渋谷が最も輝いていた時代
「1964年の渋谷」をジオラマで再現!
4月29日から5月4日までのGW期間中、東急百貨店東横店(渋谷区)で「鉄道フェスティバル2011 in Shibuya」が開催されている。音楽界屈指の鉄道ファンである向谷実さんをイベントプロデューサーに迎えた同企画は、鉄道ファンにはたまらないお宝グッズ・資料の展示や、運転シュミレータなどが体験できる趣向が様々凝らされている。
中でも注目すべきは、1964(昭和39)年の渋谷東エリアを忠実に再現したジオラマだ。東京都武蔵野市に住む富沢さんご夫妻が、渋谷が最も輝いていた時代を懐かしみ、5年の歳月をかけて手作りをした150分の1のサイズの大作。
戦後復興の象徴であった「東京オリンピック」の開催。それに伴い、代々木体育館、NHK放送センターなど主要施設の建設ラッシュ。さらに国道246号線の大幅な拡張工事、渋谷川の暗渠(あんきょ)化、トイレの水洗化などさまざまなインフラストラクチャー(社会基盤)の整備が急ピッチで進み、「渋谷の街」の姿が一変。特に東口エリアは、1956(昭和31)年に開業した「渋谷東急文化会館」をはじめ、ループ式の「都電ターミナル」、東急百貨店東横店西館3階から飛び出す「銀座線」、かまぼこ型屋根の「東横線高架式ホーム」、六本木通りの上を走る「首都高速」など未来・先進都市をイメージさせる建造物が次々に登場。高度経済成長で勢いづく、当時の「日本の元気」のすべてがそこに集約されていたといっても過言ではないかもしれない。
東急文化会館を中心に銀座線、都電、バス、自動車、そして人々が行き交うジオラマの世界に思いを馳せてみれば、たとえ当時を知らない世代であっても、人々の夢と希望に満ちあふれ、「渋谷の街」が最も躍動していた時代であったことがイメージできるだろう。
今ではほとんど見られなくなった手描き映画看板も懐かしい。当時、パンテオンでは「史上最大の作戦」、渋谷東急では「大脱走」の上映が行われていたらしい。また屋外広告では「リッカーミシン」「フジカ35」という文字が躍り、かつて文化会館の隣にあった老舗のケーキ店「渋谷フランセ」も健在。また右上は東急百貨店東横店にあった屋上遊園地。親子連れの姿も目立つ。
さらにドーム状の「五島プラネタリウム」をジオラマ裏から見ると、なんとプラネタリウムの室内まで精巧に作られている。富沢ご夫妻の芸の細かさや、思いの強さにはとにかく驚かされる。鉄道ファンならずとも、十分楽しめる。
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編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。