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【レポート】日本の魅力を海外へ発信!! MORE THAN PROJECT

<イベント概要>
MORE THAN PROJECT「マッチングフェス-Japan Brand Expansion」
〇開催:2015年9月25日(金)15:00〜18:00
〇会場:渋谷ヒカリエ8階「8/」COURT
〇主催:株式会社ロフトワーク
〇協力:経済産業省
〇シティパートナー:東京急行電鉄株式会社
〇公式:http://morethanprj.com/

商材やサービスを海外へ届けたい中小企業の活動を支援する「MORE THAN PROJECT」のマッチングフェスは25日、渋谷ヒカリエで開かれた。日本と海外のビジネスをつなげるプロデューサーや企業関係者らが、「Made in Japan」の魅力や日本ブランドにおける海外進出の役割を見つめ直した。

同プロジェクトは、世界を狙う中小企業と商品開発・流通販売のプロフェッショナルにタッグを組ませることで、新たな日本の魅力の世界発信を支援するもの。今年度は「柿渋石鹸」や「苔玉」など13プロジェクトが採択され、経済産業省「 JAPANブランドプロデュース支援事業」の補助金が交付されている。マッチングフェスでは、昨年度のプロジェクトリーダーらが、「貿易の障壁とその突破口」「Local to Globalのアプローチ」「MORE THAN プロジェクト、その役割」と題したトークセッションを展開し、日本のモノやサービスを世界に発信するポイントなどを助言した。

セッション1では「貿易の障壁とその突破口」をテーマに、昨年度の参加者が体験談を語り、ロフトワークの林千晶代表がモデレーター、経済産業省クリエイティブ産業課の福永茂和総括補佐がアドバイザーを務めた。

◎ナマモノや賞味期限など、「手毬寿司」の輸入に課題を抱えた!
フードクリエイティブエージェンシー「EAT TOKYO(イートトーキョー)」の引地海さんは、三嶋フーズ(大阪)と冷凍手毬寿司の海外展開を進めた。手毬寿司は芸者のおちょぼ口でも食べられるように一口サイズで作られている。そのストーリーから「Japanese traditional party finger food」として広めようとプロデュースし、さらに海外の美容関係者やセレブが好む植物性のみを使ったビーガンの手毬寿司で勝負したそうだ。

結果、引地さんは「突破口はなかった」と語り、食品における貿易の障壁の高さを認識させられる。食品はナマモノや賞味期限などの物流の課題や、そもそも米や肉は輸出できないなど、簡単には解決できない問題が山積みだった。当初はアメリカで広めようと考えたが思うように進まず、そこでパーティなどのケータリングが盛んであり、貿易障壁も低いシンガポールに切り替えて、なんとか輸出に漕ぎ着ける。とはいえ、それでも物流コストなどの課題から、継続的な展開が難しいという結論に至ったという。「真正面からいっちゃダメということがよく分かった」と振り返った。

◎植物検疫の失敗から、苔玉の輸入から現地生産へ方向転換
Moretrees(モア・トゥリーズ)の水谷伸吉さんは、木質ペレット推進協議会(新潟)と花の苔玉をプロデュース。去年はフランス、今年はニューヨークへと販路を広げようとしている。まず、海外での懸念事項は模倣品が出回らないようにすること。最初に進めたのがその対策で、「苔玉だと商標が取れず、意匠的にもパクられやすい。そこで、ネーミングから差別化を図ろうと、『masumoss(マスモス)』の名前で枡に入れた苔玉を作り上げた」と説明した。

特に大変だったのは「(輸出の際に)土を落として根っこを消毒した状態でないと送れない。現地に到着して、すぐに水をやっても1割くらいがダメになった」と植物検疫を挙げる。今回は空輸を利用したが、船便だと時間が掛かりすぎ、全部枯れてしまうだろうと振り返り、輸送コストや検査手続きの煩雑さに苦労しているという。

また現地フランスの大きな花卉市場に行くと、容易に盆栽を見つけることが出来るそうだ。そう考えると、苔玉もすぐに模倣される可能性を考え、「ディストリビュータ(販売代理店)を探し現地生産することにした。日本から枡のみを空輸し、現地で苔玉を作ってセットすることで、なんとか流通を果たした」と輸出からの方向転換を明かす。ただ葛藤もあり、「これはメイド・イン・ジャパンと言えるのか、もやもやは気持ちもある。一方、パリで評価されれば、日本での評価につながる」とブーメラン効果に期待を寄せた。植物防疫の壁は今でも課題で、ニューヨークへの輸出でも障壁になっている。現在は苔を植物でなく、材料の一つとして輸出しようと考えており、前例がないが試していくつもりだという。

福永総括補佐は国ごとに「様々な貿易の障壁がある」とし、「材料を現地調達したり、制度をうまく迂回しながら、様々なやり方を考えてチャレンジすると良い」などとアドバイスを送った。

国内でも商品展開していくのは難しいことが多い。それを海外でやるとなったら、 「トライ&エラー」を繰り返しながらも柔軟に対応し、その中から成功の鍵を見つけていくしかなさそうだ。

その後のセッションでも、登壇者は「このプロジェクトでは、販路の拡大のほか、あらためて日本の価値を再発見できる」「現地とのビジネスで重要なのは、その商品・サービス以上に、本人のパッションやビジョン、コミュニケーション能力だ」など、経験談から世界に発信するためのポイントを話した。

2020年の東京オリンピックも控え、訪日外国人はうなぎのぼりの状況。海外には日本文化に傾倒する、日本人以上に日本を知る外国人も少なくない。こういったプロジェクトを通じ、「日本人がなぜ日本人らしくあるのか」などと日本の魅力を再認識し、世界に伝えていくことが大事なのではないだろうか。

13事業者の商材展示とプロジェクトの報告会は、来年1月12〜18日に渋谷ヒカリエで開催が予定されている。

重野マコト

社会部記者として新聞社に入社後、イベントプランナー、コンテンツディレクター、飲食店経営を経て、現在はフリーライター。インタビューやイベントレポートなどの現場取材をメインに活動する。

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