15世紀頃から芸術家の間に普及し始めたカメラ・オブスクラという装置は、暗室にあいた穴から外の光を集めて反対側の壁に像を写し出す、現在のカメラの原型。画家たちはその壁面に写し出された風景を模写することで、遠近法という絵画技法を発達させた。また、1890年代に入ってリュミエール兄弟によって発明されたシネマトグラフは、現在のムービーカメラと映写機の原型。映画は、その発明から100年あまりで急速に現在の姿まで発達した。そして現在では、PCや、デジタルカメラ、アップロードサイトなどの発達によって、映像表現は「プロ」だけに開かれたものではなくなった。
「表現」という行為は、常にテクノロジーの後にあるということは、つまり、技術の発達が「表現」の可能性を押し広げてくれるということ。そんなアートとテクノロジーの共犯関係を伝える展覧会が、現在の渋谷でも開催中だ。
さて、テクノロジーから表現の可能性を探る行為が面白いと思ってくれたなら、次は思いがけないテクノロジーから、新しい表現を探してみるのはどうだろう。家で眠っている電化製品が、思わぬ表現を可能にしてくれるかも?
- タイトル:
- 液晶絵画 STILL/MOTION
- 開催場所:
- 東京都写真美術館
- 開催期間:
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2008年8月23日〜10月13日
10:00〜18:00 (木・金は20:00まで)
※いずれも、入館は閉館の30分前まで
※毎週月曜日休館
(休館日が祝日または振替休日の場合、その翌日)
今回の参加者に共通するのは映像表現の中に絵画的な世界の効果を生かしている点です。時間軸が絵画に介在し、映像に絵画と同質の空間が立ち現れるような、時間芸術と空間芸術とが相互に融合したような、不思議な世界を私たちは目の当たりにすることでしょう。屏風状に配した液晶ディスプレイの中で山水が微かな動きを宿す作品(千住博)、フェルメールをテーマとした展示空間によって、タブローの世界と映像の世界とを往来する試み(森村泰昌)、スローモーションで動く絵画的な美しい画面と音楽とを精妙にシンクロさせた作品(ブライアン・イーノ)、水墨的技法によるアニメーション作品(チウ・アンション)などのユニークな試みは、私たちに、新鮮な世界の発見と驚きを与えてくれるに違いありません。
- タイトル:
- ホルガエキスポ2008
- 上映場所:
- NADAR/渋谷355
- 上映期間:
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2008年8月18日〜8月30日
10:00〜19:00
※土曜日は16:00まで、24日休廊
この夏で7回目の開催となる「ホルガエキスポ2008」はホルガ専門写真サークル「ホルガ会」が主催する世界最大規模のホルガ写真展です。 今年も全国各地から集まった精鋭メンバー64名の作品を東京と大阪の2会場で2週間ずつ・前半後半入れ替えで巡回展示。世界最先端のトイカメラ写真表現をご覧いただけます。