参加型ギャラリー展「カタガキプロジェクト」
自分を見つめ直すキッカケづくり
新しい働き方を考えるイベント「TOKYO WORK DESIGN WEEK 2013」の関連企画として、参加型ギャラリー展「カタガキプロジェクト」が11月20日〜25日まで、渋谷ヒカリエ8Fのギャラリースペースで開催されている。
同企画は「自分らしいオリジナルの肩書きを、自分の肩に書いて残す」という参加型のアートプロジェクト。仕事が多様化し、一人が二役三役をこなすのが当たり前の時代の中で、名刺の記載された「仕事の肩書き」は、その人を説明するには不十分になりつつある。「自分らしい働き方ってどんなだろう?」「自分にはどんな肩書きがふさわしいのだろう?」−− 一度たち止まり、自分が社会の中で会社の中で、どんな役割を担っているのかを深く考え、自分らしい「オリジナルの肩書き」を創出する。その過程を通して、自分が何者であるのかを改めて認識しようというユニークな試みだ。
壁一面に張られた「肩書き写真」はすでに200枚を超える。たとえば、「架け橋」「ボードゲームナビゲーター」「ハレの日を飾る」「テクノロジーピカソ」「クリエイティブ型学級委員」「美ホットライン」「ヴィレッジ・バン・ガール」「背中押し子」など、従来の肩書きとは違うオリジナリティーに溢れる名コピーが並ぶ。現在までの参加者は15歳から75歳まで、国籍も様々。特に外国人はタトゥーのような感覚で、積極的に参加してくれるそうだ。
オリジナルの肩書き作りのステップは、
1.まず、参加者はギャラリー内にいるスタッフと向かい合い、まるでインタビューように自分がどんな仕事をして、どんな人間であるのかを話す。
2.スタッフはあくまでもきっかけ作り役で、最終的なカタガキは参加者自らが考える。 カタガキが出てくるまで、一人、平均15〜20分間ほどかかるそうだ。中には1時間以上考え込んでしまった人もいたという。スタッフとともに参加者が一緒に考える過程が同プロジェクトの重要なポイント。参加者が気づかぬ自分のことを、言葉として具現化していく作業を通して見えてくるものがあるのだ。
3.考えたカタガキを肩にマジックで書く(「カタガキをカタに書く」というダジャレ)。そのカタガキを自分の体に刻むことで、なんだかカタガキが自分に身につくような不思議な感覚を得る。
4.スマートフォンで撮影。その場でプリントアウトし、ギャラリーに一つ一つ張り出されていく。
同プロジェクトの担当者は「90年代、高城剛さんがハイパーメディアクリエイターと言い出したときは、誰もが『クスッ』と笑ったが、言い切ってしまえば、いつの間にかそれが定着していく」という。自分が何をやりたいのかまだ判らない学生さんや、いま仕事をしているものの、今の仕事に満足できていない人は、自分ならではのカタガキを考えてみると意外な発見やヒントが得られそうだ。
個人ひとり一人のカタガキが壁一面に集積され、全体を俯瞰することで、 そこに「今の東京」「今の日本」の若者たちの働き方や生き方のようなものが、なんとなく見えてくる。
編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。