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KEY PERSON キーパーソンが語る渋谷の未来

渋谷を中心に活躍する【キーパーソン】のロングインタビュー。彼らの言葉を通じて「渋谷の魅力」を発信します。

プロフィール

1971年アメリカ・サンディエゴ生まれ。慶応大学総合政策学部卒業後、FM局「InterFM」の立ち上げなどに参画。2000年2月にクリエイターコミュニティ「ロフトワーク.com」を開設すると同時に、株式会社ロフトワークを設立。2004年から同社の代表取締役を務める。


日本最大規模のクリエイターコミュニティ「ロフトワーク.com」を擁する総合制作代理店のロフトワーク。デザイナーやイラストレーター、アーティストなど、8,000人以上のクリエイターが登録。ロフトワークはこのクリエイターと共に企業から依頼されるさまざまなクリエイティブ業務に対応しています。代表を務める諏訪光洋さんは渋谷を拠点にすることのメリットの一つに「街の持つクリエイティビティ」を挙げます。この街にクリエイティビティはどのように根付いているのか、また今の渋谷に足りないものとは。諏訪さんがクリエイターの視点から渋谷を語ります。

会社の拠点に渋谷を選んだのは当然の成り行きだった

--諏訪さんが渋谷に訪れるようになった時期は?

中学と高校が駒場東大前にあって、当時はお金がないから渋谷まで歩いて遊びに来ていました。とくに高校生の頃には、ビームスやシップスなどのセレクトショップが登場し始め、渋谷から原宿までの道沿いにも、ショップが少しずつ増えていましたから、たびたび買物に来ましたね。学校の友人と食事するのも、大体、渋谷でした。当社の最初のオフィスを渋谷から近い神泉に構えたのは、そのように渋谷がなじみの深い街だから。次第に会社が成長し今の事務所を検討した時も、立地は渋谷しか頭にありませんでした。まず情報が集めやすいし、移動にも便利。そして、文化的でクリエイティブな要素を持ち、クリエイターのネットワークが形成されている点は、当社にとっては何にも代え難い魅力でしたね。

--学生の頃と比べて渋谷は変わりましたか。

既に20年来、渋谷界隈をうろついていますが、僕から見ると、びっくりするくらい何も変わっていないです。10代後半から26、27歳くらいまでの若者が集まって、昔ながらのクリエイティブな雰囲気も失われていない。ただし、代官山や円山町をはじめ、周辺のエリアはトレンドを反映して敏感に動いていますよね。そろそろ僕もイイ大人だから、食事は駅前の繁華街ではなく、そういう少し外れたエリアの面白い店に行こうと、日頃からマメにチェックしています。最近気に入っているエリアは、Bunkamura通りから山手通りに抜ける道の周辺。え?っていうくらい美味しい店があったりしますよ。

新陳代謝の激しさが渋谷の魅力になっている

--渋谷が変わらない点は、前向きに捉えてもいいのでしょうか。

そうですね。僕は良い面だと思います。もっとも、15年前と今の高校生を比べたら全く違うように、街自体はレベルが上がったというか、文化度が高まったと言えるでしょうね。クリエイターはひねくれた生き物だから(笑)、「今は裏原だ」「いや恵比寿だ」と、他のエリアを挙げることも多いけど、やっぱりなんだかんだ言いながら渋谷にひきつけられている部分はあるんですよ。この街は、情報や人の新陳代謝が激しいことが、そこまでクリエイターを引き寄せる要因の一つになっているのでしょう。確かに、恵比寿や代官山、表参道なども魅力的ですが、そうしたエリアも言ってみれば渋谷を基点に広がっていますからね。「渋谷圏」と表現しても良いと思います。

--今の渋谷に足りないと感じるものは何でしょうか。

ギャラリーです! NYのように、コンテンポラリーアートを扱うギャラリーが渋谷に欲しい。しかもポツポツという感じではなく、少なくとも20軒くらい集積してほしい。それくらいの数になると、「これを見に行こう」という特定の目的がなくても、一日歩き回って、何かしら良い作品に巡り合えるでしょうから。以前に比べ、アートへのニーズはグンと高まっていると思います。ホームパーティーを開くことも増えていると思いますが、今やインテリアを買い揃えたところで、他人との差は出せないしカッコ悪い(笑)。だったらアートかな?と考える人は、かなり増えているのではないでしょうか。あとNYのギャラリーって何かのショーのオープンの度にパーティを開くのですが、そういった「ダウンタウンの社交場」的な機能が渋谷にあったら面白いんじゃないでしょうか。

「ロフトワーク.com」には8,000人以上のクリエイターが登録されている。

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