渋谷西村フルーツパーラー
自然の光を感じるお店
1936年より渋谷駅交差点前に店舗を構える西村フルーツパーラー。旬の果物を使ったパフェやスイーツが充実している。
写真集には富ヶ谷や三宿、目黒など渋谷周辺で撮影された写真も多いとのこと。©永瀬沙世
写真家・永瀬沙世さんのbookmarkは「渋谷西村フルーツパーラー」
センター街にあるHMV渋谷店6Fにオープンしたばかりの青山ブックセンター渋谷店。「感じる」「読む」「遊ぶ」をテーマにした店内に併設するギャラリースペースで、12月1日から写真展を行う写真家・永瀬沙世さんのbookmarkは、渋谷駅前の「渋谷西村フルーツパーラー」。「仕事の打ち合わせなど、写真の色味をきちんと確認したいときなどによく行きます。“お洒落系”のカフェだと店内が暗かったり、暖色系の照明が強かったりするけれど、ここは交差点に面した窓から自然光がたくさん入ってくるので正確な色を見ることができる。カフェとしてのメニューも充実していて、フルーツの匂いや盛りつけもきれいだし、お客さんの年齢層もばらばらで見ていて楽しい」とお気に入りの理由を語る。永瀬さんは、以前パルコミュージアムで行われた『シャッター&ラブ ─10人の女性フォトグラファーたち─』にも参加した注目の若手写真家。かつてのコンパクトカメラブームから時を経て、再び女性写真家が脚光を浴びている感がある中、「若い人ほど古い機材や質感にこだわっている気がする」と話すように、永瀬さんはデジタルカメラを一切使わず、あくまでアナログのフィルムで撮影を行う。洋服やカメラを新しく買うと、その分手持ちのものを処分するというシンプルな生活を心がける永瀬さんにとって、老舗フルーツパーラーの飾らない雰囲気は心地よく感じられるのかもしれない。
渋谷西村フルーツパーラー 道玄坂店
渋谷区宇田川町22-2 2F
TEL.03-3476-2002
10:30〜23:00(日祝10:00〜22:30)
INFORMATION |
永瀬さんの写真集『青の時間 THROUGH THE LOOKING-GIRL』(プチグラパブリッシング刊・写真右)の刊行に合わせて、青山ブックセンターHMV渋谷店で同タイトルの写真展が開催される。「『青の時間』という言葉は、エリック・ロメール監督の映画『レネットとミラベル四つの冒険』の1つのエピソードから取りました。フランスでは『物事の始まりと終わりの境目』や『朝の鳥のさえずりと夜の虫の声が鳴き止む瞬間』のような意味を持っているらしい。“青春”を匂わせる言葉でもあるし、今回の写真集の内容と合うと思った」とタイトルの由来について説明してくれた。『鏡の国のアリス』を意識したサブタイトルの通り、正面を向いた女の子たちの写真がひときわ目を惹き、写真の周りに余白を持たせたデザインからも被写体との距離や関係性を強く意識させられる内容。「展示しているプリントと写真集の印刷との違いを楽しんで見てもらえれば」という写真展は12月1日より12日まで。2日には、同じく写真家の森本美絵さんとのトークショーも行う予定(入場無料、要予約。青山ブックセンターHMV渋谷店:03-5428−1775)。 |
(2006年12月01日 12:40:00)