名古屋モード学園デザイン科卒。数社のレディースブランドのデザイナーを経てイタリアに遊学。物作りの原点を体感し紳士服を手がける。フィレンツェの某有名セレクトショップを日本に導入。日本の「クラシコブーム」の火付け役となる。以後、数少ないイタリアの職人技や感性をさまざまな場で紹介している。
--どのような点にポイントを置いてウィンドゥを見て回るのですか?
僕らは値段も記憶しないといけないんですよ。お客様の予算があるじゃないですか。そのなかでそろえてあげるってことは、その予算に合った商品を知っておかなければいけない。上が1万円だったら、下を5000円にしなくちゃいけなかったり…バランスがあるんです。あと、お店にちょっとお願いして写メを撮って記録しておくとか。とにかく毎日、渋谷の店を歩いて見て回っています。常に見て回るのは、専門店、セレクトショップ合わせてだいたい10店舗程度でしょうか。
--渋谷には若い人が多いのですが、ファッションにとっては大事ですよね?
そうですね。それが源でしょうやっぱり。若い方がいなかったら変な話、ここまで人が集まらないですし。じゃ僕らの年代ばかりがウロウロしていたら気持ち悪いですしね(笑)。渋谷は何しろ人が多いじゃないですか、落ち着かない。ただ、これが落ち着いちゃったら渋谷じゃなくなっちゃうんですよね。どうせだったら、もうちょっと何か統一できるといいですね。いろんな要素が雑多にあるのがいいというのと、雑多すぎてまとまりがないというのとふたつあると思うのですが、そのふたつがあるから人が集まってくるんでしょうね。どっちかに偏っていると、どっちかの人間しか来ないだろうし…。渋谷は、僕は好きですね。
--渋谷に来る大人のファッションを、どのようにご覧になりますか?
逆に普通じゃないですかね。渋谷って普通なんですよ…ファッション的に言うと。割と普通なんですよね。人が多いから普通の人の量が多いというわけですよ。銀座、青山などと比べると…。まぁ、青山界隈でウロウロしている人たちって、やっぱり気を使ってるじゃないですか。そういう人たちが多い割には、普通の人たちが行っているかっていうとそれほど行かない。結果として、おしゃれな人が目立っちゃう。でも渋谷って、両方が多いので普通かなっていう感じになっちゃいますね。特に女性にしてみれば、かなりの人がいるわけじゃないですか。そのなかで、さらにおしゃれな人と普通の人を見極めると、ちょうど半分くらいじゃないかなと思います。
--渋谷で人のウォッチングをすることもあるのですか?
それも仕事のひとつなんで…(笑)。普通にしてる人と、ちょっとおしゃれしてる人がいて、結局その場でリアルな形で見えるわけじゃないですか。それって僕らには非常にプラスになりますね。これぐらいのレベルにしたいとか、もうちょっとかなとか。で、その人の雰囲気ってあるでしょ。コーディネートを希望するお客様から写真も頂きます。そうすると、その人のイメージを渋谷の街を歩いている人に当てはめたりするわけで…人間ウォッチングは多いです(笑)。歩いていて、あんな感じがいいのかなっていうのは確かにありますね。
--街を歩いている人の、まずどこを見ているのですか?
ぱーっと全体を見て「おっ、格好いいな」なんて…。良いもの悪いものは関係ないですね。ほんとに、全部ユニクロさんでもうまく着ている人はいっぱいいますよ。着こなしですね、ファッションは。例えば、上・下合わせて1万5000円でそろえても、コーディネートによっては十分おしゃれに見えます。男の方は非常に靴が好きなんですが、うちはあえて靴はやっていないんです。というのは非常にシビアじゃないですか靴って。サイズだけ頂いても必ずどこか当たったりとか…。靴だけはご自分で選んで頂きますが、靴のアドバイスはします。トータルコーディネートした場合、この色の靴がいいとか、こういったタイプの靴がいいですよっていうアドバイスは差し上げています。必ずアドバイスメモというものをお渡ししていますので、その中でお伝えするようにしています。
--未来の渋谷は、どんな街になってほしいと思いますか?
東京で一番になってほしいですね。もちろんおしゃれな街として。文化もそうだし…でも両方とも欠けちゃいけないんで、やっぱり総合的にでしょうね。街として、例えばフランスだったらパリとか、イタリアだったらミラノぐらいにはっきり言える場所。「トーキョー」というくくりでなく、「シブヤ」というレベルで打ち出せるような場所になるといいですね。ファッションでも、「まちおこし」という部分でいろんなことができると思います。
ファッションの要望や悩み、予算に応じて、コーディネーターやスタイリストが顧客の代わりに都内周辺のショップに洋服を買いに行き、コーディネートして自宅にお届けするサービスを展開。ベーシックコースは、アウター、インナー、ボトムスの3点を基本アイテムとし、料金は19,500円〜(3品の合計商品代金15,000円〜、コーディネート料4,500円〜)。