掛井五郎の動物記
上映・公演は終了しました。

掛井さんのこと
お孫さんが描いた昆虫の絵を見て、モーレツに創造意慾をかき立てられて、しばらくは昆虫の絵とオブジェを作ることに没頭していた。そんな掛井五郎は、ふだんの傲然とした風姿からは想像できないくらいに、やさしくて、ナイーヴで、純粋そのものだ。
しかし、よくよく作品を見てもらいたい。こんなにも子どものように無邪気な、「ひたすら飛びたがっている翼あるもの」を造る作家が、一体どこにいるだろうか? あまりに直載で、あまりにナイーブであるために、かえって晦渋であるようなことが、ときたま起こるのかもしれない。
掛井五郎の作品を見ると、いつもこの肉体(彫刻)には、心がある、と思う。肉体(彫刻)は、心があることによって湾曲したり歪んだりして、かぎりなくアンフォルメルへと傾斜している。それが彫刻にとって、よいことなのかどうかは与り知らぬことだが、崖っぷちでデングリ返しをしているのを見ているようで、ヒヤヒヤする。
ふつうは鎮静させるであろう、彫刻というクラシカルな藝術なのに、こと掛井五郎のものとなると、そう安閑としてはいられない。審美の対象ではない、鑑賞の対象でもない、何かこうジッとしていられなくなる喚起力の塊り。
そういう彫刻と向かい合うには、こちらがわも裸の知覚をもってするしかない。
それにしても、理解されることを振り切るような、変貌のすさまじい速度は、どうだろう?技術というものを己の限界とするのを厭がって、むしろ危なっかしい創造の衝動にすっかり身をまかせようとしているかのようだ。
掛井五郎は、なんとロマンチックな疾風怒濤の藝術家だろう。 掛井五郎の作品と向かい合って、なにもなかったかのように、無疵でいることはむずかしい。 2006年2月
佐伯 誠

画廊・ギャラリー
掛井五郎
料金:一般:600円/小中学生:200円/視覚障害者及び付添者:300円
※表示されている料金は全て税込みです。
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