我々の競合店がどんどん増えていくような「街全体」の賑わいを促す街づくりを進めてほしい
窪田祐さん 株式会社ベイクルーズ、株式会社ジョイントワークス、株式会社フレームワークス、株式会社アクメ、株式会社フィジカルエアコーポレーションの5社から成るベイクルーズグループの代表。グループの躍進のきっかけとなった「ジャーナル・スタンダード」をはじめ、「スピック&スパン」「イエナ」「エディフィス」といったアパレルブランドに加え、「ヒロブ」(時計専門店)、「スタンダード バーガーズ」(ハンバーガーを中心とした飲食業)など、全国に108店舗を展開する。
--現在のベイクルーズの業態について説明していただけますか。
もともと私がこの世界に入ったのは、海外のファッションへの憧れがベースにありました。洋服の文化は海外のほうが歴史は深いですし、やはり学ぶべき事も沢山ありました。そんなこともあって卸売りから小売業を中心に移行した後も、セレクトショップの展開に力を入れておりました。しかし、海外モノが当たり前のように入るようになると、ビジネスとして成立させるには他店との差別化が必要で、そのためには自分たちで創造するオリジナル商品の開発が重要になってきました。その結果、当時と比べると現在ではどのショップもオリジナル商品の比率は高くなっています。また一部ではオンリーブランドのショップ展開も行っています。
--ベイクルーズの組織的な工夫については?
ピラミッド型の組織を避け、スタッフの可能性を最大限に引き出せるポジションに適材適所で配置することを心がけてきました。しかし、現在では、店舗スタッフを含め1600人を抱える大所帯ですから、組織的な硬直が見られないわけではありません。そのあたりの改革は今後の課題です。さらに、現在では多くのブランドを展開していますから、これまで以上にブランド間での切磋琢磨を促したいと考えています。
--出店場所は、どのような基準で選んでいるのでしょうか。
いろいろな物件情報が持ち込まれて来ますが、ロケーションや集客性などをトータルに判断して決めています。数年前までは百貨店にも出店していましたが、現在は条件が折り合わずに出店していません。
--今後の渋谷の課題を挙げていただくとすれば?
百貨店に元気がないことと若年層に偏っていることが気になりますね。百貨店に人が集まれば、街全体が賑わいを増しますからね。そうなると、街なかには我々の競合店も増えますが、街そのものが発展すれば、結果としてプラスになると考えています。また、現在の渋谷のビジネスモデルでは若者を取り込まないと厳しいのでしょうが、もう少し、オトナを集める工夫も欲しい。自分たちが楽しめる街になって欲しいと思っているオトナは大勢いると思いますよ。そのためにも新しい文化施設の出現や街の美化、そして繰り返しになりますが百貨店の奮起を期待したいところです。