幻視の美学・松本俊夫映画回顧展
上映・公演は終了しました。

Photo:『薔薇の葬列』配給:ダゲレオ出版
武満徹、粟津潔、大島渚、東松照明、寺山修司、山口勝弘...映像作家として60年代を彩る豊かな才能と交流し、映画理論家として松竹ヌーヴェルヴァーグをはじめ当時生まれつつあった革新的な映画表現に大きな影響を与えていた松本俊夫。
1969年、松本はゲイボーイ、ヒッピー、学生運動、ハプニングといった当時の風俗をリアルなドキュメンタリー的手法を交え作品に取り込んだ長編デビュー作『薔薇の葬列』で、時代の状況と作家性を見事に結晶化させ、新たな映画の時代の到来を証明した。
そのセンセーショナルな内容と、この映画でデビューを果たした当時16歳のピーター(池畑慎之介)の妖艶な美しさも加わって、大きな衝撃として受け止められたこの作品は「キューブリックの『時計じかけのオレンジ』(1971)に大きな影響を与えた」(ハーバード大学フィルムアーカイブ)とされ、いまや欧米やアジアにおいてもカルト的な人気作となっている。
2009年新春、作品公開後40年になる『薔薇の葬列』(ニュープリント)を皮切りに、全劇映画と劇場初公開となる実験映画、ドキュメンタリー作品を含む過去最大の松本俊夫の映画回顧展が開催される!
■上映作品
●幻視の美学・松本俊夫映画回顧展vol.1
『薔薇の葬列』
出演:ピーター 土屋嘉男 小笠原修 城よしみ 仲村紘一 フラメンコ梅路 太田サー子
卍太郎 内山豊三郎 東恵美子 小松方正 特別出演:秋山庄太郎 粟津潔 池田龍雄 小島武 篠田正浩 藤田繁矢(敏八) 蜷川幸雄 八木治郎 淀川長治
脚本・監督:松本俊夫
松本プロダクション+日本ATG提携作品/1969年/モノクロ/スタンダード/1時間47分/ニュープリント版/配給:ダゲレオ出版
母を殺して父と寝た美少年(ピーター)は、フーテンのゲバラ(内山豊三郎)たちとの薬物と乱交パーティの世界に引き寄せられていき、やがては決定的な悲劇を迎えることになる…。
ギリシャ悲劇「オイディプス王」を元に、ゲイボーイの世界、フーテン、ヒッピー、マリファナ、学生運動といった1968年当時の風俗と世相を大胆に取り入れた、松本俊夫の劇映画デビュー作にしてサイケデリック映画の決定版。「昭和元禄」のさなかの新宿、六本木、原宿の風景が生き生きと甦る。この映画でのデビューをきっかけにピーター(池畑慎之介)はスターダムに駆け上ることになった。
『修羅』
出演:中村賀津雄 唐十郎 三条泰子 今福正雄 松本克平 田村保 観世栄夫 天野新士 山谷初男 南裕輔 江波多寛児 川口敦子
脚本・監督:松本俊夫 原作:鶴屋南北「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」
松本プロダクション+日本ATG提携作品/パートカラー/スタンダード/1971年/2時間14分/ニュープリント版/配給:ダゲレオ出版
赤穂浪人・薩摩源五兵衛(中村賀津雄)は、仇討ちに加わろうと身を隠し金策をする。しかし美しい芸者小万(三条泰子)に惚れてしまい身請けのために百両を渡すが、小万には三五郎(唐十郎)と子供がいた。だまされた源五兵衛は、凄惨な殺人鬼と化してしまう…。
「仮名手本忠臣蔵」の外伝的な物語である鶴屋南北の歌舞伎狂言「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」をもとに、松本俊夫が脚本を書いた異色の時代劇。全編夜の闇、しかも登場人物12人中、9人が死に果てるという怨念劇を、舞台劇を思わせる朝倉摂の大胆なセット、名キャメラマン、鈴木達夫による黒を基調にハイコントラストの美しいモノクロ画面で描き上げる。
『松本俊夫実験映画特集』
映像作家としての原点である前衛的なドキュメンタリーから、70年代にいち早く取り組んだビデオ映像を駆使した実験映画など、新しい表現・メディアへ飽くなき挑戦を続けていった松本俊夫の作家としての軌跡を紹介。松本の幻のデビュー作『銀輪』、貴重な初期の名作『白い長い線の記録』から現時点の最新作『DISSIMULATION<偽装>』まで、24作品を劇場初公開!
○program A 詩としての映像 87分
『西陣』 (35ミリ/26分/1961) 撮影:宮島義勇
*ベネチア国際記録映画祭グランプリ
『石の詩』(16ミリ/25分/1963) 音楽:秋山邦晴 *トゥール映画祭入選
『母たち』(16ミリ/36分/1967) 詩:寺山修司、声:岸田今日子、音楽:湯浅譲二
*ベネチア国際記録映画祭グランプリ、毎日映画コンクール企画賞
○program B 視想の錬金術 92分
『つぶれかかった右眼のために』(16ミリ /13分/1968)音楽:秋山邦晴
『エクスタシス<恍惚>』(35ミリ/10分/1969)音楽:松本俊夫
『メタシタシス<新陳代謝>』(16ミリ/8分/1971)音楽:一柳慧
『モナ・リザ』(16ミリ/3分/1973)
『ファントム<幻妄>』(16ミリ/10分/1975)音楽:近藤譲(ニュープリント)
『アートマン』(16ミリ/11分/1975))音楽:一柳慧
『ホワイトホール』(16ミリ/7分/1979)音楽:湯浅譲二(ニュープリント)
『気=Breathing』(ビデオ/30分/1980)音楽:武満徹
*オーバーハウゼン国際短編映画祭グランプリ
○program C 反復と変容 85分
『エクスパンション<拡張>』(16ミリ/14分/1972)音楽:一柳慧
『アンディ・ウォーホル=複々製』(16ミリ/23分/1974)音楽:湯浅譲二
『色即是空』(16ミリ/8分/1975)音楽:一柳慧
『エニグマ<謎>』(16ミリ/3分/1978)
『コネクション』(16ミリ/10分/1981)音楽:稲垣貴士
『リレーション<関係>』(16ミリ/10分/1982)音楽:稲垣貴士(ニュープリント)
『シフト<断層>』(16ミリ/9分/1982)音楽:稲垣貴士(ニュープリント)
『スウェイ<ゆらぎ>』(16ミリ/8分/1985)音楽:稲垣貴士
○program D 最初期と後期 78分
『銀輪』(35ミリ/10分/1955)
『白い長い線の記録』(35ミリ/15分/1960)
『エングラム<記憶痕跡>』(16ミリ/13分/1987)音楽:稲垣貴士(ニュープリント)
『気配』(ビデオ/20分/1990)
『DISSIMULATION<偽装>』(ビデオ/20分/1991)
●幻視の美学・松本俊夫映画回顧展vol.2
『十六歳の戦争』
出演:秋吉久美子 下田逸郎 瑳峨三智子 佐々木孝丸 ケーシー高峰 戸浦六宏
脚本・監督:松本俊夫
サンオフィス作品/カラー/シネマスコープ/1973年/1時間34分/配給:サンオフィス
有永甚は、ゆきずりの町であずなという16歳の少女と出会う。その町は豊川稲荷と、戦時中東洋一を誇る海軍大工廠があったことで有名だった。当時、海軍工廠には、豊川を中心とする中部地方から動員された多くの若者たちが働いていた。しかし、昭和20年8月7日の大空襲で大工廠は全滅したのだった…。
8月7日の豊川大空襲の慰霊祭を背景に、若い男女の出会いと別れを描いた移植の青春映画。秋の野原を駆け、湖のほとりで悲しみに沈み、みずみずしい裸体で水と戯れる秋吉久美子(映画初主演)の姿が目に眩しい。これは当時売れっ子のフォークシンガー下田逸郎の「日の当たる翼」の調べに載せて描いた映像詩であると同時に、今も残る戦争の傷跡を凝視し、無為の詩を余儀なくされた多くの死者たちに捧げた鎮魂歌である。
『ドグラ・マグラ』
出演:桂枝雀 松田洋治 室田日出男 江波杏子 三沢恵里 小林かおり 森本レオ 灰地順
北見治一 渡辺文雄(友情出演) 人形:ホリ・ヒロシ
脚本・監督:松本俊夫 原作:夢野久作「ドグラ・マグラ」
活人堂シネマ作品/カラー/ビスタ/1988年/1時間49分/1988年ベルリン国際映画祭出品
悪夢にうなされた一郎(松田洋治)が目を覚ますと、そこは精神病院だった。若林博士(室田日出男)は、一郎がある恐ろしい事件に巻き込まれて記憶喪失になってしまったのだと告げる。その秘密を解く鍵は、一郎の主治医で自殺してしまった正木博士(桂枝雀)と、ある若い大学生の患者が書いた小説「ドグラ・マグラ」にあるらしい。「ドグラ・マグラ」の原稿に触れ、眠っていた一郎の記憶が少しずつ奥底でうごめき出す…。
「映像化不可能」と言われていた日本文学を代表する奇書、夢野久作の『ドグラマグラ』を初めて映画化。謎が謎を呼ぶ迷宮的な物語世界を松本俊夫が魔術的な視覚効果と話法で巧みに紡ぎ出した。上方を代表する天才的な落語家、桂枝雀の唯一の映画主演作で正木博士役で見事な怪優ぶりを発揮している。
特集上映・映画祭
監督:松本俊夫
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