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ヴィヴィアンの私的映画レビュー
「アズールとアスマール」

ビョークの新作ヴィデオクリップを手がけているミシェル・オスロの新作アニメーション『アズールとアスマール』が渋谷シネマアンジェリカにて公開中よ。先日私もジブリの中島館長とトークショウに出演してきましたわ。オスロ監督は『キリクと魔女』や『プリンス&プリンセス』など、独自の映像美と音楽で評価が高いわね。

乳母に育てられたアズール(ヨーロッパ圏/フランス)とアスマール(イスラム圏/マグレブ)。二人はあたかも本物の兄弟の様に生まれたときから育てられるけれど、成人する前に父親によって引き裂かれてしまうの。アスマールは母親(アズールにとっての乳母)とともにフランスからも追われてしまう。お互い大人になり、アズールは乳母から幼いときから聞かされていたジンの妖精を救い出す旅に出る。そこでまた二人は再会し。。。
フランス/ヨーロッパ圏とマグレブ/イスラム圏、父親の世代の古い考えと若い新しい世代の考え、、、物語は対立するものが幾つも出現し、少年たちの成長と相互理解が描かれているわ。。。


通常の日本の冒険もので描かれるような見せ場はあっさりと描かれ、人物の表情の変化などエモーショナルな変化を実にうまく描き出しているの。オスロ監督の今回の試みは人物の表情のみ3DCGアニメーションを使用して、また背景は平面的でイスラムのモザイク画をそのまま張っている様。そういう手法がとてもユニークで類を見ないわね。画面はめまいを起こすほど美しく幻想的。 


オスロ監督のこのオリジナルの物語はとても現代性に溢れていて、テーマは「イスラム世界とヨーロッパ世界の不理解と理解」という全く今日的なの。でも何がファンタジーかといえばその美しい画面はもちろんだけれども、人間の心が変わること。心のなかに化学変化が起きて、異文化を理解することこそがファンタジーで素晴らしい の奇跡である事が理解できるわ。 

本当に面白い映画よ。面白くなかっ たらお金返しますわ!!!



映画「アズールとアスマール」の作品情報

ヴィヴィアン佐藤とジブリ中島館長とのトークショウ(コンパスTV)

■ビョークの最新ヴィデオクリップ『アース・イントルーダーズ』(youtube)


ゲストブロガー/ヴィヴィアン佐藤さん
金沢工業大学建築学科大学院卒業後、磯崎新氏のアトリエを経て、アーティストとしての活動を開始。華やかな衣装やカツラをまとってクラブやパーティに出没するかたわら、舞台美術やイラスト、エッセイ、映画批評、またカツラや服飾、インテリアのデザインなど、領域を横断して活躍する。

ヴィヴィアン佐藤 公式サイト

インタビュー記事(2006年11月10日)

ヴィヴィアン佐藤(非建築家)

非建築家、アーティスト、ドラァククイーン、イラストレーター、文筆家、パーティイスト、、、と様々な顔を持つ。独自の哲学と美意識で東京を乗りこなす。その分裂的・断片的言動は東京では整合性を獲得している。。。なんちゃって。

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