渋谷文化 PROJECT

10月18日から、NANZUKA UNDERGROUNDは、マーティン・マニグの個展「Mitternachtsbilder (ミッドナイト・ピクチャーズ)」 を開催している。
マーティン・マニグは、1974年生まれのドイツ人の若手ペインターで、今回の個展『Mitternachtsbilder (ミッドナイト・ピクチャーズ)』は、マニグにとってアジア初となる展覧会である。マニグ作品は、ドイツの伝統的な風刺物語から、現代的なサブカルチャーに至るまでの要素から着想を得て描かれることが特徴だという。今回は、そんなドイツのおとぎ話的世界観に加え、70年代にアメリカで制作された、深夜時間帯のTVやオールナイトシネマで上映されるB級ホラー映画にインスピレーションを得た作品が並ぶ。本展に向けて、マニグは以下のようにコメントしている。「私は今回の作品において、70年代にアメリカで制作されたオールナイト映画（深夜の映画館で上映された、低予算で作られた、ホラー・アニメ・西部劇・おとぎ話・エロティック・ポルノ、などが混ざり合った自主制作映画）に注目し、そのテイストを取り入れました。これらの映画は、平凡で順風満帆な“ノーマル・ライフ”の対局の仮想現実として作られたものです。私は、そうした仮想のイメージを基に、現実世界と想像世界の間に、自分の居場所を作っています。」
74年、ドイツに生まれたマーティン・マニグ。時代も地域も越えて僕たちを惹き付ける「アメリカのオールナイト映画」とは、いったいどんなものだったのだろうか？

『エルム街の悪夢』は、1984年に制作され大ヒットを記録して以来、現在まで８作のシリーズが制作された伝説のホラー映画だ。その全作で夢の中から人々を襲う殺人鬼・フレディ・クルーガーを演じたロバート・イングランドは、ホラー映画の伝説的存在。10月11日から、シアターN 渋谷で公開中のB級ホラー映画『ゾンビ・ストリッパーズ』は、そのロバート・イングランドが出演しているという点で注目の作品である。2003年に『フレディvsジェイソン』にて「13日の金曜日」の悪役「ジェイソン」と闘ったイングランドだが、それ以来若い監督とプロデューサーチームによる低予算映画への出演が増えたという。イングランドはこれらの出演経験について「70年代の映画作りを思いださせる」と語っている。当時、ホラー映画はほとんど独立系の作品。本作もまた、「最も商業的な映画とは？」というインディペンデント作品に永遠につきまとう命題に、「ゾンビ」と「ストリッパー」という答えを合わせて埋め込んだB級ホラー映画だ。「新しいレベルのホラーを作っている若者たちと一緒に仕事をすることで、生き返った気がするよ」という今年59歳を迎えたロバート・イングランドの言葉が印象的である。

同じくシアターN渋谷で10月24日から上映を開始する『ハロウィン』(2007)のオリジナルは、ジョン・カーペンター監督によるホラー映画『ハロウィン』(1978)である。
『ハロウィン』(1978)は、『エルム街の悪夢』『13日の金曜日』と並び、1970〜80年代に人気を博したホラー映画の名作で、2002年までに8作の続編が公開されている。今回上映される『ハロウィン』(2007)は、デスメタル・バンド「ホワイト・ゾンビ」のシンガーでもあるロブ・ゾンビが監督を担当。大のホラー映画好きとして知られるロブ・ゾンビは、自身のミュージックビデオでも、全編『時計じかけのオレンジ』のパロディである『Never Gonna Stop』などホラーテイストの作品を発表してきた。2003年には、『悪魔のいけにえ』にオマージュを捧げた『マーダー・ライド・ショー』を監督。また、今回の『ハロウィン』(2007)では、殺人鬼マイケル・マイヤーズを担当する精神科医・ルーミス医師に、マルコム・マクダウェルを起用したことも注目である。マクダウェルは、『時計じかけのオレンジ』で狂人アレックスを怪演したことで有名だが、そんな彼が、まっとうな精神科医として殺人鬼マイヤーズを諭すというのは、皮肉めいていておもしろい。また本作のサウンド・トラックには、ブルー・オイスター･カルトやＫＩＳＳなど、1970年代にヘヴィメタル・ハードロックを作り上げてきたアーティストが選ばれ、ロブ・ゾンビの体験した70年代を、肌で感じることのできる構成となっている。

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