現在、ハチ公広場では、広場の花壇に竹やぶが設置され、色とりどりの短冊が涼しげに風に揺れている。渋谷の玄関が7月7日へ向けて七夕の装いをたたえる中、シアターN渋谷でも、七夕を記念した新作ドキュメンタリーが公開される。
『77BOADRUM』と題された本作は、2007年7月7日、ニューヨークで開催されたライブイベント「77BOADRUM」の様子を記録したドキュメンタリー。「イベントは、ボアダムスのコンセプトを基にしたポピュラー音楽の最もプリミティブな楽器=ドラム77台の生演奏。共演者はボアダムスのヤマタカEYヨさんが扱うCDJやディスコミキサー、エフェクト類、そしてスーパーアナログな七本のギターキットです。これに野外会場ならではの自然音、聴衆の会話や歓声が交じり合っていきます。映画はリハーサル風景、参加アーティストのインタビュー映像等を織り込んで構成されていて、ただでさえ音の大きなドラムという楽器で、意思の疎通を図っていく困難さが伝わってきます」と、シアターN渋谷の近藤さんは話す。ボアダムスとは、ヤマタカEYヨを中心に1986年に結成されたバンドで、88年にソニック・ユースと共演して話題になった。ロックの文脈に縛られないストイックな音楽への姿勢が、日本よりもむしろ海外で評価されている。
また、同じ音楽ドキュメンタリーでも、シネ・アミューズ・イースト&ウエストでは、『メイド・イン・ジャマイカ』が7月5日から上映される。音楽を通して、ジャマイカという国の抱える歴史や、矛盾、喜びをあぶり出す本作。音楽とは「地域」から生まれて、地域とともに育まれているメディアだということを、改めて私たちに伝えてくれる。1947年に生まれ、ボブ・マーリーとともにレゲエ・レジェンドを築いたバニー・ウエイラーから、21世紀に入ってからのダンスホール・シーン最前線をキープしてきたエレファント・マン、アメリカでも人気を集めるR&B/ダンスホール・姉妹デュオ、ブリック&レイスまで、キーミュージシャンの豪華な出演映像でジャマイカ・ミュージックの変遷を辿りながら、秋田県ほどの土地、ジャマイカに生きる人々の魅力を伝える。
国もジャンルも超えて‘評価される’ボアダムスと、ジャマイカという地域に‘育まれる’レゲエ・ミュージック。音楽カルチャーの奥深さを、あなたの耳と目で感じてみては?
- タイトル:
- 77BOADRUM
- 上映場所:
- シアターN 渋谷
- 上映期間:
- 2008年7月7日〜
- 監 督:
- 川口潤
- 演 奏:
-
77BOADRUM(V∞REDOMS,Hisham Akira Bharoocha、David Nuss、Brian Chippendale、Jaiiko Suzuki、Andrew W.K、David Grubbs、and more)
「まず一斉に鳴り出す地響きのような怒涛の音に圧倒されてください!そして次第に同調する77台のドラムの音が頂点に達した時に鳥肌を立ててください!きっと映画を観ている間、身体中が打楽器になったかのようにリズムを刻むはずです!いつの間にか画面に映っている川や木々の全てがドラムの音に呼応しているような錯覚に陥って、自然との同化が始まるはずです!この圧倒的なトランス状態を劇場で体感してください!上映時間は77分+777秒(89分)。監督はこれまでにWRENCH、blood thirsty butchers、eastern youthなど数々の音楽バンド映像を手掛けてきた川口潤さんです。」 シアターN渋谷 支配人 近藤順也さん
- タイトル:
- メイド・イン・ジャマイカ
- 上映場所:
- シネ・アミューズ・イースト&ウエスト
- 上映期間:
- 2008年7月5日〜
- 監 督:
- ジェローム・ラペルザ
- 出 演:
- バニー・ウェイラー、エレファント・マン、バウンティ・キラー、サードワールド、ケイプルトン、グレゴリー・アイザックス、レディ・ソウ
2005年1月、ジャマイカでもっとも偉大なダンサーであるボーグルが何者かに殺害された──。 その衝撃のニュース映像から幕を開ける本作は、氾濫する銃と止まらぬ暴力、政治と音楽、ラスタファリアニズム、過激な性的トピックを扱いながら、なぜ人口300万足らずの小国から、ここまで影響力のある音楽が生まれてきたのかを貴重な証言と共に探っていく。