映画で占う2015
2015年に突入ー年明け早々、西日本を中心にした日本各地が大雪に見舞われ、東京からの行き帰りに足止めを食らった人も多かったのでは? お盆とお正月は、東京で暮らす人々が故郷へ帰って親戚や友人と顔を合わせたり、祖先のお墓に手を合わせたりしながら、自分が生まれ育った「地元」の言葉、習慣、気候などを改めて感じる特別な機会。年始の挨拶を済ませてまた東京へ戻ってくる時、地元が好きな人もそうでない人も、「幼かったあの頃の自分」と向き合って思いを新たにする人も多いのでは? 今回は、そんな日本各地の地域性が産んだカルチャー・価値観を題材にした映画2本をピックアップ。1作は「沖縄」を舞台にしたローカルヒーロー作品で、もう1作は「大阪」を舞台にしたサブカルチャー作品。どちらも方言や風景から、ものの考え方や集まる人々まで、作品の端々に地域性が満載。2作を通してそれぞれの土地が育んだ独自のカルチャーを感じてみたい。 そして、併せて紹介するもう1作は、逆に国籍も言葉も異なる人々の交流がテーマのドキュメンタリー作品。そんなバラバラの人たちが友情を育む過程で拠り所となる「共通点」とは何か? その場所だから特別なもの、その場所でなくとも残るもの…、それぞれ真逆のアプローチから自分自身の2015年、大切にしたい価値観を占ってみて欲しい。
ハルサーエイカー THE MOVIE エイカーズ
- タイトル
- ハルサーエイカー THE MOVIE エイカーズ
- 上映場所
- 渋谷シネマライズ
- 上映期間
- 2015年1月31日(土)〜
- 上映時間
- 上映スケジュールの詳細は劇場まで
- 監 督
- 岸本司
- 出 演
- AKINA、福田萌子、山城智二、知念臣悟、仲座健太、知念臣一郎、ベンビー、池間夏海、津波信一、比嘉恭平
渋谷シネマライズでは1月31日より、沖縄の人気テレビシリーズを映画化した「ハルサーエイカー THE MOVIE エイカーズ」がスタートする。
2011年秋に放送開始し、土曜朝の放映で視聴率が16%を越えるほどの人気を集める「ハルサーエイカー」。元Folder5のAKINAを主役に、闘わないローカルヒーローが自然の大切さや食育を伝えている。
沖縄の言葉で、ハルサーは「農家」、エイカーは「一族」を意味する。大地と語れるハルサーエイカーの末裔は、田畑豊作、長女ハル、次女アイの三人。
作中ではハルサーとしての未熟さにコンプレックスを持つハルが、「村の様子がおかしい・・・」とやって来た少女・五月とともに、村に向かう。そこで出会ったのは、神の宿る森を潰そうとする人々だった。
沖縄を舞台に考える、私達が「本当に守るべきもの」。 映画版主題歌は沖縄のニューカマーCIVILIAN SKUNKが、エンディング曲は沖縄が生んだ人気バンドMONGOL800が担当。そして絶望の淵で、「戦わない」ヒーローが見つける希望とは?
味園ユニバース
- タイトル
- 味園ユニバース
- 上映場所
- ヒューマントラストシネマ渋谷
- 上映期間
- 2015年2月14日(土)〜
- 上映時間
- 上映スケジュールの詳細は劇場まで
- 監 督
- 山下敦弘
- 出 演
- 渋谷すばる、二階堂ふみ、鈴木紗理奈、川原克己、松岡依都美、宇野祥平、松澤匠、野口貴史、康すおん、赤犬
ヒューマントラストシネマ渋谷では2月14日から、関ジャニ∞の渋谷すばるが主演するヒューマンドラマ「味園ユニバース」がスタートする。
味園(みその)は1956年に開業した、大阪市千日前に建つビル。キャバレーや宴会場、ダンスホールなどを併設する複合商業ビルとして、バブル期にはミナミの歓楽街を代表する施設へと発展。現在は若いオーナーが中心のバーや飲食店が軒を連ね、日本のアンダーグラウンド文化の発信地の一つとして知られる。ユニバースは、味園に入る老舗キャバレー。2011年キャバレー営業終了後は貸しホールとなり、若者たちのライブ会場としても人気が高い。
同作では、ユニバースを中心に活躍する実際の音楽バンド「赤犬」のライブに、ふらふらと現れた男(渋谷さん)が飛び入り。記憶喪失だという男の正体と歌声に興味を持った赤犬マネージャーのカスミ(二階堂ふみ)は、彼を「ポチ男」と名付け、祖父と暮らす自分の家に住まわせながら、バンドのボーカルに迎えようとする。しかし、ポチ男の記憶がフラッシュバックで蘇る…「俺は、危険かもしれない」。それぞれの中で止まっていた時間が、再び動き始める。
メガホンを取ったのは、大阪芸術大学出身の山下敦弘監督。同じ大芸出身者が多い赤犬はデビュー以来同監督作の映画音楽を担当するなどの縁がある。バンド、監督ともに大阪を代表するメンバーが顔を揃える映画として、大阪サブカルチャーを味わいたい。
バベルの学校
アップリンクでは1月31日から、国籍がバラバラの子どもたちが集まるフランスの語学クラスにカメラを向けたドキュメンタリー「バベルの学校」がスタートする。
舞台となるのは、他国からフランスに移住してきたフランス語を母語としないこどもたちが、不自由なくフランスで生活し、フランスで教育を受けることができるよう、フランス語学習を強化したパリの中学校の特別クラス。年代は11歳〜15歳。アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国と、出身国も言語も宗教も違う24人の生徒たちと、彼らの自立と成長を見守るブリジット・セルヴォニ先生との交流が、8ヶ月にわたって語られる。
世界の縮図のような多文化学級で、フランスで新生活を始めたばかりの十代の彼らが見せてくれる無邪気さ、熱意、そして悩み。果たして、それぞれがこれまで各々の場所で育んできた宗教や国籍や習慣や歴史などの違いを乗り越えて、友情を育てることは出来るのだろうか。同作は大人の私達の先入観をいい意味で裏切り、私たちに未来への希望を見せてくれる作品。これまで紹介してた、「土着」カルチャーとは異なり、違うからこそ浮き彫りとなる人間が持つ文化・価値観を再確認してみては?