再開発の進行によって街として成長する渋谷
_2013年5月まで、鎌倉を拠点としていた理由は何でしょうか。
立ち上げ当初は川崎に事務所がありましたが、2009年に一度目の移転の際に、渋谷も視野に入れて検討しました。でも当時は、弊社はひたすら開発に集中すべきフェイズでしたので、渋谷は賑やか過ぎるかもしれないという結論に達しました。そこで都心まで1時間くらいの地域をいろいろと調べたところ、開発に集中できる鎌倉に行き着きました。海や山のある環境が素晴らしく、クリエイティブな企業も多いことが決め手となりました。
_このたびは、どのような経緯で渋谷に移転されてきたのでしょうか。
第一の目的は、ランサーへの支援を強化することです。鎌倉は遠くて、なかなか来社していただく気持ちにならないと思いますので。また、「場所にとらわれない働き方」という方針を自分たちが実践するために鎌倉を拠点としていましたが、あるときから、「逆に鎌倉にとらわれているのではないか」というジレンマを抱くようになりました。さらに、会社の成長につれて、営業面を強化する必要性が高まったこともあります。今まで営業担当者が、鎌倉から1時間以上をかけて都心に営業に出かけるのは、かなり大変でした。移転先の候補は渋谷のほか、新宿と丸の内という案がありました。最終的に渋谷を選んだ理由は、勢いのあるIT系の企業が多いこと、若者が集まり活気にあふれていること、再開発によって街が成長しているので、今後会社の成長に伴ってオフィスを拡大する際の選択肢が多いことなどがあります。中でも「渋谷3丁目エリア」にしたのは、いきなり人が多過ぎるハチ公側などのエリアにいくとアレルギーが出る社員がいるかもしれないと思ったので(笑)。移転後も鎌倉から通う社員もいるので、湘南新宿ラインが停車する新南口駅から近い点も気に入りました。
_渋谷の街の感想はいかがでしょうか。
当然ですが、鎌倉とは町の空気が全然違いますね。技術者は渋谷ヒカリエをはじめ、周囲で実施される勉強会やセミナーなどに参加し易くなったり、また有名な開発者や話題の人物と身近に出会えたりしてとても喜んでいます。営業担当者も、いろいろな会社の方からランチに誘っていただくなど交流の機会が増え、情報量が格段に増えているようです。また全体的には、これまでは鎌倉で「ほのぼの」という感じでしたが、新しい場所に移って仕事を構築し直そうという前向きなマインドが生まれています。当面は渋谷に腰を落ち着けてビジネスを拡大したいと思っています。
正社員ではない魅力的な働き方を提示したい
_秋好さんは、個人的に渋谷にはどのような印象をお持ちでしょうか。
私の出身地の大阪に、良い意味でごちゃごちゃしているところが似ている気がします。また、渋谷を拠点に選んだ理由でもありますが、ビジネスパーソンばかりではなく、若者が多く幅広い世代が混在しているところに魅力を感じています。
_フリーランサーにとって、渋谷という街は、どのような意味を持つのでしょうか。
渋谷には、フリーランサーがたくさんいます。コワーキングスペースやシェアオフィスなどが多く、フリーランサーとの親和性が高い街といえるのではないでしょうか。いろいろな研究で、今後、IT系の職種がますます増えると指摘されていますが、渋谷はそれを先取りしている街ともいえるでしょう。他の街だったら、「本当に大丈夫?」と尻込みするようなことも、許容する文化があるからだと思います。新しいものを受け入れて発信する役割が、渋谷にはあるのではないでしょうか。
_秋好さんにとって、「理想の働き方」とはどのようなものでしょうか。
働き方に対する価値観は人それぞれで良いと思います。フリーランサーが良いという人もいれば、会社勤めが楽しいという人もいるでしょう。そのため、「これが一番」という答え方はできませんが――、週3日くらい、タイあたりのビーチでインターネットにアクセスし、世界中のクライアントと仕事をして最高のアウトプットを提供し、週4日は仕事以外の自分らしい暮らしをする、という感じでしょうか。今は仕事ばかりで真逆の生活ですが(笑)。
_今後の目標についてお話ください。
仕事が最適化されると、プライベートも最適化されるというのが、私の考えです。例えば、通勤時間が2時間短縮されると、その分、家族と過ごす時間が増えてプライベートが充実します。日本人の仕事を最適化することが私の夢であり、目標です。現代の日本では働き方として、正社員に何よりも大きな価値が置かれていますよね。クラウドソーシングを浸透させて「働き方の変革」を創出し、正社員ではない魅力的な働き方を提示したいと思っています。大学生が「卒業後は正社員か、それともランサーズか」と、迷うくらいの存在感を持つ会社に育つことができれば、社会の価値観は変わるはず。クラウドソーシングは、それくらい大きな可能性を秘めたサービスだと信じています。
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