レコメンド 今週、編集室が推薦するカルチャー

アメリカ大リーグ「マリナーズ」のイチロー選手は9月、10年連続200安打を達成。海外を舞台に自身が昨年打ち立てた9年の連続記録を塗り替える前人未到の偉業に、同じ日本人として勇気づけられた人も多いだろう。イチローの活躍にとどまらず、カラオケ、テリヤキ、バンザイなど、日本語表記がそのまま輸出され、海外で広く親しまれる例は数多い。
今回は、日本が国際的に大きな影響力を発揮している独自の文化「漫画」にフォーカス。世界各国で翻訳版が流通し、高い人気を誇る「MANGA」。渋谷でも、日本を代表する漫画家の人間像を浮かび上がらせる映画、漫画の制作風景を「展示」するプロジェクトに加え、海外のコミックを日本に輸入し再構築する企画が展開している。読んでいるだけではみえてこない幅広いアプローチから、日本独自のカルチャーを、よりディープに味わってみては?

MANGA×水木ワールド

タイトル
ゲゲゲの女房
上映場所
ユーロスペース
上映期間
2010年11月20日〜
上映時間
〜11/26(金)
11:50/18:50/21:10
11/27(土)〜
11:15/13:45/16:45/19:15
監  督
鈴木卓爾
出  演
吹石一恵、宮藤官九郎、坂井真紀、村上淳、宮崎将 ほか

ゲゲゲの女房

2010年/日本/119分/配給:ファントム・フィルム/©2010水木プロダクション/『ゲゲゲの女房』製作委員会


ユーロスペースでは11月20日より、妖怪漫画家・水木しげるさんの妻・武良布枝さんの自伝「ゲゲゲの女房」をモチーフに同名映画が公開される。
お見合いから5日後に早々にスタートした水木しげると布枝との結婚生活から、「夫婦」になるまでの歩みを丁寧に紡ぎ上げた同作。鈴木卓爾さんの監督第2作で、アニメーション作家大山慶さんと和田淳さんによる「墓場鬼太郎」「悪魔くん」などの原画がアニメになる演出にも注目が集まる。また忙しい夕方に家に入ってきてお茶を飲んだりする「ぬらりひょん」や、川に現れた人に物語を聞かせる「川男」など、水木さんが描いた妖怪が作中にも次々と登場。日常風景に異世界が織り込まれる同作に触れ、改めて水木漫画の醸し出すファンタジックな世界観を体験してみたい。

MANGA×作り方

タイトル
横山裕一 オープンスタジオプロジェクト〜カラー土木〜
開催場所
NANZUKA AGENDA SHIBUYA
開催期間
2010年11月19日〜2011年1月29日
公開日時
11月/19, 20, 21, 22, 26
12月/3, 4, 10, 17, 18, 23, 24
1月/7, 14, 15, 21, 28, 29
各日 15:00〜19:00(金曜日のみ13:00-20:00)
作  家
横山裕一

横山裕一 制作公開

©Yuichi Yokoyama
Yuichi Yokoyama Color Engineering


NANZUKA AGENDA SHIBUYAでは11月19日より、漫画家横山裕一さんの制作風景を公開するプロジェクトが始動する。
横山さんは、1990年に武蔵野美術大学油科を卒業、時間を描くことのできる表現方法として漫画を選びとり、1995年から漫画家としての活動をスタートさせた。目的不明の大土木工事を描いた「ニュー土木」、鉄道旅行がテーマの「トラベル」などから生まれる世界感は、漫画のみならずアートシーンからも高い評価を受ける。今回の企画はPicture BoxとNANZUKA UNDERGROUNDが共同で出版する新作漫画集「カラー土木」へ向けたもので、新作のコマを大きなキャンバスに描くことが主な内容。コンピューターグラフィックスを一切用いずに数種類の定規などを使いこなす横山さんの創作活動を紹介する同企画は、アーティストや漫画家を志す若い学生・アートファンにとっても貴重な機会になるはず。

自然の魅力と驚異「沖合編」

タイトル
DC COMICS SUPER HEROES!!!
アメリカン・コミックアート展
開催場所
PARCO FACTORY
開催期間
2010年11月27日〜2010年12月19日
開催時間
10時〜21時
※入場は閉場の30分前まで
参加作家
桂正和、寺田克也、ヒロモト森一、岡崎能士、土屋秋恆、redjuice、ザリガニワークス、タケヤマノリヤ、デビルロボッツ、菱沼彩子、ファンタジスタ 歌麿呂、CZAR、タナカカツキ、佃弘樹、黒川知希、渋谷忠臣、井口弘史、近藤達弥、ヒダタカヒロ、針谷建二郎、内山尚志、山下しゅんや

DC  COMICS SUPER HEROS!!!

TM & ©DC Comics.
(s10)


パルコファクトリーでは11月27日より、日本のクリエーターが人気アメコミキャラクターをリメイクする企画展「DC COMICS SUPER HEROES!!! アメリカン・コミックアート展」が開催される。
アメリカン・コミックの出版社「DCコミックス」の75周年を記念したもので、モチーフになるのは同社がリリースしてきた過去のコミックカバー。スーパーマン、バットマン、ワンダー・ウーマンなどの人気キャラが、タナカカツキさんや桂正和さんなど人気漫画家を中心に、デビルロボッツや山下しゅんやさんなどイラストレーター、ザリガニワークスや針谷建二郎さんまで、幅広いクリエーター22人にが独自の解釈で再構築されていく。作品の一部は3D立体視画像=3Dアートとしても特別展示。加えて映画「バットマン」「スーパーマン」シリーズの劇中で実際に使用された貴重な小道具も並べ、これまで明らかにされることのなかったDCコミックスの歴史を紐解いていく。クリエーターとのコラボ作品と合わせてオリジナルグッズの販売もあり、映画化、商品化など多方面に広がっていくアメコミ世界の魅力を堪能したい。


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