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新しい「金王橋」が落成、2カ月後に迫る「まちびらき」を控えて

9月13日開業予定する大規模複合施設「渋谷ストリーム(渋谷駅南街区)」は、渋谷川沿いの東横線線路跡地の再開発プロジェクトとして高い注目を集めている。現在、渋谷では数多くの再開発プロジェクトが同時並行で進んでいるが、「東急文化会館」から「渋谷ヒカリエ(2013年4月開業)」、「渋谷駅(東急百貨店東横店を含む)」から「渋谷スクランブルスクエア(東棟=2019年度開業予定、中央棟・西棟=2017年までに完成予定)」、「東急プラザ」から「東急プラザ(2019年秋開業予定)」など、ほとんどの再開発は、既存商業施設から新しい商業施設への建て替えがメイン。新たな用地取得が難しい大都市・渋谷の駅周辺では、ごく当然のことだ。
▲左)2012年9月19日撮影の渋谷川の風景。右)2018年5月17日撮影。東横線の高架がなくなり、中央にはグーグルが入居する「渋谷ストリーム」と、建設中の「渋谷スクランブルスクエア東棟」の姿が見える。
ところが渋谷ストリームを含む渋谷川沿いの「渋谷駅南街区プロジェクト」が、他の再開発と異なるのは、今までに商業施設やオフィス、住宅等が一切なかったエリアに「新たな”まち”が生まれる」という点にある。建て替え以外の選択肢が考えにくい中で、東横線地下化に伴う地上線線路跡地の利活用が、それを実現させた。いわば、9月13日は、渋谷駅南エリアの「まちびらき」と言えるだろう。

その「まちびらき」まで2カ月迫った7月14日、渋谷川をまたぎ、渋谷ストリームへの主要動線となる「金王橋(渋谷区特別道第552号路線)」の架け替え工事が終わった。同日、橋の落成を記念し「金王橋落成 渡り初め式」が開かれたので、その様子をレポートしたいと思う。
▲渋谷川沿いの再開発の様子 画像提供=渋谷ストリーム
金王橋の架け替えは、「渋谷駅南街区土地区画整理事業」の一環として、2015(平成27)年11月から渋谷区特別道第552号路線(金王橋を含む)の整備が始まり、橋の幅員を4mから12mに拡幅する工事が行われていた。従来、金王橋は明治通り側からの一方通行路であったが、今回の拡幅により対面通行路となり、新商業施設への車の乗り入れのほか、恵比寿、代官山方面へのアクセス向上が期待される。
落成式には渋谷区長をはじめ、各町会、渋谷駅南街区土地区画整理組合、まちづくり推進協議会、開発に携わる東急電鉄らが参加し、神事が行われた。

また落成を記念して、古くから地域風習して行われている「家族3世代」による渡り初め式が行われた。「古来より、3世代のご夫婦、ご高齢のご夫婦に渡っていただくことで 世代を越えて受け継がれる長寿の橋となるように」という願いが込められているという。
▲左側が寒河江さん、右側が小池さんご一家。
今回の渡り初め式には、渋谷3丁目にお住まいの寒河江(さがえ)さんご一家と、酒屋を営む小池さんご一家の2家族が参加。生まれも育ちも渋谷の寒河江トシエさん(82)は「もともと東横線のガードがなくなって、だいぶ明るくなった。まちが変わっていくのは、楽しみが多い」と笑顔を見せる。当日一緒に参加したのは長男・弘さん(56)、次男・孝さん(52)、長男の妻・明美さん(56)、長男の息子・皓さん(21)の5人。
▲渡り初め式の様子。
もう一つの参加家族である、小池一家は並木橋交差点近く、東横線高架下で小池酒店を長らく営んでいる。52年前に渋谷に嫁いできたという布子さんは「(地下化されて)東横線の音がしなくなって、最初は寂しかったが、今は本当にうれしい。(今まで)元気で良かった」と話す。当日は次女・美佐子さん(47)、次女の夫・昌紀(52)、孫・巧馬(12)、智己(8)の家族5人で新しい渋谷の第一歩を踏み出した。
▲金王橋(渋谷区特別道第552号路線)は幅員4mから12mの拡幅され、自動車の往来ができるようになった。
秋のまちびらきに向け、長谷部健区長は「今後、渋谷ストリームと(JR線路を挟んだ反対側の)桜丘とも結ばれて利便性が高まり、代官山、恵比寿にも行きやすくなる。渋谷の街がより活溌となり、世界に通じる街に向けた大きな一歩になる橋だと思う」と期待を寄せた。
▲金王橋広場(仮称)パースイメージ 画像提供=渋谷ストリーム
新しく架け替えられた「金王橋」には隣接する「金王橋広場(仮称)」、渋谷駅に近い「稲荷橋」には隣接する「稲荷橋広場(仮称)」がそれぞれ設けられ、今後、その広場では様々なイベントやマルシェ等の催しが予定されている。リバーサイドの新たな賑わいスペースの誕生が待ち遠しい。

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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