眠り姫
上映・公演は終了しました。

2007年/日本/80分/
この映画が写し出すのは、ありふれた日常の、ありえない光景。そこには人が、ほとんど姿を見せないのだ。誰もいないのに、気配だけあり、声がさざめく。それは恐ろしいほど美しい心象風景。冬の淡くうつろう光を狙い、足掛け二年の歳月をかけて撮影された映像詩が、人を写す以上に、人の孤独を、情感を浮き彫りにする。
記憶の奥深くまで語りかけてくる、奇妙な物語。そして、存在すら確かでない登場人物たち…。その声に耳をすまし、不可思議な映像に身をゆだねていると、主人公の女性・青地の心の奥底が、やがてレントゲン写真のように浮かびあがってくる。露わになった、人の心の危うさを垣間見るとき、我々は、いまだかつて観たことのない、全く新しい映画体験をする。
監督は、異才・七里圭。その、現代を生きる苦悩を、斬新な手法で象徴的に描く作風は、一作ごとに着実に、熱烈な支持者を増やしている。そして七里監督が、敬愛する山本直樹原作に挑むのは、二度目。2004年の鮮烈な劇場公開デビュー作『のんきな姉さん』に続き、再び、天才・山本直樹の迷宮的なテクストを読み解く。
そもそも『眠り姫』は、『のんきな姉さん』公開時のイベント“山本直樹の小部屋”展のために企画され、展示上映した映像作品だった。しかし七里監督は、その作品に秘められた、映画としての可能性を確信し、イベント終了後も自主的に製作を続行。有志スタッフとともに、さらに一年以上をロケに費やし、長編映画として結実させた。2005年、その執念の結晶は、室内楽団の生伴奏付きの上映という形式で、二日間、たった3回だけ披露され、会場に収容できぬほどの観客を集めた。
そして2007年秋。衝撃と深い感銘をもって迎えられた伝説の作品は、ついに劇場用映画となって甦る。冬の樹の影を追い求め、夜明けの光を、霧の出を、静かに待ち続け捉えた奇蹟の映像は、見る者すべての心を揺さぶり、忘れかけていた何かを思い起こさせることだろう。
邦画
監督:七里圭 原作:山本直樹 出演(声のみ):つぐみ、西島秀俊ほか
料金:施設参照
※表示されている料金は全て税込みです。
※やむを得ない都合により、開催スケジュール及び内容が変更になる事があります。詳細は各主催者へお問い合わせ下さい。







