ニキフォル 知られざる天才画家の肖像
上映・公演は終了しました。
2004年/ポーランド/100分/配給:エデン、配給協力:レゾナント・コミュニケーション
20世紀のヨーロッパにおける絵画芸術の分野で今最も注目されている画家の一人、ニキフォル。今やポーランドを代表する現代絵画の鬼才として世界的に知られる彼の人生は、歴史に名を残す多くの天才アーティストたちと同じく孤高の輝きに満ちていた。言語障害を持ち、文字の読み書きもできなかった彼にとって絵を描くことは生きることそのものだった。
素朴にして純粋、自由なイマジネーションと人間的な温もり、そして天才的な色彩感覚に彩られたその作品によって彼は、世界的な美術シーンにおいて大きなムーブメントとなっている“アール・ブリュット”の代表的作家として、日本でも昨年(05)、ハウス オブ シセイドウで開催された「生の芸術アール・ブリュット」展で紹介された。
古き良きヨーロッパの面影を今も残し、いくつもの世界遺産を有するポーランド南部の町クリニツァの美しい風景をこよなく愛し、教会や宗教的イコンなどを数多く描いたことからも“アール・ブリュットの聖人”とも称される彼の作品は、世界中の美術館や収集家の注目の的となっており、現在各国のオークションでも値段が高騰している。
73年間の生涯(1985-1968)に彼が残した絵画は約4万点、だが彼がようやく注目すべき芸術家と本格的に認められはじめたのは死の数年前のことだった。そして、その陰にはすべてを投げ打って彼の晩年を見守った一人の男の存在があった…。これは、ニキフォルが後見人マリアン・ヴォシンスキと出会い、共に過ごした珠玉の日々を描いた感動の実話である。
1960年、ポーランド南部の保養地クリニツァ。ある日、役所の管理部の美術担当マリアン・ヴォシンスキのアトリエに、小さな旅行カバンを持った小柄な老人ニキフォルが入ってくるとそこに居座り、絵を描き始めてしまう。頑固でわがままなうえ、肺結核を患うニキフォルは町中の厄介者だったが、画家でもあるマリアンはニキフォルの持つ他のアーティストにはないユニークな才能を見抜いていた。やがて、自分の才能に限界を感じていたマリアンは仕事や家族そっちのけでニキフォルの世話をはじめるが、ニキフォルの病状はしだいに悪化していく…。
男性であるニキフォルの晩年を、まるで彼が蘇ったかのような生き写しの容姿と圧倒的な演技力で演じるのは、長年に渡り映画、テレビ、舞台と幅広く活躍し、日本公開作には『モンローに憧れて』(87)や『ぼくの神さま』(01)などがある、今年86歳になるポーランドのベテラン女優クリスティーナ・フェルドマン。彼女は本作の演技でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の最優秀女優賞やキエフ国際俳優フェスティバルのグランプリなど、世界各国の映画祭で数多くの演技賞を受賞している。ニキフォルの後見人マリアンには、この映画でシカゴ国際映画祭最優秀男優賞を受賞したロマン・ガナルチック。他に、クシシュトフ・キエシロフスキ監督の『ふたりのベロニカ』(91)や押井守監督の『Avalon アヴァロン』(00)のイエジ・グデイコ、『戦場のピアニスト』(02)のマリアン・ジーゼルなどポーランドの演技派たちが脇を固める。
監督は99年のグディニャ・ポーランド劇映画祭グランプリ受賞作『借金』が05年の「ポーランド映画 昨日と今日」で上映された俊英クシシュトフ・クラウゼ。脚本は監督のクラウゼと、監督の妻でもあり助監督とキャスティングも兼ねるヨアンナ・コスの共同で執筆、田舎町クリニツァの季節の移り変わりを美しく捉えた撮影は『天国への300マイル』(89)、『エディ』(02)のクシシュトフ・プタク、60年代の風俗を完璧に再現した美術監督はアンジェイ・ワイダ監督の『鉄の男』(81)やクシシュトフ・キエシロフスキ監督の『殺人に関する短いフィルム』(87)のマグダレナ・ディポント、衣装はジョン・アーヴィン監督のハリウッド映画『密告者』(90・v)、クシシュトフ・ザヌーシ監督の『巨人と青年』(92)などのドロタ・ロクエプロ、温かくも物哀しい旋律が印象的な音楽はバートロメオ・グリニャク。製作は東京国際ファンタスティック映画祭‘89で上映されたファンタジー『キングサイズ』(87)、『ダ・ヴィンチ・プロジェクト』(04・v)など、本国では監督として有名なジュリアス・マチュルスキ。
キャスト、スタッフともに現代ポーランド映画界最高のメンバーが揃った本作は、第40回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でグランプリ、最優秀監督賞、最優秀女優賞、特別賞ドン・キホーテ賞の4部門を受賞したのをはじめ、世界各国で数々の賞に輝く傑作である。
洋画
監督:クシシュトフ・クラウゼ 出演:クリスティーナ・フェルドマン、ロマン・ガナルチック、ルチアナ・マレク、イエジ・グデンコ、アルトゥール・ステランコ
料金:施設参照
※表示されている料金は全て税込みです。
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