真夏の夜の夢
上映・公演は終了しました。

1983,84年/スペイン・イギリス合作/78分/配給=テイト・コーポレーション
リンゼイ・ケンプ・カンパニー「エリザベス1世」来日公演記念として、『真夏の夜の夢』を限定上映。
シェイクスピアの『真夏の夜の夢』は、けっして無邪気で愛らしいだけのお伽話ではない。その美しい夢幻と至福の世界のかげに、ある種の毒気や背徳のイメージに満ちたデュオニソス的な一面をはらんだ一夜の饗宴なのである。リンゼイ・ケンプの演出は、なによりもそのことを主題として大きくとりあげる。そしてリンゼイは、この物語の真の演出者であるバック役を彼自身で演じているのだ。
リンゼイの演じるバックは、大きく裂けた口とロバのような大きな耳、そしてしっぽを持った悪魔の姿をしている。そしてこの悪戯好きの魔物は、森の妖精の王オーベロンの道化のふりをしながら、じつは世界を彼の手中に収めているのだ。ここでもう、バックと演出家のリンゼイ・ケンプは完全に一体化している。そうしてリンゼイ=バックは、妖精の女王タイターニアをその名も“素晴らしき”インクレディブル・オーランドという盲目の男優に演じさせ、まさしく両性具有を絵に描いたような“お小姓”チェンジリングを登場させ、そしてライサンダーとハーミア、ディミートリアスとヘレナという二組の恋人たちを恋の媚薬によってホモ・レズのカップルに代えてしまったりするのである。
この作品はリンゼイ・ケンプ・カンパニーの舞台版をセレスティーノ・コロナードが脚色・演出した映画版である。コロナードはスペイン生まれ、後にロンドンに住みリンゼイ・ケンプ・カンパニーの一員として、他にも映画「リンゼイ・ケンプ・サーカス」などを作っている。舞台版のヒポリタ/タイターニア、シーシアス/オーベロンの一人二役に代わって、この映画ではヒポリタ(スペインの人気女優マヌエラ・ヴァルガス)とシーシアスはそれぞれ別の俳優が演じ、さらに映画版のディミートリアスを演じるデヴィッド・ホートンは現在リンゼイのもっとも重要な協力者である。昨年(1986年)の夏の一夜に観た『真夏の夜の夢』に続いて、この映画版でもリンゼイの魔法の一振りは、またしても私をちょっぴり危険で甘美なもうひとつの世界へと誘ってくれるのである。
※解説は1987年日本公開時のちらしより転載
洋画
監督:セレスティーノ・コロナード 出演:リンゼイ・ケンプ、ヒポリタ、インクレディブル・オーランド、マイケル・マテュー
料金:施設参照
※表示されている料金は全て税込みです。
※やむを得ない都合により、開催スケジュール及び内容が変更になる事があります。詳細は各主催者へお問い合わせ下さい。







