★『父をめぐる旅』
ヴィヴィアン佐藤コメント★
映画『父をめぐる旅』。いよいよ1/5satより恵比寿の東京都写真美術館ホールにて上映開始されました。
1/4fri、東京新聞に私のコメントが掲載されました。
--芥川龍之介の短編『絵仏師良秀』を思い出した。絵師には善悪の彼岸の未分化を凝視する幻視の目が備わっているものである。
中村正義もまた同じ幻視の目を持っていた。
--ヴィヴィアン佐藤(美術家)
芥川龍之介の『地獄変 絵仏師良秀』は中学か高校の国語の教科書に載っていた小説で、もともとは「宇治拾遺物語」が原典。
以下がコメント全文。。。
芥川の短編『絵仏師良秀』を思い出した。恥知らずで高慢な性格な良秀は大殿から地獄変の屏風絵の依頼を受けるが、実際見たものしか描けないと言い放つ。ある日、呼び出された良秀は、車のなかの豪華な衣装に包み炎に巻かれる実の娘を見せつけられる。驚きや悲 しみも見せずじっと凝視して良秀は見事な屏風絵を完成させ、自殺。絵師には善悪の未分化を凝視する幻視の目が備わっているものである。中村正義もまた同じ 幻視の目を持っていた。 ヴィヴィアン佐藤(美術家)
60-70年代、たったひとりで、権威主義の日本画壇に反旗を翻し、既成概念を遥かに超越した作風の作品を次々と生み出した孤高の奇才・中村正義。22歳で日展に初入選し、速水御舟の再来とまで謳われ、36歳という若さで日展審査員に推挙される。しかしその古い体質に馴染めず脱退。その後、蛍光塗料を使用したり、まるでポップアートの様な多様多彩な作品を生み出していく。。。しかし、様々な圧力や妨害を受けながらも決して信念を曲げず、病や死と向き合いながら52歳の壮絶な生涯を終える。。。「中村正義美術館」館長の正義の娘・倫子さんが自分の知らない父・正義の姿を求め旅するドキュメンタリーです。『楢山節孝』の監督補であり、『復讐するは我にあり』をプロデュースした武重邦夫と近藤政典による作品。
天才画家はその時代に何を見つめていたのか。。。父が疾走していった熾烈な時間と空間を、娘が穏やかにその足跡をゆっくりと紐解いていくドキュメンタリー。素晴らしい作品です。。朝倉摂(舞台美術家)、岡本太郎(画家)、小林正樹(映画監督)、黒柳赫(日本画家)など出演。
http://www.cinemanest.com/masayoshi/home.html
https://www.youtube.com/watch?v=w8tNwOiuuQ4
ヴィヴィアン佐藤(非建築家)
非建築家、アーティスト、ドラァククイーン、イラストレーター、文筆家、パーティイスト、、、と様々な顔を持つ。独自の哲学と美意識で東京を乗りこなす。その分裂的・断片的言動は東京では整合性を獲得している。。。なんちゃって。