現在、シネマヴェーラ渋谷とユーロスペースでは、3人の映画監督に焦点をあてた特集上映を企画・開催している。任侠映画の数々を通じて暴力や死を突き詰めた深作欣二監督の『焦燥★70年代★深作欣二』、前衛的な映像表現で自主映画の観念を塗り替えた石井聰亙監督の『DESTROY YOURSELF All about 石井聰亙 in Tokyo』、歴史上の人物を描くことに定評があり、日本にも多大な関心を寄せるロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の『ソクーロフと戯れる』の3つの特集がそれだ。
中でも注目したいのは、『ソクーロフと戯れる』より、美術品が陳列されたままのエルミタージュ美術館を舞台に、300年に及ぶロシアの近現代史を映画史上初の90分ワンカットで描いたソクーロフ監督の代表作『エルミタージュ幻想』。「世界映画史上もっとも贅沢な作品」とも呼ばれ、2002年のカンヌ国際映画祭で上映された後、この前代未聞の作品の話題が絶えなかったという。石井監督のデビュー作やソクーロフ監督の未公開作品などからは、各監督の創作の源泉を見つけることができるだろうし、深作監督が同じテーマを追求した末に作り上げた道筋を一気に辿ることもできる。個々の作品だけでは伝えきれない各監督の思想や人生そのものに思いを馳せることができるのも、こうした特集上映ならではの楽しみである。
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「フカサク逝って5年目の命日に捧げる、70年代日本映画の頂点を極める諸作をとくとご賞味あれ!」(シネマヴェーラ渋谷) |
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石井聰亙作品集DVD−BOXII 発売を記念して、石井聰亙監督作品を大特集上映!! 「『狂い咲きサンダーロード』や『爆裂都市』でジャパニーズ・ニューウェーブの象徴となった石井聰亙。作品世界は1つに留まらず、ファンタジーや時代劇、実験映画や音楽ビデオまで幅広いジャンルに挑戦し探求し続けている。今回の上映は、石井監督の全貌が知ることができる貴重なイベント!!」(トランスフォーマー 制作・宣伝/小川さん) 【上映作品】 『高校大パニック』『1/880000の孤独』『突撃!博多愚連隊』『狂い咲きサンダーロード』『シャッフル』『逆噴射家族』『THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者』『DUMB NUMB LIVE FRICTION 1989』『TOKYO BLOOD』『水の中の八月』『アジアの逆襲 〜2005 REMIX LIVE VERSION〜』『鏡心完全版』 ほか |
『牡牛座 レーニンの肖像』の公開を記念し、世界のアートシーンを刺激し続けるアレクサンドル・ソクーロフ監督。天皇ヒロヒトを描き大きな話題となった『太陽』、タルコフスキー監督をフィーチャーしたドキュメンタリー『モスクワ・エレジー』や『ヴィオラソナタ・ショスタコヴィッチ』などの未公開作品など、デビュー作『孤独な声』から最新公開作『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』まで一挙に上映する。 「マーティン・スコセッシ監督が、『世界の映画にとって、アレクサンドル・ソクーロフがいることは非常な幸運である』と手放しで絶賛するロシアの鬼才監督ソクーロフ。『太陽』を観てファンになった人、ずっと以前からコアファンだった人、初めて名前を聞いた人、どんな人にでも満足いただけるよう第一回監督作から日本未公開作まで一挙17作品を揃えました。世界の映画の幸運を、是非スクリーンで味わいに来てください!」(パンドラ/宣伝担当) 【上映作品(全17本)】 『孤独な声』『ヒトラーのためにソナタ』『ヴィオラソナタ・ショスタコヴィッチ』『痛ましき無関心』『モスクワ・エレジー』『日陽はしづかに発酵し…』『ペテルブルグ・エレジー』『セカンド・サークル』『ストーン クリミアの亡霊』『ロシアン・エレジー』『静かなる一頁』『マザー、サン』『モレク神』『エルミタージュ幻想』『ファザー、サン』『太陽』『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』 |