お盆が過ぎ、8月も後半に突入しました。実家に帰って羽根を伸ばした人、お盆返上で仕事に明け暮れた人、大自然の中で充電した人…それぞれの夏休みが終わりを告げようとしています。今回は、お盆に感じた非日常を引きずったままの私達に、最後の思い出となるだろう強烈な映画をピックアップ。テーマは「愛」。他人を思う温かな気持ちは、行き過ぎると常識、平常心、健康など、さまざまな標準装備をぶち破って予想さえつかない狂気の世界へと私達を誘います。破滅へと至る愛のカタチを目の当たりにしながら、独り身の人もカップルの人も誰かの親である人も、それぞれが抱く「愛情」の形を、再確認してみては?
- タイトル
- スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜
- 上映場所
- シアターN渋谷
- 上映期間
- 2012年8月11日〜2012年9月7日
- 上映時間
- 11:00/21:00
- 監 督
- ジャウマ・バラゲロ
- 出 演
- ルイス・トサル、マルタ・エトゥラ、アルベルト・サン・ファン、ベトラ・マルティネス
シアターN渋谷では8月11日より、「妄想」をテーマにマンションの管理人が住人宅に忍び込む「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜」が公開されている。監督はホラー映画「REC/レック」で一躍知名度を上げたジャウマ・バラゲロ。 バルセロナのマンションで住み込みの管理人として働く男・セサルは、住人の一人・白い肌の美女クララに目を懸けていた。今日も仕事を終え帰宅したクララは、疲れた身体を休ませる為、ベッドに横たわり寝息を立てはじめる。時が過ぎ、ベッド下から息を潜め、這い出てくるセサル。彼は合鍵を自由に使える立場を利用し、毎夜、クララの部屋のベッド下に潜み続け、彼女との時間を共有していたのだ。さらには寝静まった彼女の身体を夜な夜な慰め続けるセサル。異常行為は日を追うごとエスカレートし、彼女のハブラシを使うなど、自分の痕跡を密かに残し始めるのだが…。官能と緊張感の入り交じる映像に、あなたは恐怖を覚えるか?それとも…。
- タイトル
- 籠の中の乙女
- 上映場所
- シアター・イメージフォーラム
- 上映期間
- 2012年8月18日〜
- 上映時間
- 8/18(土)〜8/24(金)
12:40/14:45/16:50/18:55/21:00
8/25(土)〜
12:40/14:45/16:50/18:55 - 監 督
- ヨルゴス・ランティモス
- 出 演
- クリストス・ステルギオグル、ミシェル・ヴァレイ、アンゲリキ・パプーリァ、マリー・ツォニ クリストス・パサリス、アナ・カレジドゥ
シアター・イメージフォーラムでは8月18日から、父親の行き過ぎた家族愛を描いた「籠の中の乙女」がスタートする。同作の舞台はギリシャの郊外にある裕福な家庭。だが、一見普通に見えるこの家には秘密があった。両親が子どもたちを外の世界の汚らわしい影響から守るために、ずっと家の中だけで育て続けてきたのだ。邸宅の四方には高い生垣を巡らせ、子どもに「外の世界は恐ろしい」と信じこませるために作られた厳格で奇妙なルールの数々。純粋培養された子どもたちはすくすくと成長し、幸せで平穏な日々が続いていくかのように見えたが…。外の世界からすれば異常に見える行為の数々も、家庭の中では「常識」。マインドコントロールされた人々の奇妙な姿を捉えながら、教育とは何か、常識とは何か、大切なものを守るために必要なものとは…改めて問い直さずにはいられないだろう。
- タイトル
- ベティ・ブルー/愛と激情の日々
- 上映場所
- ヒューマントラストシネマ渋谷
- 上映期間
- 2012年7月28日〜2012年8月24日
- 上映時間
- 17:45
- 監 督
- ジャン=ジャック・ベネックス
- 出 演
- ジャン=ユーグ・アングラード、ベアトリス・ダル、ジェラール・ダルモン、コンスエロ・デ・アビラン
ヒューマントラストシネマ渋谷では8月24日まで、初公開から25年の年月を経た現在でも熱狂的なファンを有する問題作「ベティ・ブルー / 愛と激情の日々」がデジタルリマスター版として公開されている。1987年に初公開され、口コミを皮切りに度重なるアンコール上映やビデオ化、ディレクターズカット版の公開を経た同作。野性的な魅力を放つ美しい少女・ベティと、単調な生活を送っていた35歳のゾルグ。激しく惹かれあうようになった二人は毎日のようにセックスに耽り、愛を確かめ合う日々が続く。ある日ベティは、ゾルグが過去に書きためていた小説を偶然発見し心酔。ゾルグの才能を稀有のものと確信し、作品の書籍化のために奔走するも各出版社の反応は冷たく、ベティの迸るような情熱は空回りし続け、失意に陥る。ゾルグは穏やかな愛情で彼女を包もうと懸命に努めるも、ベティのストレート過ぎるほどの感情表現はエスカレートして行き、やがて…。行き過ぎた愛が放つ強烈な美しさと狂気は、現在でも衰えることなく私達を魅了するに違いない。