渋谷文化プロジェクト

渋谷をもっと楽しく!働く人、学ぶ人、遊ぶ人のための情報サイト

上映・公演は終了しました。

2005年/韓国/90分/配給:東京テアトル/ハピネット/©KIM Ki-dukFilm.All rights reserved.

海の上で2人きりで暮らす老人と少女の、強い絆で結ばれた永遠の愛の物語

広い海に浮かぶ船の上で、2人きりで暮らす老人と少女。10年前、老人がどこからともなく連れて来て、宝物のように大切に育ててきた少女が、もうすぐ17歳になる。その日が来たら、結婚式を挙げる──それは老人にとっては生きる目的であり、少女にとっては彼への愛と信頼の証だった。老人の船で海釣りを楽しむ客たちは、2人の関係を好奇の眼で見ていたが、2人にとって互いを想う気持ちは、空気のように自然で、太陽のごとく温かく、海のように深い、かけがえのないものだった。ところがある日突然、2人の世界に嵐が訪れる。少女が客の青年と淡い恋におちたのだ。楽園は、嫉妬と憎しみで荒れ果ててしまった。ついに青年の導きで少女が船を離れる朝、老人は思わぬ行動に出る。少女に命までも捧げようとする一途な姿に、真実の愛を見た少女は、老人の待つ船へ戻るのだが……。
強い絆で結ばれた、永遠の愛にめぐり逢いたい──。それは、いつの時代もどこの国でも、誰かを愛さずには生きていけない私たち人間の、心からの願いではないだろうか。『弓』は、この人類永劫の切なる願いを叶えることができた、老人と少女のラブ・ストーリーである。2人の愛は、第3者の出現に一度は揺さぶられるが、その試練を乗り越えて永遠の絆を結ぶ。無骨な老人と無垢な少女という一見奇妙な組み合わせの2人が、真の愛を成就させた瞬間、神々しいまでの美しさを放つ。現実社会の常識や道徳から遠く離れ、魂と魂で契られた、むきだしの愛の美しさに、すべての人が胸を衝かれずにはいられないだろう。

 2004年、それはキム・ギドク監督の名前を世界に知らしめる年だった。『サマリア』でベルリン国際映画祭監督賞を、『うつせみ』でヴェネチア国際映画祭監督賞を受賞、同じ年に世界3大映画祭の監督賞2冠に輝くという、滅多にない快挙を成し遂げたのだ。韓国社会では何よりも教育が重視され、映画界も例外ではない。映画学校を卒業したわけでもなく、助監督の経験もないのに、“ギドク・ブランド”としか言いようのない独創的な世界を確立したギドク監督は、国内では異端児と恐れられた。やがて海外の映画祭で高く評価され、今や世界各国の観客がその最新作を心待ちにする監督となった。
 決して立ち止まらず、一作ごとに変化と挑戦を続けているギドク監督だが、彼が一貫して追い求めているテーマ、それは“至上の愛”である。ギドク監督は常に、様々な趣向を凝らした、どこか奇妙な設定を創造する。前作『うつせみ』で言えば、出逢って間もない男女が、見知らぬ人の留守宅を転々とする旅に出る。『弓』では、老人と少女が世間から切り離された海の上で暮らしている。ギドク作品を観る者は、物語の予想もつかない行方に心を奪われ、不思議な世界にのめりこんでいく。そして最後には、ギドク監督が渾身で描ききる“至上の愛”にたどり着く。かつて体験したことのない妖しい道のりは、神話のように美しい楽園に続いていたのだ。

アジア

監督:キム・ギドク
出演:チョン・ソンファン、ハン・ヨルム、ソ・ジソク、チョン・グクァン

料金:施設参照

※表示されている料金は全て税込みです。
※やむを得ない都合により、開催スケジュール及び内容が変更になる事があります。詳細は各主催者へお問い合わせ下さい。

オススメ記事