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未来型書店HMV&BOOKS TOKYO その2.〜店長インタビュー

加藤智晴さん(HMV&BOOKS TOKYO統括店長)
1999年にHMV JAPAN(HMV数寄屋橋)入社。HMV新宿SOUTH、HMV池袋サンシャイン60通りを経て、2006年にHMV渋谷店に3年間配属。その後、HMVららぽーと豊洲、HMV横浜VIVREを経て、HMV ONLINEに配属。2011年にONLINE SHOPのエルパカBOOKSを立ち上げ、今回、2015年11月19日オープンのHMV&BOOKS TOKYOの統括店長となる。

2015年11月、渋谷に「HMV&BOOKS TOKYO」がオープン。書籍を中心に、音楽、映像、雑貨、イベントなどを展開する複合ショップである。今回は、HMVの新業態である「HMV&BOOKS TOKYO」の第一号店である当店の統括店長・加藤智晴さんに、ショップの魅力についてじっくりとお話を聞いた。

■「ライブ感」を大切にして、毎日足を運んでもらえる場所に。

_渋谷にHMVが帰ってきて、狂喜乱舞しているファンもいると思うのですが、今回新業態で出店するにあたって、第一号店を渋谷にオープンしたのには、何か理由があるのでしょうか?
ご存知の通り、HMVは2010年に閉店するまで20年間にわたり、渋谷の地で営業を続けてきました。今回、「HMV&BOOKS TOKYO」という新業態のショップを出店するに当たって、渋谷はもちろん、都内の主要地域をはじめ、全国の主要都市で検討しておりましたが、文化の発信地である渋谷にオープンしたいという気持ちが強く、渋谷の地で第一号店がオープンできたのは、本当に嬉しく思っています。私自身もHMV渋谷が閉店するまでの3年間、そちらのショップにおりましたし、感慨深いものがありますね。

_今後、この新業態は日本全国に展開していく予定なのですか?
はい。2018年までに日本全国、主要都市を中心に10店舗の展開を目標にしています。

_渋谷には、宇田川町にアナログレコード・CDの中古専門店「HMV record shop渋谷」もあり、HMVさんと言うと、どうしても「音楽」のイメージが強いのですが、あえて今回、「BOOKS」を中心に据えたショップをオープンしたわけは?

本を主軸に据えた理由は、本という商材がすべてのものにつながる中核を成すものであると考えたからです。本をきっかけにCD、DVD、雑貨、ローソンチケットなどの商材に繋げていく、別の言い方をすると、お客さまに情報発信をしていくにあたり、すべてのタグラインが本になると考え、この新業態が生まれました。お店のコンセプトとしては「LIVE BOOK STORE、LIVE MUSIC STORE、LIVE MOVIE STORE」を掲げており、ここで言うところの「LIVE」とは、まず、毎日何らかのイベントを開催していくということです。5Fのエントランスでは「A Day in the Life」というコーナーを展開しています。ここでは、日々展開を変える商品棚を設けており、毎日足を運んでくれたお客様が常に新鮮な気持ちで楽しむことができる売り場となっています。常に動きのある、つまり、「ライブ感」というのも大切にしています。

_今回、お店づくりをするにあたって、「B&B」の内沼晋太郎さんのアドバイスを受けたと聞きましたが、内沼さんにご依頼した理由は?(※「B&B(Beer&Book)」は、本を読みながらビールが飲める東京・下北沢のブックカフェ)

内沼さんは、渋谷モディさんの5〜7Fのフロア全体のコーディネーターとしてご尽力いただき、他テナントとのフロア構成について、渋谷モディさん、内沼さん、そして、HMV&BOOKS TOKYOのスタッフの三位一体で検討し、HMV&BOOKSのコンセプトを体現できる環境づくりを行いました。HMV&BOOKS店舗の構成や商品セレクトなどはHMV&BOOKSスタッフが主導になり協議を重ねましたが、内沼さんには、コーナーやゾーンの考え方において、お知恵やアドバイスを頂きました。

_渋谷モディさんからは具体的にどのような点でご協力いただいたのですか?
「HMV&BOOKS TOKYO」の店舗を見ていただくと分かる通り、店内にいくつかのテナントが入っています。たとえば、生命保険の「保険テラス」さんですとか、カフェスタンド「あかりまど」さんですとか。そして、「保険テラス」さんの隣には「家」コーナーが、「あかりまど」さんの隣には「日本の旅と文学」コーナーを設置しており、フロア全体がコンセプト/コーナーを元にテナントミックスされたつくりとなっています。全国的にもなかなかない形態だと思うのですが、これは渋谷モディさんのご協力によるところが大きく、大変感謝しています。

_では、これから全国に展開する10店舗は、「HMV&BOOKS TOKYO」と同じフロア構成になるとは限らないということですか?
そうですね。HMV&BOOKS TOKYOの状況も鑑みながら、フロア構成などは店舗によって変わってくるのではないかと思います。

■作家など著名人と出会える場所を提供できるのが、我々の強み。

_渋谷にある店舗として、セレクションという点で渋谷を意識している部分があると思うのですが、その点について教えてください。
渋谷モディを見ていただくと分かると思うのですが、1Fから4Fまでは、アパレルやアクセサリーといったショップが連ねており、その中でも、女性向けのお店が中心となっています。そのため、当店も意識的に女性向けの陳列を行っています。たとえば、「男と女」のコーナーは恋愛を中心に、女性のたしなみですとか、ファッション関係といった女性が好まれる内容の商材を配置するようにしています。また女性の中でも、渋谷はファミリーよりも、どちらかというと働く女性や独身の女性が多いのではないかと考えており、その点を意識してファッション雑誌やギフト本などに比重を置き、品揃えをするようにしています。

_「外国人の方が訪れる観光地としての渋谷」という観点で、お店づくりを工夫している点もあるとか。
5Fに日本文化を紹介する「Books on Japan」という、かなりボリューム的にも充実した洋書のコーナーがありますが、こちらはまさにインバウンド需要を意識して作っています。コーナーの隣に英会話の「and Gaba.」さんがテナントとして入っていらっしゃるのですが、「and Gaba.」さんとも協議を重ね、当初、区切られていた店舗間の仕切りをなくし、「and Gaba.」さんの店舗の中にも本棚を置かせていただいて同一の環境づくりをさせていただきました。またインバウンド対応というところで、店舗のタブレットも英語対応にしたり、コーナー名や棚名、仕切り板もすべて日本語、英語、中国語で表示するようにしています。特に中国を中心とするアジア圏のお客様が足を運んでくださり、実際に免税販売の売上も高いですね。

_「ポップカルチャーの発信地」としての渋谷という点でも、セレクションを意識されていますか?
もちろんです! 7Fに「ポップカルチャー」というコーナーを作っており、コミック・ライトノベル・アニメなど、日本が世界に誇る「ポップカルチャー」をメディアミックスした形で展開しています。ここでは「渋谷系」の特集も行っています。

_先ほど、イベントを毎日開催しているとおっしゃっていましたが、そういった点でも、「HMV&BOOKS TOKYO」から文化を発信するという気概みたいなものを感じとることができるのですが。
多くの人が集まり、ここから何か新しい文化が生まれる、そんな場所でありたいと思っています。いまのところ、オープン時から一日もイベントが切れていないので、この調子で、まずは一年間、店休日以外は毎日イベントを開催していくというのを目標にしています。

_それがネットではなく、リアルな店舗の強みでもありますよね。
そうです。お客様と作家やアーティスト、タレントなど著名人の方が対面で出会える場所を提供できるというのは、我々の強みであると感じています。ここに来れば、常に何かしら面白いイベントをやっていて、新たな出会いや発見がある。7Fには、ライブを行うステージもありますし、InterFM897の生放送や公開収録ができるサテライトスタジオ「FM897 SHIBUYA STUDIO」も併設しており、店舗でのイベントとの連携も図っています。サテライトスタジオの周辺もおもしろい売り場づくりとなっていると自負していますので、ぜひ、見ていただきたいですね。
「Books on Japan」コーナーの隣に英会話スクールのテナントが併設されるなど、「本」を主軸としたテナントミックスがフロア構成の大きな特徴。

HMV&BOOKS TOKYO
〇営業時間:11:00〜23:00/不定休
〇住所:渋谷区神南1-21-3 渋谷モディ 5F・6F・7F
〇Tel : 03-5784-3270
〇公式:http://books.hmv.co.jp/

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未来型書店HMV&BOOKS TOKYO その1.〜新しい出合い・発見ができる、複合エンタメショップの誕生!(2015/12/23)
http://www.shibuyabunka.com/blog.php?id=743

田賀井リエ(代官山ひまわり)

代官山を拠点に活動するNPO法人「代官山ひまわり」。所属するママさんライターが渋谷情報をお届けします。

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