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ザ・フー:アメイジング・ジャーニー

上映・公演は終了しました。

2007年/アメリカ/120分/配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ/©2007 SPITFIRE PICTURES,LLC.ALL RIGHTS RESERVED

“ロック・ドキュメンタリーの最高傑作”とも評される『キッズ・アー・オールライト』から28年、それを上回る最強の映画が遂に日本上陸。『ザ・フー:アメイジング・ジャーニー』、これはザ・フーが苦悩しながらも進化し続ける姿を見事に捉えた、正にすべてのロック・ファン必見の映画である。
監督はニューポート・フォーク・フェスティバルを記録した『Festival』(67年)、70年のワイト島フェスティバルを捉えた『Wight』(95年)、マイルス・デイヴィスを題材にした『Miles Electric』などの優れたドキュメンタリーを生み出したマレー・ラーナー。この映画は彼がザ・フーの2人、ピート・タウンゼンドとロジャー・ダルトリーの承認のもと、数多くの関係者の証言や現存する映像によりザ・フーの実像に迫った迫真の記録であり、初めて観る者はザ・フーの爆発的でありながらも知性溢れる演奏に心揺さぶられ、長年ザ・フーを愛し続けていたコアなファンは、初めて目の当たりにする貴重な映像に驚かされること間違いなしだ。さすがにラーナーが3年にも及ぶ綿密なリサーチを敢行、映像発掘はファンの持つプライベート・フィルムにまで及んだというだけある充実ぶりだといえよう。
そして映画に登場するポップ・ミュージック界のビッグ・ネーム達、スティング、エディ・ヴェダー(パール・ジャム)、ノエル・ギャラガー(オアシス)、エッジ(U2)の発言にはザ・フーへの愛情が溢れており、見る者の胸を熱くさせる。音楽ジャーナリストのリチャード・バーンズ(かつてタウンゼンドの同居人だった)、キット・ランバートとともに初期ザ・フーを売り出すために奔走した元マネージャー、クリス・スタンプ、「マイ・ジェネレイション」などの初期作品を手がけた米国出身のプロデューサー、シェル・タルミー、アルバム「トミー」のカヴァー・アートを手がけ、タウンゼンドにインドの導師、ミハー・ババを紹介した画家、マイク・マッキナニー、70年代から現在に至るまでザ・フーを見守り続けたマネージャー、ビル・カービシュリーなど、間近でザ・フーを見続けていた関係者の証言は生々しく、時代の空気感を如実に伝えている。
 映画は4人のメンバーそれぞれが生まれ育った、空襲で荒れ果てたロンドンの街並みからスタートする。そしてダルトリーが“運命”だと表現する出会い、ザ・フーの結成、デヴューへと話は進むが、その間にもメンバー間の対立や確執、解散の危機を迎えるなど華々しい表向きの姿とは対照的に、苦悩と争いが絶えない中をひたすら突き進んでいくメンバー達。映画では69年のアルバム「トミー」の成功により巨大化してゆくオーディエンス、タウンゼンドの「トミー」を超えなければならない次作へのプレッシャー、タウンゼンドとともにロック・オペラを生み出したマネージャーとの決別など、成功と引き換えにもたらされた苦しみや葛藤が描かれていく。そして自らの過失で無二の親友だった運転手を轢死させたことで孤独化してゆくキース・ムーン、“破壊”の反動からインドの導師へと心の拠りどころを求めてゆくタウンゼンド、そして予期しながらも訪れてしまうムーンの死…。素晴らしい作品や最高のパフォーマンスに覆い隠されたバンドの闇の部分へも本作は切り込んで行き、決して順風満帆には歩めなかったバンドの姿をリアルに捉えている。しかし、もがき苦しむバンドの姿を伝えながらも、やはりフィルムから溢れるのはザ・フーの爆発的で最高に弾けたパフォーマンス、そしていまだに色あせない極上のナンバーの数々に他ならない。これを見ればザ・フーが地上最高のロック・ライヴ・バンドだったということが心の底から感じられるはずだ。
 02年に突如として訪れたジョン・エントウィッスルの死が気づかせてくれたダルトリーとタウンゼンドの友情にも焦点が当てられる。それまで常に対立関係にあった彼ら2人に生まれた強固な信頼関係が支える現在のザ・フー。そして今もステージに立ち続ける彼ら。
 ロック・バンドの歴史を追った作品は数あるが、これほどドラマチックで且つ奥深く、そして心躍る作品には滅多に出会えないだろう。それはザ・フーがいかに劇的なバンドだったかの証でもある。数々の貴重な証言と豊富な映像がもたらす事実の重みは何物にも代え難いものがあり、巧みな編集による緊張感は映画に躍動感を与える。しかし本作が素晴らしいのはザ・フーの音楽の魅力が見事に描かれているのに他ならない。そしてそれらに彩を添えるポップ・ミュージック界のビッグ・ネーム達。『ザ・フー:アメイジング・ジャーニー』はロック・ファン、いやすべての音楽ファン必見のドキュメンタリーなのである。

ドキュメンタリー

監督:マーレイ・ラーナー 出演:ロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼンド、ジョン・エントウィッスル、キース・ムーン

料金:施設参照

※表示されている料金は全て税込みです。
※やむを得ない都合により、開催スケジュール及び内容が変更になる事があります。詳細は各主催者へお問い合わせ下さい。

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