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古伊万里唐草

上映・公演は終了しました。

 植物の茎や蔓がからみあい、連続する植物文様を唐草(からくさ)と呼びます。唐草は実在する草花のことではなく、人間が理想とする草花のことで、発祥は古代エジプト・メソポタミアにまでさかのぼるといわれています。しかし、その起源については諸説があるようです。唐草風に植物文様を構成することは、遙か西方で誕生し、東南アジア、中央アジアそして東アジアへと伝播しています。そして中国では極楽に咲く花である宝相華(ほうそうげ)を描き、日本では菊と唐草文を組み合わせるなど、その姿はその土地特有の文化・風土により異なり、変化しています。このように様々なバリエーションを生み、無限に左右に伸びていく唐草に、人々は渦巻く大きな力や果てしない生命力を感じ、人類のかなわぬ夢を託したのかもしれません。

 我が国における唐草文は、古くは古墳からの出土品、金銅製の馬具において見ることができます。更に仏像の後背(こうはい)や台座、荘厳具(しょうごんぐ)(仏像・仏堂の仏具・法具)などに早くから取り入れられ、蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)などあらゆる美術工芸品、染織品などの意匠として唐草文は発展していきます。やがて日用品、着物の柄、調度品などに写しとられ、「伊万里焼」の器の上で唐草文様は描かれるようになります。

 江戸時代の17世紀初頭、現在の佐賀県有田町とその周辺地域の窯において、朝鮮半島伝来の造形・焼成方法などの製陶技術を用いて、日本初となる磁器「伊万里焼」が誕生します。ガラス質で清潔感ある白さを持ち、硬質で丈夫な「伊万里焼」は、当時富裕層の高級品とされ、庶民の生活にまで浸透しませんでした。しかし17世紀後半、オランダ東インド会社を通した輸出事業により、「伊万里焼」の生産量は飛躍的に増加し、大量生産の基盤が整うようになります。その後18世紀に入り、欧州への輸出量が減少していくことに対応して、有田皿山は国内向け製品を量産すると、次第に「伊万里焼」は一般大衆の器として、人々の暮らしに欠かせないものとなりました。

  中国陶磁では元時代以降の青花(染付)に唐草文様が盛んに用いられましたが、初期の「伊万里焼」では皿の縁や壷の肩を飾る従文様でした。ところが、江戸時代の中頃以降になると、唐草の占める面積が広くなり、器全体に描かれることが多くなります。ぐるぐると繰り返される渦巻きの線に、吸盤のある蛸の足を思わせる蛸(たこ)唐草、翻る葉の上に規則的に花弁をあしらった繊細で優雅な花唐草などが器を彩ります。また、それらが描かれた器種は幅広く、蕎麦(そば)猪口・徳利・壷・皿・向付等の食器類、更に文房具、化粧道具、生活道具など様々なものが作られ、「伊万里焼」が人々の暮らしに浸透していったこと、また当時この文様が流行していたことなどが伺えます。

 今展示では、「伊万里焼」の草創期である17世紀初頭から19世紀に至るまでに移り変わる唐草文様の変遷をはじめ、江戸の人々が使用した日常食器類、道具類などを展示致します。それらが作られた時代や当時の人々の生活に触れる機会となり、また染付唐草の清新な世界をお楽しみ頂ければ幸いです。(約100点 展示予定)


写真上:染付 花唐草文 藤花形皿 伊万里 江戸時代(17世紀後半)
写真下:染付 花唐草文 瓢形瓶 伊万里 江戸時代(17世紀末〜18世紀初)

ミュージアム

料金:一般:1000円(800円)高大生:700円(500円)小中生:400円(200円)※()内は団体料金、団体は20名から

※表示されている料金は全て税込みです。
※やむを得ない都合により、開催スケジュール及び内容が変更になる事があります。詳細は各主催者へお問い合わせ下さい。

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