【レポート】金王八幡宮でBEGINの恒例ライブ、昭和歌謡メドレーで会場盛り上げ
五穀豊穣や無病息災を祈願して行われる「金王八幡宮例大祭」が9月14日より、金王八幡宮(渋谷3丁目)で始まった。奉納ライブの初日を飾ったのは、今年で4回目の出演となるアコースティックバンドBEGIN(ビギン)だ。
沖縄・石垣出身の彼らだが、実は渋谷とのゆかりが意外に深い。上京して以来、定期的にライブを行っているのは渋谷・円山町の老舗ロック喫茶「B.Y.G.」。下積み時代から現在に至るまで、長きにわたってビギンを応援するロックバーとして、ファンの間でもよく知られている。また、彼らが所属する事務所(アミュ−ズ)も渋谷にあり、「渋谷は僕らのふるさと、地元」と公言している。こうした縁から秋の例大祭では、金王八幡宮の境内にある神楽殿をステージとして、毎年フリーライブが開かれている。
境内には約2000人近い人びとが集まりにぎわいを見せたが、時折吹く秋のそよ風が気持ち良く、思った以上に過ごし易かった。時刻は19時過ぎ、「今年も帰ってきました」という挨拶と共にBEGINがステージに登場。「うたのうた」でライブがスタートし、2曲目に「ボトル2本とチョコレート」とノリの良いオリジナル曲で、会場のテンションを一気に上げる。
ボーカル・比嘉栄昇さんは「今日は総踊り。みんなで踊って、ここをダンスホールにします」と宣言し、ノンストップライブに突入。「上を向いて歩こう」(坂本九)、「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)、「月がとっても青いから」(菅原都々子)、「銀座鉄道999」(ゴダイゴ)など、昭和歌謡曲をメドレーで歌い上げる。世代を超えて愛される聞き馴染みのある曲の数々に、子どもも大人も楽しそうに手を振ったり、体を揺らす姿が目立った。
後半は英語の楽曲のほか、オリジナル曲である「オジー自慢のオリオンビール」「笑顔のまんま」などを熱唱。「アンコール、アンコール…」という声が一斉に沸き、再登場したBEGINは代表曲「島人ぬ宝」を最後に披露して、1時間以上に及んだライブを締めくくった。
BEGINの魅力は、沖縄をルーツに持つ心地良いメロディーや詩の世界はもちろんだが、ライブを観て思うのは、その日の会場や客層、ノリなどに合わせて作り上げていくステージングにあると感じた。最初はバラバラだった人と人と結び付け、会場を一つに変えていく。彼らのピースフルな人柄、神社境内という非日常的な場も相乗し、多くの人びとの心を開くのだろう。いつしか歓声を上げて体を揺らし、会場全体に心地良い高揚感が広がる。ここが大都会・渋谷であることをつい忘れてしまうほどだ。「また来年も必ず来よう」とそう思わせる魅力にあふれるライブだった。
さて、ビギンの奉納ライブで始まった金王八幡宮の例大祭は、これから9月17日(日)まで続く。16日(土)には奉納行事や子供縁日、屋台など。17日(日)には、各町会の御神輿が渋谷の街を練り歩き、14時ごろに渋谷地区は道玄坂109付近で神輿連合渡御が行われる。
編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。