スマホ感覚で簡単操作、明治通り沿いに「外国人旅行者向けのデジタルサイネージ」が登場
最近、渋谷駅にほど近い歩道に「Tourist INFORMATION(ツーリスト インフォメーション)」と表示のある「観光案内標識(デジタルサイネージ)」が設置されました。お気づきの方はいるでしょうか?
もう少し詳しく場所をお伝えすれば、宮益坂下から明治通り沿いに原宿方面に向かい、しばらくすると右手に「三菱東京UFJ銀行」が見える。その少し手前にうなぎ店「はなぶさ渋谷本店」があり、その店の前の歩道沿いに標識が立っている。実はこれ、「外国人旅行者の利便性向上」を目的とし、街なかで観光情報などを多言語で提供する観光案内標識。2020年に向けて、東京都と公益財団法人東京観光財団が整備を進めているという。
外国人観光客ではないが、早速、観光案内標識に触ってみました。
大きなデジタルサイネージは、左側と右側に2つの大きな縦型画面で構成。各縦型の画面は、おそらくスマートフォンのディスプレーをイメージしてデザイン設計されたのだろう。写真の右画面の上部3分の2には大きなマップが表示され、下部の3分の1はナビゲーションとなるアイコンが並んでいる。すべての操作は、スマホと同様に画面に軽くタップするだけ。観光者の利用がないときは、左画面のように東京観光のPR動画が随時流れているが、手で画面に触れると、右画面のようにすぐにマップに切り替わる。
たとえば、「Restraurants(レストラン)」のアイコンをタップすると、飲食店のカテゴリー一覧が登場する。
そのカテゴリーの1つをタップすると、上部のマップ上に現在地を中心として「番号の着いたマーク」が数多く出現(左写真)。
さらに各番号をタップすると、お店の詳細情報が表示される。また、現在地を起点として各スポットまでの道案内を推奨ルートで表示してくれる。ちなみに推奨ルートはバリアフリーに対応し、安全に目的地までたどり着ける道順なのだそうだ。
画面を指でスライドさせればマップは移動し、2本の指を広げれば拡大し、狭めれば縮小する。なかなかよく出来ていて、日ごろスマホを使っている人であれば、特に戸惑うことなく操作ができる。
この観光案内標識で検索できるコンテンツは、「観光」「飲食」「ショッピング」「宿泊施設」などの基本情報から、「ATM・両替所」「コインロッカー」「トイレ」「バス・タクシー」「フリーWi-Fiスポット」「周辺のイベント情報」「電車の運行情報」など旅行者に役立つスポットや情報。さらには「忘れ物」「病気・ケガ」「災害時」など、緊急を要する情報やお問い合わせまで、かなり幅広いコンテンツが網羅されている。
観光案内標識の情報はスマホとも連動しており、標識上のQコードからウェブにアクセスができる。右写真は、スマホからアクセスしたウェブサイト画面。
観光案内標識に表示されたスポットや情報がスマホでも閲覧でき、道順をナビゲーションしてくれるため、標識を離れた後も安心してまち歩きを楽しむことができる。
日本人の多くはこの標識に気付くことなく通り過ぎていく一方、「Tourist INFORMATION」という英語表記のせいか、立ち止まる外国人観光客は思った以上に多かった。明治通り沿いは、渋谷駅から原宿方面に歩いて移動する観光客が多く、こうした観光案内標識は結構役立つかもしれない。特に日本は「おもてなしの国」と言われながらも、外国人観光客に道を聞かれそうになると、声を掛けられないようにスッと避けてしまう人が案外多いという。もし近くにこの案内標識があれば、たどたどしい英語であっても、マップを見ながら動かしながらなら安心だ。また英語圏の旅行者でない場合も、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語への言語切り替えができるため、なんとか怯まずに道案内が出来そうだ。
ちなみに「観光案内標識(デジタルサイネージ)」は、今年度中に渋谷、新宿、上野、秋葉原、東京駅、六本木、お台場など、外国人観光客が多く訪れる地域に15カ所設置。そのうち、渋谷には「はなぶさ渋谷店前」(渋谷区渋谷1-15-20)のほか、渋谷キャストに隣接する「ROSE BUD前」(渋谷区渋谷1-23-18)、「越一ビル前」(渋谷区神宮前6-19-16)の計3カ所に設置される。「外国人旅行者の利便性向上」にはまだ程遠い数であるが、2019年度までには「観光案内標識(デジタルサイネージ)」が100基程度設置されるほか、観光案内サインやフリーWi-Fiの整備、観光案内所窓口の拡充なども進められるという。
自動翻訳アプリやおもてなしロボットなど、2020年に向けて「観光 × テクノロジー」の分野は、まだまだ面白いツールが出てくるだろう。今後もインバウンドの取り組みに注目していきたい。
編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。