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終戦記念日に語られる映画

終戦記念日の本日15日、ユーロスペースで公開中の映画『陸に上がった軍艦』に関連して、劇中で自らの戦争体験を語った新藤兼人監督のトークショーが行われたようです。「祖父と孫の世代が語り合う戦争映画 〜今、映画に何ができるのか?〜」と題して、95歳の新藤監督とお孫さんが戦争について語るというイベントです。僕はその場にいたわけではなく、映画自体も未見なのですが、お孫さんに戦争の悲惨さを真剣に伝えるおじいちゃんの様子が思い浮かんできます。


前回の「SHIBUYA BUNKA LIVE」の特集でも紹介したように、毎年この時期、第二次大戦をテーマにした映画が相次いで公開されています。最近の傾向としては、クリント・イーストウッド監督が日米双方の視点から描いた『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』などのように、どちらか一方が悪であるという描き方を極力避け、戦争そのものやその渦中にある人間の生活の在り方について、できる限り正確に知らしめるという作品が多く作られているような気がします。


『陸に上がった軍艦』は、公式サイトの予告編を見る限り、戦争の悲惨さというよりも、戦争下にある軍隊の不条理と滑稽さを主に描いているように見えます。しかし、その根底にあるのはやはり戦争の恐ろしさと哀しみでしょう。和洋を問わず昔から戦争を扱った映画は数多く、今でも映像や資料などで当時の様子を詳細に知ることはできますが、当事者の口から直接「戦争体験」を聞く機会はだんだん減って来つつあります。その中にあって、こうして体験者が思いの丈を語るスタイルの映画が作られることは、本当に貴重なことだと思います。毎年この日には、テレビから首相の靖国参拝のニュースや甲子園での黙祷シーンが繰り返されていますが、その元になった「戦争」の一つの側面については、これらの映画がじっくりと教えてくれることでしょう。


(映画『陸に上がった軍艦』より)

編集部・M

1977年東京の下町生まれ。現代アートとフィッシュマンズと松本人志と綱島温泉に目がないです。

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