「KING OF POP」の愛称で親しまれ、今年の6月に他界したアメリカ人歌手マイケル・ジャクソン??。夏にロンドンで開催されるはずだったコンサートのリハーサルと舞台裏の映像を集めたドキュメンタリー「THIS IS IT」は、マイケルへのトリビュートとして、日本でも10月28日から2週間限定で公開された。報道などでは明らかにされてこなかった彼の素顔や、コンサートへかける情熱を伝える同作は全国324館で公開をスタートし、10月31日までの4日間で観客動員約51万人を記録。大ヒット作品として公開期間も延長されたので、映画館に足を運んだ人も多いだろう。周りでも、長年のマイケル愛好家からこれまでマイケルを知らなかったという人まで「改めて彼の偉大さに気がついた」という感想が多く、同作は今後「名作」の一つとして映画音楽史に語り継がれるに違いない。ただ、そんな名作誕生の裏で感じるのは、実現されることのないままに過ぎてしまったロンドン公演への悔しさ。マイケルが「過去」のミュージシャンになっていくことへ慣れるまでには、私たちにはまだもう少し時間が必要なのかもしれない。
??今回は、渋谷でスタートする音楽映画をピックアップ。既に亡くなってしまったミュージシャンや何十年も現役でロックを続けるミュージシャンの貴重な記録映像を紹介する。またアート分野には、音楽業界を引退した後アーティストとして表現活動を展開する異才ミュージシャンが存在。ステージの上から舞台裏まで、ミュージシャンたちがみせる様々な表情に、あなたにどんな思いを抱くだろうか?
- タイトル
- ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン
ライヴ・アット・ロニー・スコッツ - 上映場所
- 渋谷シネパレス1・2
- 上映期間
-
◯ライヴ・アット・ロニー・スコッツ
2009年11月28日〜2009年12月4日
◯ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン
2009年12月5日〜2009年12月11日 - 上映時間
- ともに21:00〜
- 料 金
- 当日2,800円均一
「THIS IS IT」が好評を博している渋谷シネパレスで次に公開されるのは、エリック・クラプトンとジェフ・ベックという世界を代表するギタリストのライブ映像をシネサウンドで上映するシリーズ企画『エリック・クラプトン&ジェフ・ベック LIVE THE MOVIE』だ。クラプトンが出演するのは、2008年2月にニューヨークで開催したライブのドキュメンタリーで、60年代からブリティッシュ・ロックシーンで活躍してきたクラプトンとスティーヴ・ウィンウッドのジョイント演奏が話題を呼んだ『ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン』。一方ベックは2007年の冬にロンドンで行ったライブ映像で、超絶技巧でギターを演奏する両手のアップに注目が集まる『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』。
還暦を過ぎた「生きるロック・レジェンド」とも言われる両者が魅せる「最新・音楽魂」を、大画面・大音量で楽しみたい。
- タイトル
- ミッシェル・ガン・エレファント “THEE MOVIE”
- 上映場所
- シネセゾン渋谷
- 上映期間
- 2009年12月19日〜
- 監 督
- 番場秀一
- 出 演
- THEE MICHELL GUN ELEPHANT(チバユウスケ、アベフトシ、ウエノコウジ、クハラカズユキ)
シネセゾン渋谷では12月19日から、2003年に解散した日本のロックバンドTHEE MICHELL GUN ELEPHANTのラストライブをまとめた音楽映画「ミッシェル・ガン・エレファント THEE MOVIE」を公開する。1991年に結成し、1996年のメジャーデビュー後はフジ・ロックなどの音楽フェスティバルでメイン・アクトを務めるなど人気を博したミッシェルは、パンクロックやガレージロックを思わせる荒削りで力強いサウンドが特徴。2003年の解散後はメンバーが各自様々なバンドで活躍したが、今年の7月にはギター担当だったアベフトシさんが42歳で逝去した。
ミッシェルを「完全保存」するプロジェクト「FOREVER MICHELLE! 」の一環として公開される同作は、2003年に展開したラストツアー「LAST HEAVEN TOUR」最終日、10月11日のラストライブ映像とその舞台裏に迫ったもの。作中には過去の未公開映像も加えられ、最新技術による5.1チャンネルで、永遠に見ることができなくなったバンドミッシェルを「再現」する。
- タイトル
- ジョン・スクワイア展覧会「ネガティブ アフターイメージ」
- 開催場所
- TOKYO HIPSTERS CLUB
- 開催期間
-
2009年11月15日〜2009年12月6日
- 開催時間
- 12:00〜20:00
- 作 家
- ジョン・スクワイア
- 料 金
- 入場無料
トーキョー・ヒップスターズ・クラブでは現在、元ストーンローゼズの伝説的ギターリスト、ジョン・スクワイアの日本初展覧会「ネガティブ アフターイメージ」を開催中。1962年にイギリスに生まれたスクワイアは、14歳でギターとペインティングをスタート。1984年にストーンローゼズを結成し、アルバムは世界各国でミリオンセラーを記録した。スクワイアはバンドではアルバムカバーやステージセットも手掛けたが、1996年に人気絶頂だったバンドから脱退。直後ローゼズは解散している。アーティストとしての活動は2004年開始。日本で初めての展覧会である同展では、「網膜に焼き付いた印象」などをテーマに手透きの紙などを使ったペインティングやドローイングなどの最新作を発表している。
現在はアーティストとしても高い注目を集めており、ギター演奏については「ギグといえばキッチンでの自身の子どもたちとの『セッション』で十分にハッピー」と公言していると言い、再結成の見通しは立っていない。