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ラストキング・オブ・スコットランド

上映・公演は終了しました。

2006年/アメリカ・イギリス/123分/配給:20世紀FOX/©2006 TWENTIETH CENTURY FOX

1971年のウガンダ。国民は、ひとりの指導者の登場に熱狂した。その名は、イディ・アミン。ヘビー級のボクシング・チャンピオンとして名声を築きあげたのち、軍人として数々の手柄をあげた国民的なヒーロー。類い希なカリスマ性と強いリーダーシップ、そして溌剌としたキャラクターで民衆を魅了した彼は、独立まもないウガンダの未来を託すのに最もふさわしい人物として、国外からも幅広く支持され、期待を集めた人物だった。しかし、クーデターによって最高権力を手に入れたときから、アミンの魂の腐敗は進行。妄想にとりつかれた独裁者へ、さらには非情な殺人者へと、次第に狂気をエスカレートさせていく。そんな実在の独裁者のおぞましくも魅力に満ちた人物像を、側近として仕えたスコットランドの青年医師の視点から、ドラマティックなサスペンスとして描きだした話題作が、『ラストキング・オブ・スコットランド』だ。
 イディ・アミン役は、フォレスト・ウィテカー。クリント・イーストウッド監督の『バード』(89)でも実在の人物を演じ、カンヌ国際映画祭の主演男優賞に輝いた彼だが、本作では、独裁者の光の部分と影の部分を見事に捉えた渾身の熱演を披露。ナショナル・ボード・オブ・レヴューを皮切りに、ゴールデン・グローブ賞○Rなど2006年度のほぼすべての映画賞で、主演男優賞を総なめにしている。
 ジャイルズ・フォーデンの処女小説を元にしたドラマは、スコットランドの医学校を卒業したばかりの青年ニコラスが、人助けの理想に燃え、クーデター直後のウガンダにやって来るところから始まる。偶然にもアミンの怪我の手当をしたことが縁で、大統領の主治医に任命されるニコラス。さらに相談役に取り立てられた彼は、アミンのフランクな人柄に惹かれ、彼と共に新しいウガンダを建設する仕事に満足を覚える。だが、ニコラスの知らないところで、抵抗勢力の反撃に怯えるアミンは、大規模な粛正を進めていた。そのことにようやく気づいて帰国を申し出るニコラスだったが、もはや彼は後戻りできないほど深みにはまりこんでいた。パスポートをとりあげられたあげく、英国の外交官からも見放されたニコラスが、自由になれる唯一の手段はアミンを暗殺することだけ。意を決した彼は、空港へ向かうアミンに一服の頭痛薬を手渡すのだ……。
 若者らしい理想主義と好奇心にかられてアミンという灼熱の太陽に近づき、大火傷を負ってしまうニコラス。アミンと交流のあった数人の欧米人をモデルに作り上げられた彼が、無意識のうちに犯していた罪の重さを知り、贖罪の道を見つけ出していくストーリーは、完全なフィクション。これに、アミンをはじめとする実在の人物や、エア・フランス機のハイジャック事件などの歴史的な出来事が、絶妙にからみあって紡がれていくドラマは、あの名作『ジャッカルの日』を彷彿させる緊迫感に満ちている。とりわけ、エンテベ空港を舞台にしたクライマックスは、一瞬たりとも目が離せない。アミンに対する裏切りが発覚し、空港内の売店で拷問にかけられるニコラス。彼の運命とハイジャック事件の顛末が1本の線で結ばれていくラスト5分は、サスペンス本来の息詰まる興奮を十二分に味わわせてくれる。
 「俳優としての僕のチャレンジは、ステレオタイプ化されたイメージではなく、本当にリアルなキャラクターを演じることだった」と、アミンの役作りについて語るフォレスト・ウィテカー。庶民的で茶目っ気のあるリーダー、家族思いの父親、疑心暗鬼にかられた孤独な独裁者、気まぐれなパラノイア。魅惑的であると同時にぞっとするほど恐ろしいアミンの多面的なキャラクターを、本作のウィテカーは肉感的に表現。凄まじい迫力で、観る者すべてを圧倒する。
 そんなウィテカーとガチンコのぶつかりあいを繰り広げるニコラス役のジェームズ・マカヴォイは、『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』でフォーンのタムナスさんに扮し、人気者になった注目のスコットランド俳優。アミンの正体に気づいた瞬間、幸福の絶頂から恐怖のどん底へ突き落とされるニコラスの驚愕と焦燥を、リアリティ満点に演じる彼の名演は、観客の共感を惹きつけずにはおかないだろう。
 98年度のウィットブレッド処女作賞をはじめ、数々の賞を受賞したジャイルズ・フォーデンの原作から、娯楽性と社会性を兼ね備えた脚本を生み出したのは、スティーヴン・フリアーズ監督の『クィーン』でも脚光を浴びているピーター・モーガンと、『Queen Victoria 至上の恋』でイヴニング・スタンダード英映画賞の脚本賞を受賞したジェレミー・ブロックのコンビ。監督には、『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞し、『運命を分けたザイル』で英アカデミー賞の最優秀英国映画賞を受賞したケヴィン・マクドナルドがあたり、ドキュメンタリー出身らしい切れ味の鋭い演出を見せる。今回、『28日後…』、『セレブレーション』などのアンソニー・ドッド・マントルを撮影監督に起用し、映像に臨場感を求めたマクドナルドは、前人未踏のウガンダ・ロケを敢行。ムラゴ病院、国会議事堂、エンテベ空港など、アミン政権時代の記憶が生々しく息づいている場所を撮影場所に選び、悪夢の歴史をダイナミックに再現している。

洋画

監督:ケヴィン・マクドナルド 出演:フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン、ジリアン・アンダーソン、サイモン・マクバーニー

料金:施設参照

※表示されている料金は全て税込みです。
※やむを得ない都合により、開催スケジュール及び内容が変更になる事があります。詳細は各主催者へお問い合わせ下さい。

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