三嶋章義個展 「QUARTER」
上映・公演は終了しました。

21世紀初頭に現れた新たな絵画として、デジタルペインティングの存在は無視できないであろう。いわゆるオタクの世界では「デジ絵」とも呼ばれているその表現は、アーティストによって様々であり、一様に独自のスキルと美学を持っている。ヒロ杉山率いるENLIGHTENMENTは、そうしたデジ絵をファイン・アートの世界で発表している希少な存在であり、今回自身初となる個展を開催するENLIGHTENMENTの若武者・三嶋章義の作品も、やはりデジタルペイントを基調としたコラージュ作品である。とかく、アナログの価値(再現不可能性)を尊ぶファイン・アートの世界では、こうした手法の作品は、極めて異例であり、挑戦的・実験的なことである。しかし、それでも、三嶋をはじめとする若い世代の表現者たちが、デジタル・ツールを重宝するのには訳がある。彼らデジタル世代の申し子たちにとっては、パソコンと向き合い、インターネットやスキャナーを駆使して作品を創作することは、ごく自然なことであり、また肉眼で目にすることができるギリギリの世界を、ズームインされた画面の中で操作することに喜びと可能性を感じているのである。
ところで、三嶋は今回の個展のタイトルを「quarter」と銘打ち、自身の作品について次のように語っている。「今回制作した作品で表している世界は、侵略と融合が起った次の世代の様相。つまり僕らのような戦後第三世代の世界の物語である」。
実際に、彼の作品の出演者たちは、人物とも鳥獣とも思えるような不思議な複合生命体である。そして、背景に織り込まれた世界は様々であるが、一様にその主人公の過去の歴史的な背景を想起させる。しかし、ここで興味深いのは、奇妙に愛嬌のある主人公が登場する三嶋の作品には、過去を崇める郷愁感はなく、むしろ現実感すら漂っているということである。三嶋は自らの世代に対するポジティヴな見解を隠さないが、あるいはそうした感性こそが、ルネサンスもバロックも新古典主義もシュールレアリスムもネオダダも、自然と融解させてしまうデタルコラージュという表現手法を選んだのかもしれない。であるとすれば、「技術と芸術の幸福な結婚」を実現しているのは、未来派でもバウハウスでもロシア構成主義でもなく、彼らデジタル世代の申し子なのかもしれない。
思えば、20世紀初頭、世界を戦乱の渦に巻き込んだ大戦を前に、ダダイストたちは、強烈な「否定」を武器に戦った。ともすれば、三嶋の描く、「柔らかな肯定」の世界もまた、今の時代を体現しているのかもしれない。
◇三嶋章義プロフィール
1978年大阪生まれ。OCAグラフィックデザイン科卒業。2000年、ニューヨークでヒロ杉山氏と出会い、2001年からエンライトメントに参加。現在はエンライトメントでアートディレクター/映像ディレクターを担当し、デジタルドローイングをはじめ、PV制作やVJなどの映像分野、さらに現代美術作品まで幅広い創作活動を展開している。
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三嶋章義
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