ハンズ渋谷店のスペシャリスト集団「G4」の正体とは!?
〜ネット時代だからこそ輝くベテランの接客力
「お店に行かなくても何でも手に入る時代だからこそ、お客さまとの接点を大切にしたいんですよね」。
そう話すのは、東急ハンズ渋谷店の通称“ジャッジ緑川”さん。2016年に渋谷店独自の企画で発足した、スペシャリスト集団「G4」メンバーの一人です。「G4」の「G」はGreatの略。深い商品知識と巧みな接客技術を持ち合わせた「G4」のメンバーは、ジャッジ緑川さんのほか、6Aフロア(クラフト)に“バイカー長井”さん、1ABフロア(ヒントスペース・パーソナルスタイル)に“ムッシュ横川”さん、B1Cフロア(DIYホームソリューション)に“スクランブル亘(わたり)さん”の4人で構成されています。
実はこの4人、役職定年したベテランスタッフたちばかり。お話を聞いた緑川さんは、長年東急ハンズ新宿店でインテリアフロアのマネージャーを務めていた大ベテランだそうです。
渋谷店で緑川さんに任されているフロアは、当然4Aのインテリアフロア。同店はスペースの関係で大型家具の扱いが限られてしまうものの、その中でもデスクやチェア、収納家具やその他インテリア関連グッズについては、渋谷屈指の品ぞろえを誇ります。「僕が最近特に手をかけているのは、ダストボックスとマクラメ(カーテンなどの縁飾りとして用いられる編み紐)のコーナーです!」と話す緑川さん。お休みの日なども積極的に工房などを訪問しては、商品誕生の背景や使用方法のポイントなどを取材するなど、オンオフ問わず知識の収集に余念がありません。
実は、特例として“フロアのプロデュース権限”も与えられているというG4。本社のバイヤーがセレクトした商品のほか、自身で見つけてきた商品を自由に並べることも許されているそうです。自らの目利きで買い付けた商品には人一倍の愛着を持ち、その知識は自然と一緒に働くスタッフたちにも伝播。取材中もG4メンバーの周りは、常に活気に満ちていました。
取材にうかがった日はちょうど新生活の始まるシーズンということで、洋服ブラシの老舗メーカー「浅草アートブラシ」の専用コーナーが設置されていました。既に同店で取り扱いのあった商品ではあるものの、もちろん緑川さんは改めてメーカーを直接訪問されたとのこと。商品知識や、お客さんとの会話のきっかけになりそうな様々な“ネタ”も仕入れ、いつ訪れるかもしれない一瞬の接客機会のために入念な準備をしています。
例えば、5千円台から2万円超えまで、かなり幅のある商品の値段の差について。価格は、大きさというよりも毛の質によって左右されるということ、それをお客さんにわかりやすく伝えるための展示方法にも力を入れています。
一般的にウールには豚毛のブラシ、カシミヤには馬毛のものが最適と言われていますが、最近の洋服は混紡のものがほとんど。どの生地がどのブラシと相性が良いかも、緑川さんに相談すれば的確に“ジャッジ”してくださいます!その知識の広さと奥深さに触れると、「この人がおすすめしてくれるなら」と思わず購入したい気持ちになってしまいそうです。
ハンズ渋谷店は、若者や外国人はもちろん、クリエーターのお客さんの割合が多いのも特徴の一つだそう。「面白いもの、ユニークなものへの食いつきは、他のどの店舗よりもいい」と変化を好む客層に応えようと、腕を鳴らす緑川さん。「取り扱う商品のチョイスから接客」と言い切り、インターネット上では叶わない“リアルな接客”を大切にしているのだそうです。
そんなアナログなタッチポイントを大切にする渋谷店では、昨年夏より新聞スタイルの手作りチラシ「しぶやニュース」も不定期で制作。店頭や近隣住民への折り込みとして5,000部程度を発行しています。この取り組みを行うのも、全国で渋谷店のみなのだそうです。
「こういうものを取り扱ってほしいという要望や、こうしたらもっといいのにというアドバイスもどんどんお待ちしています。渋谷店は地域の皆さんや、わざわざ足を運んでくださるお客様と一緒に作っていきたいんです」と熱く語る緑川さん。商品知識はもちろん、接客技術も百戦錬磨のG4は、渋谷らしさを取り入れながら進化を続ける同店に欠かせない存在になっていました。
東急ハンズ渋谷店
〇住所:渋谷区宇田川町12-18
〇電話:03-5489-5111
〇営業:10:00〜21:00
〇公式:http://shibuya.tokyu-hands.co.jp/
土屋絵美(代官山ひまわり)
代官山を拠点に活動するNPO法人「代官山ひまわり」。所属するママさんライターが渋谷情報をお届けします。