日本一有名な待ち合わせ場所
日本一有名な待ち合わせ場所−−「ハチ公前」
ケータイの普及によって人々の待ち合わせに対する意識は大きく変わったようだ。以前は、時間と場所をきっちりと決めて待ち合わせをした。そうしなければ、会えない可能性があったから当然だ。ところが今は、ケータイで連絡を取り合えるから、「17時頃に渋谷駅」といったアバウトな約束でも問題ない。遅れるときも、「10分遅れる」とメールを送ればいいから、待ち合わせ時間を神経質に気にする必要もない。さらに以前は、直前に約束をキャンセルするいわゆるドタキャンは、相手に待ちぼうけを食らわすことになるためNGだったが、今ではケータイに連絡して「行けなくなった」と伝えれば、それで済んでしまうことも。そのようにルーズな行動が許されるようになっていくことを快く思わない人もいるかもしれない。一方で、外出先で連絡を取り合って「今から会おう」ということができるのも、ケータイならではの利点だ。やはり便利になることには、良し悪しの両面があると言えるかもしれない。
表1.あなたが知っている「待ち合わせ場所」は?
1 | ハチ公前(東京・渋谷) | 79.0% |
2 | アルタ前(東京・新宿) | 57.8% |
3 | 銀の鈴前(東京駅) | 30.3% |
4 | モヤイ像前(東京・渋谷) | 22.2% |
5 | アマンド前(東京・六本木) | 20.8% |
6 | ヨドバシカメラ前(大阪・梅田) | 19.3% |
7 | マリオン前(東京・銀座/有楽町) | 16.5% |
8 | いけふくろう前(東京・池袋) | 13.8% |
9 | ナナちゃん人形前(名古屋) | 13.0% |
10 | ビッグマン前(大阪・梅田) | 8.5% |
MA(複数回答)/N=1428人
さて、どの街にも、待ち合わせのメッカはあるものだ。しかし、その中で全国区で有名になっている場所は、そう多くはない。では、日本で最も有名な待ち合わせ場所はどこなのだろうか。大都市で待ち合わせに使われることの多い場所をピックアップして、知っているところをアンケートした結果、ダントツで1位となったのが「渋谷・ハチ公前」(表1参照)。8割近くの人が「知っている」と答えた。2位の新宿・アルタ前の知名度は6割程度だ。実際、渋谷駅を降りてハチ公前に差しかかると、昼夜を問わず、人だかりができている。あまりに有名なため、かえって人を探すのに苦労することもあるようだ。そこで、「ハチ公のしっぽ側」などと、細かく指定する人もいる。
芋洗い状態の「ハチ公前広場」。日本一有名な「待ち合わせ場所」は人探しもひと苦労
日本中の人々を感銘させた忠犬
ハチ公は待ち合わせ場所だけではなく、「犬」としての知名度も高く、「知っている犬(キャラクター犬等を含む)」というアンケートでも9割近くの人が「知っている」と答え、堂々の1位だった(表2参照)。2位はパトラッシュ(フランダースの犬)、3位はラッシー(名犬ラッシー)、さらに4位はタロとジロと続く。
表2.あなたが知っている「犬」(キャラクター含む)は?
1 | ハチ公 | 87.7% |
2 | パトラッシュ | 78.6% |
3 | ラッシー | 59.2% |
4 | タロとジロ | 56.9% |
5 | わさお | 53.3% |
6 | まさお君 | 46.6% |
7 | だいすけ君 | 41.7% |
8 | カイ君 | 41.2% |
9 | ポチ | 28.7% |
10 | クイール | 26.5% |
MA(複数回答)/N=1428人
「新しいハチ公像」除幕式の様子(渋谷フォトミュージアムより)
ご存じの方もいるかもしれないが、そもそもハチ公とはどのような犬だったかをおさらいしておこう。ハチ公は、1923年(大正12年)生まれの秋田犬で、渋谷に住んでいた大学教授・上野英三郎氏の飼い犬だった。上野氏に非常になついていたハチ公は、最寄りの渋谷駅まで上野氏を送迎することもあったという。ところが、飼い始めた翌年、上野氏が外出先で急死してしまう。するとハチ公は、渋谷駅前で主人の帰りを待ち続けた。この美談が新聞で報道されると、たちまちハチ公は有名になり、「忠犬ハチ公」と呼ばれるようになった。尋常小学校の修身の教科書にも、「恩ヲ忘レルナ」というハチ公の物語が採用されている。1934年(昭和9年)には、渋谷駅前にハチ公の銅像が設置された。このとき、ハチ公はまだ存命で、除幕式に参加している。その後、戦時中に金属供出によってハチ公像は一旦姿を消すが、終戦後の1948年(昭和23年)8月、「初代忠犬ハチ公像」を作った安藤照氏の息子・安藤士さんの手によって「新しいハチ公像」が再建された。除幕式には、待ちに待った復活を見守る多くの人びとでにぎわったという。
ハチ公の銅像は日本人だけではなく、外国人の観光スポットとしても有名だ。ハチ公と一緒に記念撮影をする観光客の姿はおなじみの光景となっている。日本一有名な犬であり、待ち合わせスポットであるハチ公。銅像ではなく、本物のハチ公に会ってみたいという人は、国立科学博物館に行ってみるといい。ここには凛々しい表情をしたハチ公の剥製が展示されている。
東急総研調べ
調査対象:全国の15〜69歳以下の男女
有効回答数:1,428人(全国7ブロック・性・年代で割り付け配分)
調査方法:モニターを利用したインターネット調査
調査期間:2012年12月27日(木)〜2013年1月7日(月)
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