渋谷文化プロジェクト

渋谷をもっと楽しく!働く人、学ぶ人、遊ぶ人のための情報サイト

大海原や秘境など、ハーバードの人類学者が映す「独創的な映像世界」

人類学者がフィールドワークや独自の視点を切り口にメガホンを取る「ハーバード大学感覚民族誌学ラボ」による特集上映会「ハント・ザ・ワールド」が6月13日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムで開催される。

ハーバード大学感覚民族誌学ラボとは、美学と民族誌学とのコラボレーションを推し進める実験的なラボラトリー。アナログとデジタルメディアを組み合わせた研究プロジェクトの成果として、映画・ヴィデオアート、音響、写真、インスタレーション作品を発表。日本では2014年8月に、北米の底引き網漁を圧倒的な映像美と音響で描いた「リヴァイアサン」が公開され、注目を集めた。

今回は、同ラボが手がける映像作品4点を公開する。再上映となる「リヴァイアサン」は、数週間に及ぶ危険で過酷な漁を続けるトロール船が舞台。人類学者のヴェレナ・パラヴェルとラボでディレクターを務めるルーシァン・キャステーヌ=テイラーの共同監督で、撮影は11台の防水機能付き小型カメラ「GoPro」を死んだ魚、ロープなどに取り付けて行ったという。
映画「リヴァイアサン」©Arrete Ton Cinema 2012

スクリーンには巻き上げられる鉄の鎖、床を掃除する漁師の足元、漆黒の海に投げ出される雑魚、煙草の煙など、無意志的に記録された映像の数々が大写しで次々と投映。「主観」を失った視点からの映像体験を通して、トロール船がまるで巨大な怪物であるかのような、人々が野蛮な獣であるかのような感覚に陥る異色作となっている。
映画「モンタナ 最後のカウボーイ」©Ilisa Barbash and Lucien Castaing-Taylor

このほか、羊の群れを連れたカウボーイたちがモンタナ州ベアトゥース山脈を縦走する冒険譚「モンタナ 最後のカウボーイ」、自動車部品のジャンクヤードで生きる人々を追った「ニューヨーク ジャンクヤード」、ヒマラヤを臨むヒンドゥー今日の聖地マナカマナ寺院までの道のりを追う「マナカマナ 雲上の巡礼」の3作が、日本で初めて公開される。

「人類学では主に文字を通して人間体験を伝えるが、言葉だけでは伝えられないものもたくさんある」とルーシァン監督。ラボではそういった体験を「映像と音響を使って表現し、伝達していく路を選んだ」という。世界の新しい見方を模索する人類学者たちのフィールドワークから生まれた新感覚の映像群…。上映会を通して、自分の足で旅をするのとも一味違った不思議な世界旅行を体験してみては?

「ハント・ザ・ワールド/ ハーバード大学 感覚民族誌学ラボ 傑作選」
〇期間:2015年6月13日〜7月17日
〇時間:13:30/16:15/19:00
 ※上映作品は日によって異なります。詳細は劇場公式サイトまで
〇劇場:シアター・イメージフォーラム
〇公式:http://www.hunt-the-world.com/
〇作品:
*「モンタナ 最後のカウボーイ」(2009年/米/101分)
 監督:イリーサ・バーバッシュ、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー
 ©Ilisa Barbash and Lucien Castaing-Taylor
*「ニューヨーク ジャンクヤード」(2010年/米、仏/80分)
 監督:ヴェレナ・パラヴェル、J.P.シニァデツキ
 ©Verena Paravel and J.P. Sniadecki
*「リヴァイアサン」(2012年/米、仏、英/87分)
 監督:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー
 ©Arrete Ton Cinema 2012
*「マナカマナ 雲上の巡礼」(2013年/ネパール、米/118分)
 監督:ステファニー・スプレイ、パチョ・ヴェレズ
 ©Stephanie Spray and Pacho Velez

編集部・横田

1980年生まれ、神奈川県在住。大学進学を期に上京して以来渋谷はカルチャーの聖地です。現在は渋谷文化プロジェクト編集部に所属しながら、介護士として働くニ足のわらじ生活です。

オススメ記事