古伊万里にみる花と動物たち
上映・公演は終了しました。

青磁瑠璃銹釉 竹虎文 三足皿 伊万里
現在、古伊万里と呼ばれている肥前磁器は、江戸時代初頭(1610年代)に誕生しました。磁器の誕生により、呉須と呼ばれるコバルト顔料を含む顔料を使って藍色の文様を描く「染付」や、さまざまな顔料を含む色絵具を使い文様を華やかに彩る「色絵」が誕生します。もともと伊万里焼は当時大量に輸入していた中国陶磁を手本としていたため、製陶法や文様描写にも中国陶磁の影響が色濃く反映されていました。しかし、日本人の技術向上と共に日本人好みの和様美を加味してゆくことで、日本独自の世界観を作り出すことに成功していったのです。
日本において文様は、縄文時代には呪術的な意味を持つ記号としての役割を果たしていたとされています。しかし時代が経つにつれて、磁器に描かれた文様は器面を彩り装飾する役割を担うようになっていき、次第に江戸時代泰平の歴史と時代背景、浮世絵や小袖など文化の発展、高度成長した政治経済の様子など、時代の表情そのものを反映していくようになります。現在、歴史的な観点から陶磁器を判断する際にも文様は非常に多くのことを語りかけてくれ、江戸時代を生きていた人々の眼差しや想いが文様という形によって時代を超え、現代に生きる私たちに何かを語りかけてくれているとも考えられるのではないでしょうか。
伊万里焼に描かれている文様は多岐に渡りますが、文様の中でも植物にまつわる文様が最も多く使用されています。その中で頻繁に用いられたのは松竹梅、菊、牡丹、唐草等の植物文様です。初めは中国古来の画風や文様構成を装飾の手本としていた伊万里焼も、技術向上や時間の経過と共に、日本における四季の変化や季節感を取り入れた意匠構成を生み出していきます。その結果、器面上に季節の移り変わりを探すことの出来るバラエティーに富んだ意匠が表現されるようになっていきました。また、植物文様の中には、その形姿や特性、自然の持つ生命力や再生力から縁起を担ぐ意味を持っているものが数多く存在し、それらには文様一つ一つに吉祥の意味が込められていました。例えば、松竹梅は中国で冬の寒さに耐える3つのシンボルとして「歳寒三友」と呼ばれてきたため、我が国においても中国に倣って吉祥文様として讃えられてきました。
動物文様においては、兎、鷺、鶴、虎、鹿などが文様のモチーフとして多く使用され、さらに動物文様を他の文様と組み合わせることによって日本の四季や風物詩を表現することが可能でした。例えば、虎には竹、兎には月や波、鹿には紅葉などが定例の組み合わせとして特に好んで用いられてきました。これらの他には魚や海老、吉祥文様でもある想像上の動物の龍、麒麟、獅子、鳳凰などが頻繁に描かれてきました。また、想像上の動物の中で最も描かれている龍の文様は、古代中国において聖祀用の青銅器に描かれたのが最初であると言われており、雨を降らせて作物豊饒を叶える神獣であったと考えられています。また、帝の象徴としても知られています。
中国伝来の焼成技術に日本独自の解釈と感性を加えることにより日本人は伊万里焼という世界に誇る焼きものを生み出しました。器面に描かれた植物と動物は、まるで物語やお伽話のワンシーンを表現しているかのようで、みる者の目を楽しませてくれます。ぜひ、器面の中で動植物が繰り広げる様々な物語をお楽しみください。
ミュージアム
料金:一 般:1,000円 (800円) 高大生:700円 (500円) 小中生:400円 (200円) ◆( ) 内は団体料金、団体は20名から
※表示されている料金は全て税込みです。
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