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★『毛皮のヴィーナス』コメント寄せました★

本日よりロマン・ポランスキー監督新作『毛皮のヴィーナス』が渋谷Bunkamura ル・シネマをはじめ全国徐々に公開です!

■コメント
「ファウスト」や「ティツィアーノ」など甘美にして毒のある宝石が随所に散りばめられているわ。極上の食材と極上のバターとオリーブオイル、そして秘密の ハーブを効かしたポランスキーシェフよるLe théâtre de la cuisine psychologique テアトル・デ・ラ・キュジ−ヌ・プシコロジーク(心理的料理の劇場) を召し上がれ!
ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)

http://kegawa-venus.com/comment.html
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カメレオン俳優として当代一のマチュー・アマルリックとポランスキーの公私共々のパートナーのエマニュエル・セリエ。最初から最後までたった二人しか出演しないある意味禁欲的な作品。ザッヘル=マゾッホの自伝的小説に着想を得て書かれた戯曲。

現実/虚構、テキスト/アクト、演出家(監督)/役者、征服/服従、/残酷、男性/女性と重層的に交錯する。。。しかし、それらは演劇vs映画というポランスキーの演劇界への挑戦のようでもある。
オスマンによるパースペクティブが効いた男性的機能的な空間から、天井がガラス張りのパサージュのような古い劇場はあたかも女性的であり子宮的。非機能的な空間。その対比も素晴らしい。。。

ちなみにコメント案5種。採用されたのは5番目に近いものでした。
★1:
「S」はサービスのS、「M」は満足のMといわれるわ。本当の実権を握っているのわ「M」の方。「M」は自分の思い通りにいかないと、最終的には逆上してしまうもの。この映画はいかに「ごっこ遊び」が出来る大人かどうか、私たちが試されるリトマス試験紙ね。

★2: 冒頭と最後のパースペクティヴな視線は、オスマンによるパリ改造計画をなぞる合理的で構築的な男性原理の世界。 一方、劇場は天井がガラス張りで、パサージュのように混沌的で不規則で非構築的な子宮的な空間。 この子宮のなかでだけでひっそりと展開される大人のお伽話は、パリという街だからこそ生まれるのかもしれないわね。

★3a:
嵐の日に突然現われたワンダとは果たして実在していたのかしら? トマによる妄想かしら?いやトマを含めてすべてがポランスキーの妄想で、いやポランスキーによるマゾッホの映画というのが私たちの妄想かもしれず。。。 そんなデジャビュのような素敵な理想の幽霊と出逢う体験を。

★3b:
嵐の日に突然現われたワンダとは果たして実在していたのかしら? トマの妄想による幽霊=ファントムかしら? いや映画という媒体自体が幽霊ショウ=ファンタスマゴリーともいるのかもしれないわ。

★4:
英国劇作家ハロルド・ピンターばりの見事な不条理的台詞の言い回しと不必要なカメラワークの完全排除! ついにポランスキーは英国の劇作家に、そして世界の演劇界に挑戦状を叩き付けたわ!!!

★5:
「ファウスト」や「ティツィアーノ」などヨーロッパの甘美な毒のある宝石の名前が随所に散りばめられているわ。極上の素材と極上バターとオリーブオイル、そして秘密のハーブを効かしたポランスキーシェフによるキュージーヌを召し上がれ!

ヴィヴィアン佐藤(非建築家)

非建築家、アーティスト、ドラァククイーン、イラストレーター、文筆家、パーティイスト、、、と様々な顔を持つ。独自の哲学と美意識で東京を乗りこなす。その分裂的・断片的言動は東京では整合性を獲得している。。。なんちゃって。

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