、良い意味で期待を裏切られ、全員に参加をお願いしました。メジャーデビューをしていないアマチュアバンドと決して馬鹿にできませんよ。ヘビメタが苦手だった音楽祭の関係者が、リハーサル後に参加するヘビメタバンドの大ファンになっていた。やはり、良い音楽は人の心を打つんですよ。そこで音楽祭では、参加するアーティストすべてのライブを見られるように、あえてメイン会場を設けていません。まず昼12時の渋谷マークシティ屋外ステージを皮切りに、14時から会場をマルイシティ前のステージに移し、最終的に17時から渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)へと、昼から夜まで、すべてのアーティストのライブを逃さず楽しむことができます。渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)ではすべての参加アーティストが一堂に会して、グランドフィナーレを迎えたいと考えています。また谷村新司さんをフラッグアーティストとして迎えていますが、押尾コータローさんにも渋谷音楽祭の趣旨に賛同いただき、ゲストとしての参加が決定しています。
--将来的なビジョンや夢はありますか?
第1回目の今回は、ライブハウスで活躍しているアーティストのみに絞りましたが、今後はストリートミュージシャンや、ダンスパフォーマーなど様々なジャンルで輝いている人たちの参加も考えていきたい。メジャーではなくても、才能ある次世代の若いアーティストを育てる場にしたい。そして渋谷で創造する音楽が渋谷の観光を担って欲しい。アジアや世界の人びとが渋谷の音楽を目指して日本へ訪れる、そして渋谷の夜をライブハウスで楽しむ、そんなインターナショナルなフェスティバルになったら、すごいですよね(笑)。

2004年設立。「人が主役の、文化と変化を感じる安全で安心できるまちづくり」を目的に、渋谷駅周辺地区の町会、商店会などの有志らが渋谷駅周辺のまちづくりを推進する地域主体の特定非営利活動法人。主な活動として渋谷の将来像について調査・研究、まちづくりの普及啓発、美化活動、防犯活動や地域活動への支援等を行う。

「第1回渋谷音楽祭」の会場は全部で3か所あり、参加アーティストは32組にもなります。その中から渋谷の街角で演奏する、ヒトミリリィ、プールサイド、川浦正大さんの3組のアーティストに語っていただきました。(コメントはこちら)
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