渋谷ジャズセッション Vol.1
「世界のソネーロ、オスカル・デ・レオン」
いやはや、ラテン男の迫力はやはり凄い。
8月9日、新木場スタジオ・コーストで、“世界のソネーロ”オスカル・デ・レオンのコンサートが行われた。“ソネーロ”とは、キューバのいぶし銀の音楽“ソン”を歌う歌い手のことだ。映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で、渋い喉を聞かせたジイ様たちがいたでしょう?あれです。
ところがオスカルはキューバ人ではなくベネズエラ人。幼い頃からキューバ音楽に入れ込んでいた彼は、キューバ人以上にキューバのサボール(味わい)を感じさせるソンを歌う大歌手となった訳です。
オスカルは広くラテン音楽全般の中でも超大物の人気シンガー。渋谷の外資系CDショップのサルサ・コーナーに行けば、過去作をズラリと揃えることも出来るでハズだ。
細かい理屈はここまでにしましょう!当時のコンサートは、ソンとサルサとポンチャック・ディスコの区別が付かないウチの曾バアさんが見ても、思わず腰をグリグリ揺さぶりはじめるほど、躍らにゃ損・損、って具合に楽しめるものだったのだから。まずは熱唱するオスカルの写真(01)、どうですか、この男っぷり。むせ返るような男のエキスがむんむんと伝わってきますよね。これで御歳63歳。
次の写真(02)が、観客のお姐さまたちにもみくちゃにされるオスカル。ちなみに、姐さんたちが暴れてるスペース、僕が写真を撮るためのカメラマン・ブースなんですが……
コンサートのラスト、美人ダンサーを従えてのステージ。オスカルがなにやら手に持って作業しているのが分りますか?これ、客席から投げ込まれたサイン帳にサインしてるんですよ。どうですか、このサービス精神。オスカルはタクシーの運ちゃんから歌手を目指し、30歳過ぎて人気シンガーになった、僕らのワーキングクラス・ヒーローなのだ。だから一般のファンを人一倍大切にする。
ファンを愛する心+男気120%のステージングが、蒸し暑い東京の夏を、更に熱く燃えさせたのでした。
ゲストブロガー/高橋 慎一(たかはし・しんいち)さん |
高橋慎一(フォトグラファー)
98年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。現在、雑誌・書籍・CDジャケットなどで活躍中。また、ライターとして音楽関係、海外紀行、ドキュメント記事等を雑誌や書籍で精力的に執筆。