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内田吐夢110年祭

上映・公演は終了しました。

photo:『飢餓海峡』1965年/日本/©東映

■上映作品

『血槍富士(ニュープリント)』公開:1955年
監督:内田吐夢 主演:片岡千恵蔵、島田照夫、月形龍之介、喜多川千鶴、田代百合子
中国抑留から帰還した内田吐夢が、伊藤、小津、清水、溝口の協力を得て13年ぶりにメガホンを握った復帰第一作。若様の槍持ちとして東海道を旅する権八は、気立てはいいが酒乱の気がある。道中些細ないさかいから若様を殺されてしまった権八は、地主人の仇を討つべく無頼たちに立ち向かっていく…。命がけで闘う権八の姿に胸が熱くなり、「海ゆかば」の編曲が流れるペシミスティックなラスト・カットが心を揺すぶる、必見の名作!

『飢餓海峡』公開:1965年
監督:内田吐夢 主演:三国連太郎、左幸子、三井弘次、加藤嘉、沢村貞子、藤田進、風見章子、高倉健
水上勉原作、名匠・内田吐夢監督による日本映画史上に残る不朽の名作。物語は、戦後日本の混乱期に犯罪によって大金を手にした男、その男に助けられた女、そして男を追う刑事の10年間を軸に展開する。困窮を極めた人間の欲望と運命、そして悪とは何か・・・!?新たな秩序を作りつつある日本社会を背景に、人物の運命の交流を描いたこの作品は、単なる犯罪劇とは異なる一大叙事詩でもある。

『土(16mm)』公開:1939年
監督:内田吐夢 主演:小杉勇、風見章子、どんぐり坊や、山本嘉一、見明凡太郎、山本礼三郎、鈴木三右衛門
父の借金のために地主に媚を売って仕事を貰う勘次は父を恨むが、それを非難する村人にも腹を立て、次第に村の中で孤立していく。そんな時、雪の中勘次の様子を心配して訪ねてきた父が行方不明になり…。日活多摩川撮影所のリアリズム映画の傑作として知られる、日本の「農民映画」の金字塔。貧農一家の地を這うような暮らしが、四季の移ろいの中で描かれる。オリジナル版は消失しており、今回上映するのは50分短い短縮版。

『たそがれ酒場(16mm)』公開:1955年
監督:内田吐夢 主演:津島恵子、野添ひとみ、小杉勇、小野比呂志、宇津井健、高田稔、加東大介、丹波哲郎
「たそがれ酒場」と呼ばれる大衆酒場は、今宵も様々な職業を持つ人々で賑わう。或る夜、酒場唯一の出し物エミー・ローザのストリップショーの最中に、元パトロンが彼女を切りつける事件が起こる…。事件を皮切りに、そこに集まる人々の様々な人生が浮き彫りにされてゆく。交錯した人間模様を、グランド・ホテル形式で、重厚に描きつつもテンポ良く魅せた一本。

『自分の穴の中で(16mm)』公開:1955年
監督:内田吐夢 主演:三國連太郎、宇野重吉、金子信雄、北原三枝、月丘夢路、滝沢修、北林谷栄
多美子は将来有望な医師伊原との結婚を継母・信子から勧められるが、伊原と信子との関係を怪しむ多美子は応じない。妻に逃げられた兄順二郎が長年患っていた肺病によって病死し、自分を慕っていた小松も東京を去り、継母をも追い出した多美子は、ついにひとりぼっちになってしまう。順二郎は墓穴に、生きている者も自分の穴にこもり出ようとはしない。崩壊してゆく家族を通して人間関係のあり方を問う。美術監督・木村威夫の洗練された空間作りにも注目。

『大菩薩峠(ニュープリント)』公開:1957年
監督:内田吐夢 主演:片岡千恵蔵、中村錦之助、月形竜之介、岸井明、波島進、大河内伝次郎
未完に終わった中里介山の原作を、片岡千恵蔵を主役に迎え映画化したシリーズ第一弾。時は幕末。剣客・机龍之助は試合で殺した男の許婚お浜を犯して妻とし、その後新撰組に入隊して京都へ赴く。一方、龍之助に殺された兄の仇を討つべく、宇津木兵馬もそのあとを追うが…。何かにとりつかれたように、次々と人を斬る狂気に満ちた龍之助を、片岡千恵蔵が熱演。同小説はこれまで幾度となく映画化されてきているが、この内田監督による三部作を最高傑作として讃える声も多い。

『大菩薩峠 第二部(ニュープリント)』公開:1958年
監督:内田吐夢 主演:片岡千恵蔵、中村錦之助、長谷川裕見子、月形龍之介、浦里はるみ、丘さとみ
前作の戦いで盲目となった机龍之介は、紀州の温泉で自分が斬り殺した妻のお浜にうりふたつの薄幸のお豊に助けられて伊勢古市に身を隠し、一度は人間らしい心を取り戻すが、やがて旗本の陰謀に巻き込まれ、再び血に飢えた魔性が目を覚ましてしまう。またも人を斬り続ける龍之助の背後には、兄の仇と狙う宿敵・宇津木兵馬が迫っていた…。龍之助を巡る様々な人物が入り乱れる群像劇でもある、シリーズ第二作。

『大菩薩峠 完結篇(ニュープリント)』公開:1959年
監督:内田吐夢 主演:片岡千恵蔵、中村錦之助、東千代之介、長谷川裕見子、月形龍之介、浦里はるみ、丘さとみ、山形勲
血に飢えた剣客・机龍之介は、妻お浜の死霊に導かれるように、彼女の故郷である武州沢井村を訪れた。一方、龍之介を兄の仇として追い求める宇津木兵馬は、ついに大菩薩峠で彼と対決。その峠は、かつて龍之介が老巡礼を斬り捨てた場所でもあり、そのとき遺された孫娘は大きく成長し、今では兵馬の恋人となってい他…。シリーズ全体に醸し出される仏教的虚無感は圧倒的なものがある。絶賛を浴びた千恵蔵、吐夢の黄金コンビ時代劇巨篇完結篇。

『妖刀物語 花の吉原百人斬り』公開:1960年
監督:内田吐夢 主演:片岡千恵蔵、水谷良重、木村功、山東昭子、千原しのぶ、沢村貞子、花柳小菊
絹商人の夫婦に拾われた捨て子の次郎左衛門は顔に痣があった。真面目な人柄で商売を大繁盛させるも、見合い相手には化物を見るような目で見られる始末。ある日、吉原で遊女の玉鶴に「心に痣があるわけじゃない」とやさしい言葉をかけられ、惚れた挙句に家産を傾けるが、「金の切れ目が縁の切れ目」と愛想づかしをされ、だまされていたと知った次郎左衛門は妖刀“籠釣瓶”を抜き、彼から巻き上げた金で太夫の披露をする女の行列に斬り込んだ…。次郎左衛門が花魁道中の行列に斬りかかるラストシーンは圧巻。

『宮本武蔵』公開:1961年
監督:内田吐夢 主演:中村錦之助、風見章子、入江若葉、木村功、浪花千栄子、阿部九州男、三國連太郎、木暮実千代、丘さとみ
吉川英治原作の「宮本武蔵・全五部作」を年に一作づつ映画化し、5年がかりで完成させるという壮大な構想で始まったシリーズの第一作目。錦之助の武蔵、木村功の又八、入江若葉のお通、丘さとみの朱実、さらに三國連太郎の沢庵といったキャストで、武蔵の少年期が描かれる。関ヶ原の残党として捕らえられた武蔵が、沢庵和尚から人間としての在りようを諭され、万巻の書を読むことで、野蛮なだけの強さであった自分の愚かさに気づく。武蔵の成長の物語が始まりとしての見事なプロローグである。

『恋や恋なすな恋』公開:1962年
監督:内田吐夢 主演:大川橋蔵、瑳峨三智子、宇佐美淳也、河原崎長一郎、加藤嘉、原健策、月形龍之介
都の空を雲が覆い、異常気象が続いていた。濡れ衣を着せられ、都を追われた宮廷陰陽師・安部保名は美しい娘に命を救われる。しかしその娘の正体は…。
陰陽師の代表的人物・安部晴明の出生にまつわる物語を、仮面劇、アニメーション、舞、舞台劇などの異質な要素を大胆に取り込んで描いた本作は、様式性と実験精神において突出している。

『宮本武蔵 般若坂の決斗』公開:1962年
監督:内田吐夢 主演:中村錦之助、入江若葉、木村功、浪花千栄子、阿部九州男、三国連太郎、木暮実千代、丘さとみ
天守閣の暗闇で生まれ変わった武蔵は、沢庵の手によって再び広い世間へと連れ戻され、さらに数年の武者修行を経た後、京都の名門・吉岡道場に現れる。門弟たちをことごとく打ち負かした武蔵に、高僧日観は「お前は強すぎる…。もっと弱くならねば…」と諭す。またこの章では、武蔵を追って旅をするお通、お甲との愛欲に溺れる又八、遊興の世界に身を沈めながら武蔵に思いをはせる朱実など若者たちの姿が描くことで、青春群像劇としてのシリーズの側面が強調されている。

『宮本武蔵 二刀流開眼』公開:1963年
監督:内田吐夢 主演:中村錦之助、入江若葉、木村功、浪花千栄子、阿部九州男、木暮実千代、丘さとみ、高倉健
この章では柳生石舟斎、吉岡清十郎との果たし合いが描かれ、そして生涯最大の敵である佐々木小次郎が登場する。佐々木小次郎に扮する長身の高倉健が長剣の物干し竿を背負ったさまは、天才肌の小次郎の押し出しの強さと華やかさ、さらに不敵な冷酷さをも感じさせて武蔵生涯にわたる最大の敵というのにふさわしい存在感を醸し出している。

『宮本武蔵 一乗寺の決斗』公開:1964年
監督:内田吐夢 主演:中村錦之助、入江若葉、木村功、浪花千栄子、竹内満、丘さとみ、高倉健
吉岡清十郎、さらに弟の伝七郎との果たし合いで彼らを倒した武蔵は、吉岡一門の総力をあげた挑戦を受けることになる。これが73人の敵を向こうにまわし、武蔵がひとりで戦いを挑むという有名な一乗寺下がり松での決闘である。この映画史に残る見事な決闘シーンは、内田吐夢のリアリズムが到達したひとつの頂点であり、白黒で撮影された19分にも及ぶ決闘シーンは、まさに息を呑むような迫力に満ちあふれている。

『宮本武蔵 巌流島の決斗』公開:1965年
監督:内田吐夢 主演:中村錦之助、入江若葉、木村功、浪花千栄子、丘さとみ、三國連太郎、高倉健、片岡千恵蔵
先の吉岡一門との対決で罪もない人を巻き添えにしてしまったことに苦悶し、父のない少年伊織と共に百姓として暮らす武蔵のもとに、小次郎から果たし状が届く。泣きすがるお通を振り切って、巌流島に小船で向かう武蔵が波打ち際に降り立つと、小次郎が長刀の鞘を投げ捨てた。「小次郎、敗れたり!」の名台詞で始まる武蔵・小次郎の迫真の立会いは必見!ここに至って、内田吐夢は過去幾度となく映画化された「宮本武蔵」の中での最高峰に位置する武蔵像を作りあげたのである。

『人生劇場 飛車角と吉良常』公開:1968年
監督:内田吐夢 主演:鶴田浩二、若山富三郎、高倉健、辰巳柳太郎、藤純子、中村竹弥、大木実、信欣三、天津敏、山城新伍、小林稔侍、松方弘樹、左幸子
大木実、信欣三、天津敏、山城新伍、小林稔侍、松方弘樹、左幸子
侠客の飛車角は恋人おとよをめぐって人を斬り、その逃亡の途中で、老侠客・吉良常と出会い、彼の勧めで自首する。しかしその投獄中、おとよは玉の井に身を売り、客の宮川と愛し合うようになってしまう……。尾崎士郎の名作小説『人生劇場』の第3部『残侠篇』の映画化。それまで映画としての地位が低かった任侠映画が、初めて批評家から高い評価を得、その年のキネマ旬報ベストテンに入るという快挙を成し遂げた。

『真剣勝負』公開:1971年
監督:内田吐夢 主演:中村錦之助、沖山秀子、田中浩、岩本弘司、当銀長太郎、三國連太郎
武蔵と宍戸梅軒を中心に、梅軒の女房とその子のほぼ四人に話をしぼり、梅軒の鎖鎌に対して武蔵が二刀流を開眼するまでを、武蔵が梅軒の家を訪れる夕刻からの二十四時間の出来事としてセミ・ドキュメンタリータッチで描いた宮本武蔵シリーズの番外編とも言うべき作品。武蔵と宍戸梅軒の死闘が、目も眩むようなスピードで怒濤の展開を見せる、闘う男の気迫が全篇に満ち満ちた、内田吐夢の遺作。

『どたんば(ニュープリント)』公開:1957年
監督:内田吐夢 主演:江原真二郎、中村雅子、波島進、岡田英次、加藤嘉、東野英治郎、志村喬
美濃平野の小さな炭鉱で起こった落盤事故をモチーフに、坑内に閉じ込められた5人の坑夫の生死の行方をサスペンスあふれる演出で描く迫力たっぷりの作品。5人の坑夫の人生と、救助作業にあたる所長や韓国人坑夫たちの姿を通して、「どたんば」に追いつめられた人間の赤裸々な魂を鮮烈に浮かび上がる。もとは菊島隆三の書いたTVドラマで、これを橋本忍が映画用に脚色し直したものである。

『虚栄は地獄』公開:1925年
監督:内田吐夢 主演:瀧田静江、長谷川清、花沢義之
自分の職業を偽って結婚した若い夫婦が、本当の仕事を隠そうとすればするほど、ちょっとした嘘に身動きが取れなくなって・・・。お互いに見栄を張りつづける新婚夫婦が巻き起こす諷刺コメディ。夫婦の微笑ましさやテンポのいいストーリー展開は必見!

『生命の冠』公開:1936年
監督:内田吐夢 主演:岡譲二、滝花久子、伊染四郎、原節子、見明凡太郎、伊沢一郎、菊池良一、鈴木三右衛門
蟹缶詰製作所を経営する恒太郎と鉄次郎の兄弟は、例年にない不漁に悩まされ、取引先との契約も危ぶまれている。口論しながらも打開策に力を合わせる二人だが……。戦前当時の検閲に、労使問題を十分掘り下げられなかったとはいえ、ある種ドキュメンタリー的な力強さも感じさせる一編。リアルな北海道の荒波と、ヒューマニズム的なエンディングが印象的。

特集上映・映画祭

監督・出演:左記参照

料金:施設参照

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