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渋谷ジャムセッションVol.2
ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展

 チェコを代表する映像作家ヤン・シュヴァンクマイエルと、その妻で美術家のエヴァ・シュヴァンクマイエルのエキシビジョン『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 アリス、あるいは快楽原則』が、原宿のラフォーレ・ミュージアムにて開催されている(8月25日〜9月12日マデ)。 

 何を隠そう、僕は20年来のシュヴァンクマイエル信奉者。その長年に渡る想いが通じたのか、ここ数年、氏のポートレートやらオブジェの撮影を依頼される機会に恵まれた。その際に出来たコネをフル活用して、25日に作品展会場で行われた来日記念パーティに潜入してきたのである。 
 当日は、マスコミ関係者やら熱心なシュバ信者やらで大盛況(写真1)。中でも20代後半〜30代前半の、割と美人でお洒落なカンジのお姉さんたちが多い。これは、使い古されて陳腐になってしまった言葉だが、彼の作品に横溢する『身体性』に、女の人を引き付けるエッセンスが隠されているからだ。 
 CG全盛のこの時代に、手作業によるコマ撮りアニメーションによって表現される、アナログ感覚全開の作品世界は、視覚的であると同時に極めて触覚的である。触覚に敏感なのは男よりも女のほう。 素材のテクスチャーにまで徹底的に美学を貫いたシュバ作品が女性を惹き付けるのは、ある意味当然と言えるのだ。

 今回のエキシビションは本邦初公開の作品も多く、また、05年に惜しくも他界したエヴァの追悼展の意味合いも込められた見逃せないエキシビジョンとなっている。 
 パーティーの佳境で、いよいよシュヴァンクマイエルのご登場(写真2)。この9月で73歳になるとは思えないエネルギッシュさで、ファンの質問・サイン攻めに誠実に対応している。強烈な作風からは想像出来ない、穏やかで紳士的な人物だ。 

 ふと僕の隣を見ると、あどけない少年が佇んでいる。おお、彼は今話題の14歳の天才画家、林俊作くんではないか。何でも、林くんは大のシュヴァンクマイエルファンで、わざわざこの日の為に大阪から上京したそうだ。人だかりをかき分けて、何とかシュヴァンクマイエルと初対面を果たした林くん(写真3)。自分の画集もプレゼントしてご満悦である(写真4)。

 それにしても、シュヴァンクマエルの飾らない人柄には本当に脱帽だ。相手が誰であれ、彼は常に誠意ある応対をしてくれる。音楽家でも、映画作家でも、本当の大物は決して威張ったり、虚勢を張ったりしないものだということを、また改めて実感した。

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映画「ルナシー」×手塚眞さん(2006年11月22日)


ゲストブロガー/高橋 慎一(たかはし・しんいち)さん
東京工芸大学短期大学部 写真応用学科卒。98年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。現在、雑誌・書籍・CDジャケットなどで活躍中。また、ライターとして音楽関係、海外紀行、ドキュメント記事等を雑誌や書籍で精力的に執筆。著書『キューバ・トリップ ハバナ・ジャム・セッションへの招待』(産業編集センター・刊)

高橋 慎一 公式サイト

インタビュー記事(2006年6月2日)

高橋慎一(フォトグラファー)

98年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。現在、雑誌・書籍・CDジャケットなどで活躍中。また、ライターとして音楽関係、海外紀行、ドキュメント記事等を雑誌や書籍で精力的に執筆。

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