この世の地獄か?それともパラダイスか?
破壊ラウンジ@ナンズカアンダーグラウンド渋谷
この世の地獄か?それともパラダイスか?
「路上パソコン族」と呼び称されるストリートコンピューティングや、ネットサーフィンに励むギーク、ネットジャンキーたちの活動に焦点を当てたアートイベント「破壊ラウンジ」が現在、渋谷ナンズカアンダーグランドで開催されている。
同イベントは、村上隆さんがツイッターで「今、ナンズカアンダーグラウンドで行われている、『破滅ラウンジ』はここ10年、日本のギャラリーで行われた展覧会の中で、最高のモノです。絶対に見るべし!見ない人は今後10年、日本のARTを語る資格無し!キッパリ!)」(@ takashipom)とつぶやいたことで大きな注目を集めている。
ディスプレーやパソコンを積み上げた塔を会場中央に設置し、その周囲を囲むようにゴロゴロと寝そべり、あぐらを組み、ひたすらパソコンと向き合うギークたち。会場を訪れる来場者やその目線には一切関心を示さず、各々の興味の探求に没頭し続ける。ホワイトキューブの壁面には大きなスクリーンが設置され、そこにギークたちの猥雑な書き込みやツイート、関心のある動画などが無秩序に放出されていく。この光景は現代日本の社会問題としての縮図か、それとも新しいカルチャーの潮流なのか…。感覚では何となく分かろうと試みるが、もはや理解不能の領域と言わざるえない。
私がこの会場を入った瞬間にまず頭を過ぎったのは、なぜか若松孝二監督、唐十郎主演の映画「犯された白衣」だった。唐十郎が看護婦寮に突如現れ、裸体にされた女性たちが次々に銃殺されていくシーン。その死体は円形に並び、悍ましい地獄絵図のはずがなぜか美しいアートを見ているような気にさせられる。今回の「破壊ラウンジ」も同様。見てはいけない世界に足を踏み入れてしまった恐怖心と嫌悪感を肌で感じつつ、円状にパソコンに向き合って寝そべる彼らの姿を見て、かつてない壮大なインスタレーションを観賞しているかのような感覚を覚えた。さらにギークたちの体温でムンムンとする室内、こもる匂い…、観る者の五感に迫る作品と言えるだろう。
さて観に行くも、行かぬもあなた次第。ただし刺激が強いので、それなりの覚悟を持って足を踏み入れることをオススメしたい。
「破壊ラウンジ」
◯日時:2010年5月8日(土)〜5月23日(日)
◯会場:UNZUKA UNDERGROUND渋谷
◯料金:無料
◯URL:http://chaosxlounge.com/
編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。